バナナマン「bananaman live one-half rhapsody」|最新単独ライブ全コントを語る

オフィスネタが好き

大村なつお
大村なつお
大御所歌手・大村なつお。付き人に説教中、軽快なジャズ音楽に乗って登場した謎の男に恥ずかしい言葉の間違いを指摘された。デビュー40年、自分に意見する者が周りからいなくなっていた大村は、謎の男に新曲「田舎のYouTuber」を歌って聞かせ、間違っているのか、間違っていないのか、判断を求める。
日村勇紀

──大村なつおのモチーフは?

設楽 前半はただのベテランだよね。

日村 そう。大物歌手。

設楽 後半は小林旭さん(笑)。

日村 あはははは(笑)。

設楽 昔はけっこう、こういうテイストの音楽を使った不思議な世界観のネタをやっていたんですけど、久しぶりにやってみたいなと思って作りました。もともとは2つ別のネタがあって、それをくっつけた感じです。

日村 キャラクターの中で遊べるから面白いネタでしたね。

設楽 あの歌、ずっと頭にこびりついてて最近やっと取れたんだよ。パッケージにはレコード風の歌詞カードもちゃんとついてるので見てみてください。

cocky TODA
cocky TODA
オフィスにいる日村は、20ほど歳の離れた若手社員・戸田の行きすぎた無礼について後輩・設楽としゃべっている。戸田になめられないよう作戦を練っていたはずが、設楽にめちゃくちゃにされていく日村。最終手段として戸田の弱みを握ろうとするが……。
設楽統

設楽 これが一番楽しかったかもなあ。

日村 フリー感があるから楽しいよね。セリフが決まってはいるんですけど、けっこう自由にその場の感じでやれるネタなので。あと俺、オフィスネタって好きなんですよ。

──なぜですか?

日村 会話劇にもなるし、ドタバタにもなるし、等身大で普通にバカみたいに話してる感じが楽しいんです。

──日村さんをぐるぐる巻きにしている設楽さんがとても生き生きしているように見えました。

設楽 あっはっはっは(笑)。別にひどいことをするのが好きっていうわけじゃないですよ。めちゃくちゃにされてる日村さんを見るのが好きなんです。練習中からどんどんアドリブが足されて、日村さんが俺に仕返しするところも練習で起きたことを本番に入れています。

日村 あんなの奇跡だよね(笑)。

設楽 日村さんの衣装もいいんですよ。このタックの入ったなんとも言えないスラックスを履いたときの日村さんが俺はすごく好きで。

日村 あはははは(笑)。ハマってるよね、役と衣装が。

やりたいことを詰め込んだネタになった

snitching at the PIANO
snitching at the PIANO
「お前のピアノには自由がない」。そう言われた“俺”は、模索の末に「つまみ食いピアノ」に出会った。ピアノの演奏中、審判の目を盗みお菓子をつまみ食いするというなんとも自由なピアノだ。奏者・設楽、レフリー・日村でレッツプレイ!

──セリフもなく、ただ「つまみ食いピアノ」を実演するという、今作の中では異色ネタです。

設楽 ピアノを弾きながらつまみ食うっていう芸術的な作品です(笑)。実は20年くらい前からアイデアとしてはあって、ずっとやっていなかったんですよ。たまに「つまみ食いピアノあるけど、やる?」みたいに浮上するんですけど、毎回スルーしていて。

──20年の時を経て「つまみ食いピアノ」を表現できる力がついたということですか?

設楽統(左)

設楽 いや、そういうのとは違いますね。単純に「いや、ないでしょ」ってやらなかっただけなので(笑)。

日村 稽古中は何回か遊びでやっているんだよね。

設楽 でも、本番でやるとやっぱりイメージと違うんですよ。想像だともっとパパパパッて素早い感じなんですけど。

日村 遊びでやってるときは食わないけど、これは本当に食ってるからね(笑)。思い描いている素早さはなかなか出せないよ。

設楽 一応カッコよく見せたいから、(ロックピアニストの)ジェリー・リー・ルイスの動画を観て練習しました。

日村 俺のレフリーのイメージは角田信朗さんです。

設楽 日村さんがこのレフリーの靴をなぜかいたく気に入っていて(笑)。どこのメーカーかもわからないような安いやつなんですけど。「これいいなあ!」って異様な興奮だったよね。

日村 履いたらわかるって(笑)。本当に機能性が高いのよ。

──ずっと寝かせていて浮上してはスルーしているネタってほかにもあるんですか?

設楽 もう1個、20年くらい前のやつがあるんですけど、俺が出てこないっていう(笑)。オークラと日村さんが出る空手のネタ。あれもいつかやりたいね。

日村 オークラがついに舞台に出てきちゃうっていう(笑)。

設楽 あと特典映像の「耳かき」もかなり昔に考えたネタです。ずっと、どうにかできないかなと思っていて、SEコントとして今回やっと入れられました。

one-half rhapsody
one-half rhapsody
東京の高層マンションで暮らす中学の同級生・おさむちゃん(設楽)の元を訪れた、地元でうだつの上がらない生活をしているむらっきょ(日村)。あることを確かめるため、中学の頃の出来事を回想しながらおさむちゃんの本音に迫っていく。舞台を左右2つに分けて現在と回想シーンを演じた、30分以上に及ぶ意欲作!

設楽 東京に出ていく奴と残る奴の人生、みたいなコントをやりたいと昔から思っていて。

──日村さんは回想シーンで何役も演じていて大変そうでしたね。カツラを替えて、声も変えて。

日村勇紀(右)

日村 俺はそこの勝負みたいなところがありましたね。舞台中央に置かれたセット裏でカツラを替えているんですけど、そこを見せちゃうっていう面白さもありますし。

設楽 でも実は現在の部分が大変なんだよね。現在の自分で話を振って、回想に行かなきゃいけないから。

日村 現在のほうを間違えるとぐちゃぐちゃになっちゃう。

設楽 でもセリフが入れば意外と楽しかったんだよなあ。30分くらいあるんだけど、長いという感覚はなかった。

日村 やってたらあっという間だったね。

設楽 ネタ中にガッツリ曲を入れるっていうのも久々にやりたくて、Calmeraさんの「鍋屋横丁の夜明け」を使わせてもらいました。けっこうやりたいことを詰め込んだネタになりましたね。

──特典映像として収録されている「なんで痩せないんだろう」のような、お二人のリアルな会話を文字にして見せる幕間のシリーズは台本があるんでしょうか。

設楽 録るときは一応ラフな台本にしていますけど、基本は日村さんとの雑談そのままですね。日村さんの実体験なので。

日村 あはははは(笑)。

設楽 こういう幕間のSEコントはカンケさんとか、昔からライブを手伝ってくれているできたくんとか、いろんな人の結集ですね。「デブドリンク」の発明者はオークラですし(笑)。コントもそうですけど、特典映像もいろんな色があって楽しめると思います。