お笑いナタリー Power Push - エレ片コントライブ~コントの人9~
エレ片が珍事件とともに振り返る10年の歴史
エレキコミックとラーメンズ片桐仁によるユニット・エレ片の最新DVD「エレ片コントライブ~コントの人9~」が2月3日に発売される。
エレ片は今年、「コントの人10」を全国で開催。レギュラー番組「エレ片のコント太郎」(TBSラジオ)は4月に丸10年を迎える。これらの節目に際し、お笑いナタリーではやつい、片桐、今立の3人にインタビューを実施。エレ片の歴史を“珍事件”の数々とともに振り返ってもらったほか、一部でアナウンスされている「コントの人」終了の真意を聞いた。「より自由なユニット」を目指す新たなエレ片の形とは。
取材・文 / 狩野有理 撮影 / 辺見真也
エレ片、波乱の幕開け
──お笑いナタリーでは以前、お3方の出会いについては伺っているのですが(参照:DVD「エレ片コントライブ~コントの人3~」特集)、今回は3人で活動を始めることになったいきさつからエレ片の10年を振り返っていただきたいと思います。
やついいちろう 最初はたぶん、お台場で何かやってくれってフジテレビに呼ばれたんじゃないかな? イベント営業だったと思います。
──「3人で」というオファーだったんですか?
やつい いや、コバケン(ラーメンズ小林賢太郎)が嫌がったから(笑)。もともと僕ら3人はトゥインクル・コーポレーションの事務所ライブに出ていて。
片桐仁 ラーメンズは単独ライブ専門になって出演しなくなっていたんですけど、僕と今立で司会やったり企画をやったり。
やつい ほかの若手芸人もたくさんいたんだけど、「若手、1人もお客さん呼んでないじゃん!」って気がついて。だったらエレキコミックと片桐の3人でやったらいいんじゃないかってことになったんだと思います。で、トゥインクルライブを卒業して3人でライブを始めたんです。そしたらお客さんもいっぱい来てくれた。
──ラジオが始まる前からすでにユニットはできあがっていたんですね。
やつい はい。僕は当時から「ラジオやりたい」ってずっと言っていたんですけど、チャンスはありつつ自分たちの番組はなかなか持たせてもらえなかったんです。いろんな番組のレポーターをやったりはしていたんですけど。そんなときにTBSの偉い人のお子さんがラーメンズファンだって話が飛び込んできて。そこでエレキコミックをねじ込みたい事務所とラーメンズに番組をやらせたいTBSとのせめぎあいです。結果、折衷案としてエレ片になったという。
今立進 それが3カ月ごとに入れ替わる若手の枠だったのもあって、誰にも期待されていなくて(笑)。
やつい だから最初は「3カ月で終わるんだからな!」って口すっぱくして言われました。僕らしゃべれないと思われていたみたいで、おのずとラジオコントの番組になって。
片桐 1回目の収録はコントだけを何時間も録って大変でした。
──2006年4月、番組スタートと同時に「エレ片OMOSHIROライブ」を毎月各地で開催しています。
やつい このライブも大変で! 片桐の稽古日が1日もないって言うんですよ。そんなのできると思います!? もう最初はめちゃくちゃだったんですから。
──今のところ楽しい話が1つもないですね。
今立 たしかに(笑)。
やつい 思い出してきたけど腹立たしさしかないです!
──しかし口すっぱく言われた3カ月の壁を超えて、番組スタートから1年、金曜JUNK2から水曜JUNK2に引っ越します。
やつい ただこの頃のラジオ聴き返すとすごいですよ。もう言葉が荒い荒い! 尖りまくってます。触るものみな傷つけてますから。イライラしてたんでしょうね、あらゆることに。
「コントの人」始動、スベるわけにはいかない
──2007年12月にコントライブ「コントの人」が初開催されます。
やつい やっと3人で稽古ができてコントライブになったんですよ。
──ついにやりたいことが形になったと。
やつい はい。初の3人のオリジナルコントでしたから。
片桐 それまでは俺がエレキのコントに入ったりしてただけだったもんね。
やつい 「コントの人」はかなり前から稽古日をとってもらっていた記憶があります。交渉した上でやっと始まったことだから「スベるわけにはいかない」っていう思いがあって。そういう意味では成功でした。
──「リアル湯けむり殺人事件」(※註1)は3人の関係性が出ていてすごく面白かったです。
今立 それが1本目だっけ?
やつい 1本目は片桐がダ・ヴィンチで転がってくるやつ(※註2)。
片桐 あー。あったね。
やつい エレ片では片桐さんに気を遣ってスターの役を与えてたんですよ。主役とか、場所を作ってあげていいところだけ持っていかせるとか。台本も2週間前に作り上げて。
片桐 僕、台本がないとできないんです。
やつい おかげでエレキコミックのライブもこのくらいからよくなりました。それまで台本上がるのが3日前とかだったので、「2週間前に台本あるとすげえいい!」「こんなにラクなんだ!」って気づいて。
今立 学びましたねー。ただ、このとき片桐さん毎日パンツにウンコついてて(笑)。
片桐 ダ・ヴィンチのコントでTバックみたいなサポーターを穿いてたんですけど、それが下痢を誘発して……。
今立 すごい見せてくるんだもん。しげしげとパンツ見ながら「あー今日もだ」って悲しい顔してて。それが一番印象に残ってます。
(※註1)3人がやってきた温泉宿で殺人事件が発生。犯人のなすりつけ合いをバカバカしく描くコント。DVD「エレ片コントライブ~コントの人~」に収録[↑戻る]
(※註2)コント「美術品くじ」。当たりを引いた今立少年のもとに、片桐がウィトルウィウス的人体図に扮して車輪のように転がってくる。こちらもDVD「エレ片コントライブ~コントの人~」でチェック。[↑戻る]
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収録内容
- PS4
- オープニング
- たき火
- 空気
- 毒モ
- 再婚
- ギリーに首ったけ
- エンディング
特典映像
- アフタートーク(ゲスト:コウメ太夫)
副音声
- エレ片3人によるコメンタリー
エレ片(エレカタ)
左 / やついいちろう
生年月日:1974年11月15日
出身地:三重県
中央 / 片桐仁(カタギリジン)
生年月日:1973年11月27日
出身地:埼玉県
右 / 今立進(イマダチススム)
生年月日:1975年9月27日
出身地:東京都
トゥインクル・コーポレーション所属のエレキコミックとラーメンズ片桐仁によるユニット。2007年、東京・恵比寿ガーデンルームにて「コントの人」初開催。レギュラー番組「エレ片のコント太郎」(TBSラジオ / 毎週土曜25:00~27:00放送中)は2015年11月に放送500回を迎えた。2016年2月19日(金)から東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、岡山、仙台で「コントの人10」を実施する。