笑いメーターがパンパンで身動きできない
──ディフェンスの弱さを自覚しているお二人ですが、実際に開始早々から危険な場面が多々ありましたね。
大悟 わしが最初にカードもらったのなんて10分も経ってなかったんちゃうかな?
ノブ 最初は、緊張で笑う感じでもないかなと思ってたんですよ。でも本当に普段ごはん行くような仲いい芸人ばっかり集まってきて、しかも大阪からは西澤が来てるし(笑)、大好きなメンバーで。松本さんもオープニングを楽しい雰囲気にしてくれたので、めちゃくちゃ緩んだんです。だから(開始音が)ファーンて鳴った瞬間からもうダメでした。誰が何してもやばい。笑いメーターのタンクパンパンの状態で始まってしまったので、序盤の僕らひどかったでしょ(笑)。
──お二人にはいわゆる“ゲラ”のイメージがあったので「もう負けてしまう!」とハラハラしました。
大悟 守ってるばっかりじゃアカンから攻撃しようとするじゃないですか。で、仕掛けに行こうとするだけでもうわろうてまうんですよ。
ノブ そうそう。大悟は絶対弱いってわかっていたから瞬殺させにいこうと思ったんですけど、そっから身動き取れないんです。行動に移すことで自分が笑ってしまうから。開始15分くらいは何もできませんでした。
──ノブさんはその場で起こったことにツッコむ、と決めて臨んだわけですが、言葉を発するのもままならなかった?
ノブ そうなんですよ。あと、ツッコみ出す瞬間って絶対自分が笑ってるんやなってそこで気づいて。「あれ? じゃあどうすればええねん。やばいやばい」と。軽くパニックになりました。
大悟 コンビで何かやるっていう手もあったんですが、「おい、ノブ……」って言うたらもう笑う状態で。
ノブ そうそうそう(笑)。お互い近づくことすらできない。
──それくらい笑いメーターがパンパンだったんですね。
大悟 芸人同士の会話ってずっと面白いんです。「え、何が?」とか、ただの相づちだけで面白い。序盤の会話してるシーンが一番おもろかったかもしれないですね。
芸人みんなで飲んでるときの悪ノリの最低が“あれ”
──収録を拝見していたのですが、今回はこれまで以上に衝撃的なシーンがいくつかあります。お二人もその当事者の1人なわけですが、あのボケをやっているときはどういう精神状態だったんですか?
ノブ あはははは(笑)。最低でしたね。後半なんか、配信できるんかな?って思ってます。
大悟 あのときはよかったけど、冷静に画面で観たら誰も笑わんと思いますよ。
ノブ 狂気ですからね。もうあとは誰かセックスするしかないんじゃないですか?
大悟 でもハタチそこそこの頃、芸人みんなで飲んでるときの悪ノリの最低がああいうことになるんですよ。40歳くらいになった今でも結局みんな“あれ”やるんやって思いましたけどね(笑)。
──あはははは(笑)。追い詰められると原点に戻ってくる。なんだかいい話です。
ノブ いやいや、ダメなんですよ。シーズン3がいいんです。(ロバート)秋山のマッサージとか(オードリー)春日のカレーくらいで止めとかないと。もう、あんなんし出したら本当終わり。
──たしかに、バラエティの新たな可能性と言うべきなのか、むしろ終末と言うべきなのかっていうくらいの光景でした。
ノブ 打ち上げで飲んでるときにあんなことになることがあって、僕らは芸人のそういうノリをけっこう見てきてるんですけど、視聴者の人は見たことないでしょうね。追い込まれるとあんなことになっていくんやって、衝撃はあるかもしれないです。
──時間が経って振り返るとそう思うけど、あの場にいるときは興奮して冷静に考えられない?
大悟 みんなが頭おかしくなってたと思います。
ノブ 一応僕ら上方漫才大賞獲ってるんですよ。それももう返還です(笑)。審査委員会の方が「ドキュメンタル」を観てないことを祈ります。
大変やけど、すっげえ楽しかった
──衝撃シーンも多々ある中、印象的だった場面を教えてください。
ノブ 僕はやっぱりくっきーさんがダメなんです、何しても。また写真シリーズもパワーアップしてましたし。今までの300万取り返そうっていう熱が違いましたね。あとはなんですかねえ……。西澤の顔かなあ。(森三中)黒沢も頭おかしかったですね。バトル中断してるときやったからよかったですけど、あんなのされたら絶対全員笑いますよ。
大悟 途中2時間くらい、何してもわからんようになった時期があって。これ、松本さんも言ってたんですけど。
──私も当日見ていて感じました。
大悟 やりながら「なんやろ?」みたいな不思議な感覚に陥って。「今どういう状況?」っていう。誰が何を仕掛けても変な感じやし。松本さんは毎回こうなるって言ってましたね。
ノブ たしかに変な時間が流れたときありました。「優勝できるかも」っていう気持ちが出てきて、なんにも面白く感じなくなるとかなんかな。
──松本さんに見られていることについてはどうですか?
ノブ そこが大きいですよね。だから早く敗退したくないし、いいとこ見せたいっていうのはあります。「ドキュメンタル」って松本さんの作品じゃないですか。その大事な企画であんなことしたら「そういう番組じゃないねん!」って殴られてもおかしくないと思うんですけど、後日、松本さんにお会いしたら優しく、笑ってくれてたんで「よかったんや」って思うようにしてます。
大悟 僕らは松本さんがどんなコメントしながら見ているかっていうのが一切聞こえないんですよ。だから誰かが笑ってカードを出すとき、部屋に入ってきた松本さんがわろうてくれてるとホッとするというか。でも、もし松本さんがこっち側にいたら一番弱いんちゃうかって思いますね(笑)。
──「ドキュメンタル」が今度も続いていくとして、2回目の“赤紙”が来たらどうしますか?
ノブ もしお呼びがかかって、そのときにまた100万円用意できれば出てみたいです。今回、何の爽快感もなかったんで(笑)。あと、戦ったメンバーとは戦友みたいになりますね。絆が深まるというか。
大悟 1回やってみたら、大変やけど、すっげえ楽しかったんですよ。あの場にいて笑いを我慢してる状態って。すぐはちょっとキツいですけど、いつかはまた出てもいいかもしれないですね。
- 千鳥(チドリ)
- 左 / 大悟(ダイゴ)
1980年3月25日生まれ。岡山県出身。 - 右 / ノブ
1979年12月30日生まれ。岡山県出身。 - 高校の同級生だった2人が2000年7月にコンビ結成。2003年、結成3年目にして「M-1グランプリ」決勝初進出を果たして注目を集める。翌年2004年に「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞、2005年、2007年に「NHK上方漫才コンテスト」優秀賞、2013年に「上方漫才大賞」大賞など、受賞歴多数。
- Amazonオリジナル作品「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン4
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出演者雨上がり決死隊・宮迫 / FUJIWARA藤本 / ずん飯尾 / 野性爆弾くっきー / スピードワゴン井戸田 / 千鳥・大悟 / 千鳥ノブ / 森三中・黒沢 / ダイアン西澤 / 安田大サーカス・クロちゃん
- 「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」とは
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「面白いとはなんなのか」を突き止めるべく、松本人志が仕掛ける実験場。招待状を受け取った10人の芸人が1つの部屋に集い、制限時間6時間で笑わせ合う。最後まで残った者には優勝賞金1000万円を贈呈。参加者の様子は松本人志が30台以上のモニターでチェックし、笑った者にはイエローカード、オレンジカード、即退場のレッドカードが出される。シーズン2からは敵を笑わせるごとに1ポイントを付与する「ポイント制」が導入され、2人以上で制限時間を迎えた場合はもっともポイントの高い参加者が勝者に。またシーズン3からは脱落した芸人が一時的に復活できる「ゾンビタイム」が登場。生き残っている参加者全員を笑わせることができた場合、ノーコンテストとなり参加費は返還される。
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出演者シャンプーハットこいで / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / バッドボーイズ清人 / 森三中・大島 / ロバート秋山 / とろサーモン久保田 / ニューロマンスおにぎり / スリムクラブ内間 / トレンディエンジェル斎藤 / 板東英二
- パイロットシーズン
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出演者FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / ダイノジ大地 / 野性爆弾くっきー / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / とろサーモン久保田 / 天竺鼠・川原 / トレンディエンジェル斎藤 / マテンロウ・アントニー
- シーズン1
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2017年12月28日更新