ナタリー PowerPush - レイザーラモンRG Like a Record round! round! round! in 富士急ハイランド
本気の洋楽イベントが富士急進出!RGのあるあるルーツを探る
藤井隆、レイザーラモンRG、椿鬼奴が、大好きな洋楽をひたすらカラオケで歌いまくる異色のイベント「Like a Record round! round! round!」。普段は東京・新宿ネイキッドロフト、新宿ロフトプラスワンを拠点に行われているイベントがこの夏、山梨・富士急ハイランドに進出する。
ナタリーでは8月28日のイベント開催に先がけ、音楽ナタリーとお笑いナタリーで同時に特集を展開。音楽ナタリーが藤井隆にイベントの話を聞く一方、お笑いナタリーではレイザーラモンRGに「あるある」のルーツを聞いた。また椿鬼奴は両特集で、藤井隆とRGそれぞれの魅力についてコメントを寄せている。
取材・文 / 粟村香織 撮影 / 笹森健一
衝動的にスタートしたあるある
──そもそもなぜ1人で、しかも市川AB蔵というキャラであるあるを始めることになったんですか?
一番のきっかけはケンコバさん……ケンドーコバヤシさんですね。HGの結婚式のとき、スーツで、スピーチするみたいな感じだったんですけど、そのときケンコバさんが神妙な顔してた僕に「市川海老蔵か」とおっしゃられて。その結婚式は、午後から夜までHGをお祝いする会で。
──見た目通りのAB蔵(笑)。
「海老蔵」じゃなくて「AB蔵」なんですよ、あくまで。どんなことができるんだろうと思って考えてみたら、そのキャラを出していきたいって気持ちになって、僕も中村勘三郎さんのこと勘九郎さんって呼んでしまいがちなんです。そのとき息するのも忘れるぐらいあるあるに集中して(笑)。それで海老蔵さんといえば「おーいお茶」があったり、これに合うのはこういう理由で「CHA-CHA-CHA」を選んでという話になったり。そこで「こういうことができるんだ」というのを初めて知って。ちょうどその少し後、今はピン芸人をやっているあべこうじが「オールナイトカラオケやったら?」って声をかけてくれたんです。話をされたときは、「うん、やるやる」で止まってたんですけど、あるあるを言ったあとハッとそのことを思い出して。
──あるあるに何かひらめくものがあったと。
大げさに言うと、すごいカルチャーショックを受けたんですよ。歌舞伎あるあるの空気に。僕はそうやって自分で企画して何かをしたことがなかったし、ほかの芸人のあるあるに参加したことすらほっとんどなかったんです。唯一「単独イベント」にあたるのが、レイザーラモンのライブだけで。ライブはもちろんありがたい経験でしたけど、芸人としてはずっとどこかコンプレックスがあったんです。圧倒的に経験値が足りない。それであるある言ったときに「僕は今まで何をやってきたんやろ」と。そんですぐにシダックス渋谷店の店長さんを紹介していただいて。「僕も何かやらせてもらえないでしょうか」とお話したら「いいですよ。日にちは空けておきます」ってすぐにOKをくださったんです。
──かなり衝動的なスタートだったんですね。
その時点では内容はまったく考えてなかったんですけど、とりあえず日にちと時間だけは決めたんです。じゃあ何をやろうかと考えているときに……あべこうじ、デッカチャン、ヤナギブソン(ザ・プラン9)とか、よく集まって飲むメンバーはみんなあるあるに限らず音楽が好きなんですよ。YouTubeのあるある映像をアップしたりして、Twitterで声かけたらお客さん4人しか来なくてもカラオケ直行して、朝の7時までずっとそこで微動だにせずあるある歌い続けて(笑)。その流れでまたカラオケに行ったり。
──半日以上(笑)。すごいですね。
何カ月かに一度のその集まりがすごく楽しくて。あと、ケンコバさんと宮川大輔さんと、桂三度さんと3人集まって飲み会をしてたんですよ。ある日その集まりに僕も呼んでもらったんですけど、そのとき「手羽先あるあるなんかないやろ」って言われたんですね。そのとき……なんでしょう、カチャッとパズルが合う感じと言いますか。MAXに脱退されていたMinaさんが戻ってこられたとき、Reinaさんが「この空気だった」って名言を残されてるんですけど、僕らがやきとり屋で集まったときがまさに「この空気だった」。同時に「あ! 手羽先あるあるはバービーボーイズの『目を閉じておいでよ』にのせて、『手羽先を食べるときは真ん中を折って食べる』だ!」と閃いて。
客席を割ってあるある探すなんて経験がなかった
──「音楽を使ってあるあるを歌う」というコンセプトはそこでできあがったんですね。
はい。カラオケはカラオケで良かったんですけどそれがちょっと弱い機械で。それでヨシモト∞ホールにご相談に上がったら、舞台をまるまる貸していただけることになったんです。イベントは時折やってるので、要するに毎回お客さんに来ていただいてるんです。すごく手間もかかるんですけど、それでも来てくださるということで。
──イベントとしても新しいものだし、そもそもRGさんにとっては初の自主イベントなわけだから、いろいろと立ち上げはいろいろ大変だったのでは?
いざフタを開けてみたら、どうしていいものかわかんなくて。あと∞ホールは漫才を見たりコントを見たりしながら楽しむ劇場だから、「あるあるありませんかー」とかうながすようなことも初めての体験でしたし。そもそもオチがないという経験がなかったんですよ。幕がこう開いて、舞台袖から出ていくというのはわかるけど、客席を割ってあるある探すなんて経験がなかったから。
──ああ、あるあるは観客とステージの高低差すらないですもんね。
そうなんです。自分からやると言ってはみたものの、直前で急に怖くなって。でもお客さんはすごく温かく出迎えてくださって。芸能活動は心斎橋筋2丁目劇場から始まっていますし、お客さんが迎えてくれる温かみは知ってるつもりでいましたけど、このイベントのおかげで改めて再確認させてもらいました。Twitterのつぶやきをしっかりやったり、あるあるの曲を増やしたり、そういうことがどうしてもやりたかったんですね。あるあるを曲にのせて歌うとか「誰が聞くねん!」って思うようなものですけど、また皆さん優しいから聞いてくださるんですよ。
──不安からスタートしたとはいえ、これだけ続いているということは、RGさんの中でやはり「この空気だった」という、ご自身の中でしっくり来るものがあったということですよね。
僕はよくフリーであるあるを歌ったりできると思われがちですけど、一切できないんです。営業でも何も決めずにあるある歌ったり、ましてやマイク1本であるあるを届けるとか、そういうやり方は絶対にノー!って言ってたんです。ちゃんと綿密に作り上げないと、商品として成立してないと自分が一番わかってたから。でもこのイベントのおかげで、自由にあるある歌ったり、お客さんをステージに上げたり、そういう自由な行為が自分の中でOKになって。お客さんとあるあるがいてくれるから絶対大丈夫という確信があったからこそでしょうけど、チャレンジすることができた。ほかの人からしたら全然大したことないチャレンジかもしれないけど、僕にとっては大きな変化なんです。
Like a Record round! round! round! in 富士急ハイランド
開催日時:2013年8月28日(水)16:00~(予定)
場所:山梨県 富士急ハイランド園内 マッドマウス前特設ステージ
料金:無料
※入園には別途富士急ハイランド入園料が必要
出演:藤井隆 / レイザーラモンRG / 椿鬼奴
※イベント当日は午後から藤井隆、レイザーラモンRG、椿鬼奴が園内にサプライズで出没予定。
※本イベントは、雨天決行 (荒天の場合は中止) です。
雨天の場合でもイベントは実施致しますが、スケジュールが大幅に変更となる場合もございますのであらかじめご了承ください。イベントの中断・中止・延期に伴う、富士急ハイランド入園料の払い戻しや会場までの旅費等(キャンセル料含)の補償は一切致しませんので、ご了承ください。
Like a Record round! round! round! in 富士急ハイランド プレミアムバスツアー開催
富士急ハイランド営業概要
営業時間
8月10日~8月15日:7:00~22:00
8月16日~8月31日:8:30~21:00
※9月以降、時期により開園・閉園時間が異なるので、オフィシャルサイトで要確認。
休園日
8、9月は無休
※10月以降についてはオフィシャルサイトで要確認。
料金
入園料:大人・中高生 1300円 / 子供 700円
フリーパス:大人 5000円 / 中高生 4500円 / 子供 3700円
交通
▼車
・新宿から中央自動車道で約80分、河口湖ICに隣接
・東京から東名高速道路・御殿場IC、東富士五湖道路経由で約90分
▼バス
・新宿から中央高速バスで約100分、富士急ハイランド下車
・東京駅から東名高速バスで約150分、富士急ハイランド下車
(バスは要予約)
▼電車
・JR中央本線大月駅で富士急行線に乗り換え富士急ハイランド駅下車、大月駅から約50分
レイザーラモンRG(れいざーらもんあーるじー)
1974年6月8日生まれ、愛媛県出身。1997年にHGとレイザーラモンを結成。2001年に2人そろって吉本新喜劇に入団し、2005年末に退団。2013年3月には名曲に乗せてあるあるを歌い続ける初ソロDVD「GREATEST HITS」が発売され注目を集めたほか、同年8月には書籍「レイザーラモンRGの洋楽あるある」も発売。さらに11月には早くもソロDVD第2弾「レイザーラモンRG『Live in Japan』」のリリースが控えている。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。