多くのお笑いファンを熱狂させる「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」。最新作であるシーズン3も、これまでにない芸人たちの戦いぶりでさまざまな反響を呼んでいる。
マキシマムザ亮君(マキシマム ザ ホルモン)は、配信元のAmazonレビューやTwitter上のつぶやきまでくまなくチェックする「ドキュメンタル」フリーク。熱の入れようはシーズン1で野性爆弾くっきーが披露した“あのネタ”をアーティスト写真に取り込んだほどだ。全3回にわたる「ドキュメンタル」の特集を組むにあたり、お笑いナタリーが真っ先に亮君へオファーすると、夏フェス出演などで多忙な中インタビューに応じてくれた。本記事では、亮君が芸人へ注ぐ熱いリスペクトの思いを届ける。
取材・文 / 狩野有理
「アー写撮影までにシーズン1全話視聴」がメンバーへの宿題
──マキシマムザ亮君さんには「ドキュメンタル」の大ファンということで今回ご登場をお願いしました。亮君さんはシーズン1の第1話からご覧になっているんですか?
予告編から観ていましたよ! 配信が始まってからは毎週楽しみにしていて。水曜日に新しいエピソードが更新されるじゃないですか。だから日付が変わった瞬間に観てました。
──更新を待ち構えていたわけですね。
自分の息子たちにも教育の一環としてとりあえず予告編を見せたんです(笑)。当時、長男が小学2年生で、次男が5歳、一番下が2歳だったんですけど、まだ早すぎたんですかね、10分くらいで「パパ、ヒカキンTVに替えて」って言われてしまって……。悔しかった。メンバーにはスタジオ練習中に見せました。僕ら、アーティスト写真でくぅちゃん(野性爆弾くっきー)がやってたTENGAエッグのネタをオマージュしてるんです。
──拝見しました。
「ドキュメンタル」観て、あれやりたいなーって思ってたんですけど、メンバー2人がAmazonのプライム会員になってなかったんですよ。だから「とりあえずプライム会員になって、お試し無料だから!」ってその場で登録させました(笑)。で、「撮影日までにシーズン1を全部観ておいて!」と宿題にして。みんな最後まで一気に観たって言ってましたね。
──興奮を共有できたんですね。実際にTENGAエッグを被ってみたご感想は?
TENGAエッグだけだとただのパクリになっちゃうので、歯科医が使う“口を強引に開ける器具”も融合させて被ったんですけど、かなり危険でしたね、窒息死するとこでした(笑)。一度被ったTENGAエッグは伸びてユルユルで無駄になっちゃうので、みなさん被るときは先に本来の使い方をしてから、使用済みのモノを被るのがエコです。精液パックで肌がツルツルになるかもしれないし(笑)。
「Amazonわかってんじゃん!」
──何をきっかけに「ドキュメンタル」を知りましたか?
Amazonプライム・ビデオの作品は普段からチェックしているんですけど、松本人志さんが何か新しいことを始めるぞってことで「ドキュメンタル」はバンド界隈でも配信開始前から話題になっていました。
──もともと松本人志さんやダウンタウンのファンだったんですか?
ダウンタウンは僕の中ではファンというか、もはやヒーローなので、松本さんの作品はすべて観ていますね。昔、ネット配信でしかやってないコント作品を観るために有料会員になったこともありました。
──「ドキュメンタル」は亮君さんにとって待望の作品だった。
もう、上から目線で「Amazonわかってんじゃん!」みたいな感覚にはなりましたね(笑)。
──松本さんが関わる作品を数多くご覧になってきて、「ドキュメンタル」のどんなところに魅力を感じますか?
やっぱりシチュエーションなのかな。笑いを我慢しているときほど面白いっていうのは人間の心理で。学校の先生に怒られてるときとか、思い入れのない人のお葬式とか、そういうときにふと笑いの原石みたいなものを見つけてしまうと危ないじゃないですか(笑)。緊張感があればあるほど笑っちゃう。「ドキュメンタル」は、そういう意味で「参加費100万円」「賞金1000万円」っていうすごくリアルな痛さとリアルな報酬だなと思いました。そのうえ、芸人だったら松本さんの番組で下手なところを見せられないってプレッシャーもあるでしょうし。「IPPONグランプリ」(フジテレビ系)や「すべらない話」(同)も毎回楽しみにしてますけど、またそれとは全然違うワクワクなんですよね、「ドキュメンタル」は。しかもAmazonのプライム会員向けだから、いわゆる“お茶の間”の視聴者は観てない作品。松本さんが「子供や年寄りはそもそもAmazonプライム会員の登録の仕方わからないだろうから見てない」と決めつけた発言をしてたところも好感度高かったですね(笑)。
“死にざま”も含めて魅力
──これまで配信されたシーズン1、シーズン2で、亮君さん的MVPを選ぶとしたらどなたにあげたいですか?
僕はあのメンバーが時間を潰しながらなんとなくしゃべっているシーンが妙に楽しくて。中学校の頃の、友達の家に「親が旅行でいないから皆で泊まりに行ったとき」の感覚というか。リビング占領して、人の家の冷蔵庫を勝手に開けて、それぞれコンビニで買ってきたお菓子やジュースを好きに楽しむ。でも「2階に兄貴は旅行いかないで残ってるから、あんま騒ぐとブチ切れて下降りてきて面倒臭いから絶対静かにして」って言われたときのシチュエーションを思い出して、すごくキュンキュンしましたね(笑)。もう、「誰が1位とか2位とか失格とかもうええやん、みんな友達やん!」みたいなスイッチ入ってました。だから、笑わそうと狙って仕掛けている瞬間よりも、バイきんぐ小峠さんがロッカールームに行って、特になんのボケも用意せず戻ってきたところみたいな、ああいう空気感とか大好き。
──あ、わかります。シーズン2のバトルの終盤、小峠さんがただ牛乳を注いで飲んでいるだけでおかしかったです。
どうでもいい行動で笑えてきますよね。笑いって不思議だなあと思います。
──何気ない言動もツッコミを入れることで笑いになっていました。
プロの芸人さんはやっぱ仕掛けられたときの反射神経がすごいですよね。そこにそう打ち返すか!みたいな。格闘技の試合でいうと、カウンターが決まって観客が一気に立ち上がって興奮する瞬間に近い。ただ面白さのセンサーが強いとダメージを受けやすくもある。そういう意味で「この人のこのボケが一番」っていうより、やっぱり全体の独特な空気感なんですよね。だから僕は観ていると全員好きになっちゃうんです。
──ではあえて1人決めるのは難しいですか。
うーん、そうですね。「一番面白い奴を決めるための実験」っていうことですけど、作品を通して観ていると誰が一番とかじゃないなって思えてきます。僕にとっては“死にざま”も含めて魅力で。開始早々にジミー大西さんが笑いをこらえている顔とか最高じゃないですか?
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「この素晴らしさに気づいたほうが面白いのに」って悲しくなる
- Amazonオリジナル作品
「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」 - 「ドキュメンタル」の視聴はこちらから!
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シーズン1
出演者
FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / ダイノジ大地 / 野性爆弾くっきー / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / とろサーモン久保田 / 天竺鼠・川原 / トレンディエンジェル斎藤 / マテンロウ・アントニー -
シーズン2
出演者
FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / バナナマン日村 / アンジャッシュ児嶋 / バイきんぐ小峠 / 森三中・大島 / ダイアン津田 / 平成ノブシコブシ吉村 / ジャングルポケット斉藤 -
シーズン3
出演者
極楽とんぼ山本 / TKO木下 / ケンドーコバヤシ / 野性爆弾くっきー / フットボールアワー後藤 / サンドウィッチマン伊達 / ロバート秋山 / レイザーラモンRG / オードリー春日 / プラス・マイナス岩橋
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- マキシマム ザ ホルモン
- 1998年に東京・八王子にて結成された、マキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)、ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)、上ちゃん(4弦)、ナヲ(ドラムと女声と姉)の4人からなるロックバンド。日本語の独自の語感表現と、意味不明に見えて実は奥深いメッセージ性を持つ強烈な歌詞、激しいラウドロックにPOPなメロディをMIXさせたサウンドスタイルという、唯一無二の音楽感が多くのファンを魅了し、芸能人のファンも多い。2013年アルバム「予襲復讐」はオリコンアルバムチャート3週連続1位を獲得し35万枚を超えるセールスを記録。2015年よりナヲが妊活に入り、バンドはライブ活動を一時休止。昨年9月にナヲが無事第2子を出産し、今年5月より「耳噛じる真打TOUR」でライブ活動を再開させた。東北3カ所を回る対バンツアー「上原組直系太会~東北ライブハウス大作戦ツアー」やブラジルとチリでの単独公演を控えるほか、国内のライブイベントにも多数出演が決定している。
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2017年9月13日更新