お笑いナタリー Power Push - 稲川淳二×ダイノジ大谷

ライブツアー「稲川淳二の怪談ナイト」23年連続公演決定! ダイノジ大谷が聞き出す稲川流・怪談の極意とは?

稲川淳二のライブツアー「MYSTERY NIGHT TOUR 2015 稲川淳二の怪談ナイト」が7月の鳥取公演を皮切りに、10月まで全国で開催される。1993年に「川崎ミステリーナイト」として始まった稲川の怪談ライブはやがて全国ツアーに規模を拡大し、今年で23年目を迎えることになった。

この「怪談ナイト」の魅力を伝えるべく、お笑いナタリーPower Pushでは特集記事を展開する。インタビューには稲川のほか、稲川を尊敬してやまないというダイノジ大谷に登場してもらった。大谷にとってはこれが稲川との待ち焦がれた初対面。2人には「怪談ナイト」や怪談の魅力、稲川が思う怪談の極意について大いに語ってもらった。 さらに大谷が「ニッポン放送で霊を見たという話も……」と切り出したのをきっかけに、稲川がラジオ局にまつわる怖い話を語ったので、その一部をご紹介したい。なお取材の際、フル充電してきた録音用ICレコーダーが突然使用不能になるという怪現象が発生したことも付記しておく。

取材・文 / 成田邦洋 撮影 / 辺見真也

ルーツはおふくろの怪談

──そもそも大谷さんは、稲川さんのことが好きなんですよね。

左から稲川淳二、ダイノジ大谷。

ダイノジ大谷 憧れですよ! 一番の目標というか。たまたま怪談を話すのが好きで、日本テレビさんのバラエティの特番で「2代目稲川淳二を探せ」っていう企画があって、何百組という芸人の中で僕が優勝させてもらいました。あとで聞いたらその特番、ご本人に許可を取ってなかったんだけど(笑)。

稲川淳二 許可どころじゃないです。こんなジジイにとっては、すごくうれしいことですよ。

大谷 今日は稲川さんにいろいろお聞きしたいと思いまして。稲川さんの話のうまさや技術って、すごく引き込まれるんですが、それは幼い頃からあったものなんですか? ルーツは落語とかですか?

稲川淳二

稲川 いや、うちのおふくろでしょう。怪談がうまかったんですよ。子供の頃に住んでいた家が2階建てで、弟と2階に寝てたんですが、昔の造りだから夜は部屋が暗くて怖いし、なかなか寝付けなかったんです。するとおばあちゃんに「もう寝ろ!」ってケツ叩かれたりして。仕方なく部屋にいたら、小さな豆電球がついて、おふくろがぺたっと座るわけだ。逆光ですよ。そこで怪談話するの。「私の生まれたところには……」って。また話をするのがうまいんだ。

大谷 へー!

稲川 で、怪談をし終わったら、「おやすみ」って言って1階に降りていっちゃうんだ。明かりを消して。寝れませんよ、とてもじゃないけど(笑)。でも、それで怪談好きになったの。

大谷 そんなルーツがあったんですね。

私の怪談は「絵」で追ってる

──稲川さんや稲川さんのお母様のように、怖い話を人に聴かせるときのコツはありますか?

稲川 私の場合はストーリーを追ってないんですよ。紙芝居みたいに絵で追ってる。話をするうちに、だんだん絵が見えてくる。それと私の怪談では、擬音を入れるでしょう? 擬音を入れると楽なんです。文章だとどうしたって限度がある。言葉を解釈するよりも、擬音のほうが簡潔でわかりやすい。

大谷 都市伝説みたいな話で、稲川さんご自身が「怪談はクライマックスに向けて、滑舌が悪くなるほうがいい」とおっしゃっていたと聞いたことがあるんですが、それはありますか?

左から稲川淳二、ダイノジ大谷。

稲川 私もあまり滑舌がいいほうじゃないんだけどね、地方に行ったときに話を教えてくれるじいさんの中には、なまりがあってわかりづらい人もいるの。でも、話を聴いてると意外とわかるんですよ。なぜかっていうと、こっちが聴こうとするからですよね。同時に向こうも伝えようとしてるから。どんどん引き込まれていくのは、話してくれる相手を信用してるからなんですよね。

大谷 面白い! 稲川さんの怪談が、僕らとかほかの若手よりもレベルが数段上っていうのは、ストーリーというよりも、絵的なものを、イメージを伝えてるからなんでしょうね。僕らはストーリーだけですもん。まだまだその領域に達していない。

稲川 いえいえ、とんでもない。歳とともに、だんだんいい怪談ジジイになっていきますよ(笑)。

「MYSTERY NIGHT TOUR 2015 稲川淳二の怪談ナイト」

稲川淳二の怪談ナイトとは?

1993年に開催された「川崎ミステリーナイト」を発端に、1995年より毎年行われている稲川淳二の全国ライブツアー。怪談約90分、心霊写真解説約30分の2時間構成で怖い話を届ける。毎年趣向を変えた豪華な美術セットも魅力の1つだ。

「稲川怪談クラシック」 / 2015年7月8日発売 / [CD] 2160円 / ハッツアンリミテッド / HUCD-10187
「稲川怪談クラシック」」
稲川淳二(イナガワジュンジ)
稲川淳二

1947年生まれ。東京都渋谷区出身。タレント、工業デザイナー、怪談家。ユニJオフィース所属。

ダイノジ・大谷ノブ彦(オオタニノブヒコ)
ダイノジ・大谷ノブ彦

1972年生まれ。大分県佐伯市出身。相方の大地洋輔とダイノジとして活動中。8月27日(木)に静岡・沼津ラクーンよしもと劇場にて、「ダイノジ大谷ノブ彦の怖い話」を開催。同日同会場で行われる「よしもと歌うま選手権~ネタとカラオケ大会~」にも出演する。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。