しゃべったことをテープ起こししたみたいに再現

──やついさんは実話をもとにコントを作ることが多いですが、今回も実話ネタはありますか？

やつい　「三姉妹」は完全に実話です。

──仁子がパートの面接へ出かける前にやち子とテレビで何気なく相撲を観ていると、なぜかだんだん熱中してしまい……というリアルな日常を切り取ったコントでした。

やつい　作家の小川康弘と相撲を見ていたら、客席にいる大友康平さんが映ったんです。そのときに2人でしゃべったことをテープ起こししたみたいにそのまま再現しました。

片桐　「テンガロンハットを被ってた」「そんなイメージない」とか、細かい会話が面白いですよね（笑）。

やつい　Twitterで検索して、「大友康平が相撲中継に映った」っていう情報が2件だけ出てきたエピソードも実話です。

今立　少ないんだよなあ（笑）。信憑性がない。

──「夕陽の詩人」の詩人にモデルはいるのでしょうか？

やつい　これはジム・ジャームッシュ監督の映画「パターソン」（2017年日本公開のヒューマンドラマ）をやりたいと思って作ったら、こうなりました。

今立　全然違うよ！（笑）

片桐　永瀬正敏さんが日本からやって来た詩人役で出演されていて、僕が演じた詩人はそのイメージなんです。

──詩人が会員制の有料サロンに誘うのは映画とは異なる設定ですよね？

やつい　「パターソン」の世界観に、自己啓発を勧める作家の胡散臭さを足しました。そういうのに騙される女性の多さに心を痛めていたので。

片桐　あはははは（笑）。

「エンタの神様」でも通用しそうなフォーマット

──「カフェ女子ババア」はどういう経緯で生まれたのでしょうか？ やち子が“カフェ女子ババア”に関するどうでもいい内容の神からの啓示を受ける、というコントでしたが。

やつい　Instagramでキラキラした女子の投稿を見るのが好きで、よく観察しているんですけど、そういう人たちってみんな同じようなことを言っているし、同じような場所、ポーズで写真を撮るんですよ。で、みんな「20代のときは悩んでいたけど、35歳くらいから生きるのが楽になった」ってライフスタイルについて語っている。しなやかに生きているんですよね、カフェ女子ババアは。そういうのがいいな！って思って作りました。

──「いいな！」なんですね。

今立　全部が愛おしいんだよね？

やつい　そうそう。俺くらいの歳になったらそういうのも許せちゃう。神の啓示にしたのは、啓示って地震の予知とか規模の大きい話ばかりだけど、意味のない啓示もあっていいじゃん！って思って。“使えない卑弥呼”みたいなことを考えていて、カフェ女子ババアと合体させました。そうしたら「エンタの神様」でも通用しそうなフォーマットができましたね。

──最後のコント「UFO」は、三姉妹がUFOに吸い込まれていくすごい装置が登場しました。

片桐　あれが大変で！

今立　練習ではもっと速いスピードでUFOに吸い込まれる予定だったんですけど、劇場で実際にやってみたらできないということがわかって。愕然としました（笑）。

片桐　もっとヒュン！って行きたかった。実際は女の子とおじさんのスタッフ2人が滑車を使って僕らを持ち上げてくれるので、1回目より2回目、2回目より3回目とだんだん遅くなっていくんですよ。

やつい　だから回数も減らしました。

片桐　今立は「痩せてください」って言われてた（笑）。

「やついさん、うんこついてます」

──振り返ってみて、「光光☆コントの人」はどんな公演になったと思いますか？

やつい　今回は全体的にスピリチュアルでしたね。僕が行っているジムにいたトレーナーの女性が影響しているのかもしれません。スピリチュアル的な話をよくする方で。

片桐　見えるんだよね、霊的なものが。

やつい　守護霊のような感じで、彼女には龍がついているらしいんですよ。ついているというか、自分の意思でつけているんですって。龍が人からの怨念を食べてくれるから。で、それなら僕も龍をつけて欲しいとお願いしたんですけど、「やついさんに龍は必要ありません、もうついてます」って言われて、「何がついてるの？」って聞いたら「やついさん、うんこついてます」って。

今立・片桐　あはははは！（笑）

片桐　納得でしょ？

──本当の話だったらすごいです！

やつい　うんこついてるとどういう効果があるのか聞いたら、「うんこがついていると、うんこのネタばっかりやる」だって。

今立　それはライブ見たからだろ！（笑）

やつい　ほどなくしてそのトレーナーはジムをやめてしまったんですけど、今回のライブを観に来てくれたんですよ。そしたら、「今年は愛がすべてだ」って言ってました。

今立　大友康平じゃねえか！（笑）