ナタリー PowerPush - バナナマン
人気コント師の単独ライブDVDとDVD-BOXが同時発売 2006年から2009年までのライブ活動を2人が振り返る
疾風の乱痴気
<収録コント> 1. Fu / 2. Bad Karma / 3. 風の如く / 4. 絵本 / 5. Confunded / 6. 赤えんぴつ / 7. Wind Chime (俳優座劇場 / 2008年8月)
──続いて「疾風の乱痴気」はいかがですか?
設楽 毎回、時間がなくて練習するのが大変なんですけど、このときが一番そんな感じだったかもしれないですね。もうほとんど日村さんと合わせなかったし。日村さんにできた台本を届けて、日村さんは覚えて、みたいな。だから、このときは日村さんばっかりがしゃべるネタが多いですね。
日村 絶対噛んじゃいけないコントの台本が2日前くらいに届くんですよ。「うわぁ~やべえ、とんでもねえの来たぞ!」っていう。
──時間のない中で、ネタがギリギリで仕上がることは日常茶飯事なんですか?
設楽 毎回そうなんですけど、このライブは特にひどかった。日村さんが覚えてるときに、俺が違うコントを書くっていう進め方でやってたんですけど。
日村 そうそうそう。だからほとんど合わせてないんですよね。
設楽 でも、まあまあまあ、まとまってた。
日村 面白いですよ。
設楽 「絵本」のネタとかも、ずっと前に考えてたやつなんですよ。
日村 これかなり前に考えてたね。もう10年以上前に。
設楽 「どうしようどうしよう」ってずっと先送りになっていて、ようやくこのときにやったんですよ。なんかそういうことはよく覚えてますね。毎回「あと1週間早くやれば」って言ってて、ノートにも「来年は1週間早くやる」とか書いてるんですけど、前の年にそのノートごと火事で燃えちゃったんですよ(笑)。
wonder moon
<収録コント> 1. wonder moon / 2. hasty / 3. the melancholic / 4. 4 / 5. Happy Birthday / 6. 赤えんぴつ / 7. swear to the moon in Hawaii (俳優座劇場 / 2009年8月)
設楽 このときは、日村さんよりも別で早く事務所来たりして早めに台本を書いたんですよね。前回がヤバかったから。
日村 「ヤバババイ」って、すげえ言ってたよね。
設楽 ヤバババイ(笑)。
日村 稽古場で、オークラ(“第3のバナナマン”と呼ばれる構成作家)と。
設楽 言ってた。
日村 「ヤバババイ」って2人で言ってて、「絶対ヤバくないこいつら」って(笑)。
設楽 「wonder moon」は本当に全体的にポップで、ビジュアル的にも楽しいものっていうのは意識してやったんですけどね。
──お2人のコントには、ときどき童話の世界と混ざったようなお話が出てくると思うんですけど、どんなときにそういうコントを作ろうと思うんですか?
設楽 たぶんすごく伝えたいことがあるときかもしれないですね(笑)。毎回みんなで言ってる「鳥」とか「花」とかのテーマのほかに、そのとき思ってる伝えたいこととかがたぶんあるから、そういうのが反映されてるんじゃないかな。「Spicy Flower」だったら、「生活に花(華)があると、ないよりいい」みたいなこととか。「思いは言わないと伝わらない」とか。
日村 でも、「wonder moon」は今までのに比べたら、やっぱり「月」がテーマだけあって不思議なものが多いですよね。毎回設楽さんがホワイトボードに「今年のライブはこういう構成で行こう」って言いながら書くんですよ。毎年同じことが行われるんですけど、「最初、小気味のいいドンネタ」って書くんです。「2個目、しっかりした爆ドンネタ。3個目、ちょっと変わったいい感じのドンネタ」って。その「ちょっと変わったいい感じのドンネタ」っていうのが、おそらくちょっと変わったファンタジー系なんですよ。あと、「爆ドンネタ」って書くところと「ドン爆ネタ」って書くところがあって、何が違うのか違いがよくわかんないんですけど(笑)。そういうのを毎回稽古が始まるときにホワイトボードに書きますね。
──すみません、「ドンネタ」ってどういう意味ですか?
日村 そうですよね(笑)。カタカナで「ドンネタ」って書くんです。
設楽 「ドーン」ってウケるっていう。「爆」は爆発的なイメージですね。
日村 感覚なんですけど。毎年あるんです、必ず。
設楽 設計図が。それを書き出すとみんなが真剣に「うん、うん」って言って。まあ笑いながらですけど、でもいちおうそれを設計図にしてるんですよ。
日村 だから3番目とか4番目にくる「いい感じのドンネタ」みたいなやつがそういうことなんです(笑)。
設楽 1本1本はもちろんネタ自体は面白いのを作らなきゃですけど、こういうライブだから、全体の構成的にやっぱ「爆ドンネタここに欲しいな」とか、「いや、ここはドン爆ネタじゃねぇ?」とか。
──違いが(笑)。
日村 違いは設楽さん以外はまだ誰もわかってないです。「ドン爆」と「爆ドン」の差は。
赤えんぴつ
<収録曲> 1. いちごみるく / 2. ドロドロ / 3. バイバイ / 4. 自転車 / 5. 桃ジュース / 6. 青い空の下で / 7. チュッチュチュルッチュ / 8. 恋ごころ / 9. サーカス / 10. ディーダダ / 11. それを胸に / 12. 誕生花 / 13. 風が吹く / 14. イカレポンチ / 15. 好きだ / 16. オレンジ(ボーナストラック)
──シリーズ化しているフォークデュオ「赤えんぴつ」は、そもそもいつ頃生まれたんですか?
設楽 それこそもう15~6年? コンビ結成当初から前身になるネタがありましたね。「赤えんぴつ」自体は……。12年くらい経つのかな。
日村 最初は、井上陽水さんの曲とか歌ってたんで。
──ありものの曲をコピーで?
日村 はい。それで、どこかのタイミングで設楽さんがオリジナル作ったのかな。
設楽 今回の特典ディスクには年代別に曲が入ってるんですよ。「いちごみるく」がたぶん最初に作った曲ですね……あっ、でもこれ自体は8年くらい前のやつだから、もしかしたらそれくらいしか経ってないのかも……。
日村 でも、もっとずっとやってるイメージだよね。
設楽 やってるにはやってましたよね。オリジナル作ったのがそれぐらいからで。
──カセットテープも会場で売ってましたよね。
設楽 そうですよ。最初はカセットテープでしたもんね。
日村 カセット売ってましたねー。
設楽 このDVDで歌だけ抽出してまとめて見ると、なんかミュージシャン「赤えんぴつ」が育っていく感じが出るんですよね(笑)。
──つなげて見るとドラマがあるんですよね、2人の間で(笑)。
設楽 そうなんですよ。コントの内容見てると、ほんとそんなノリもあるんですよね。「辞める」とか、「辞めないでもう1回やってよ」みたいなのとか。当初、こんなに長く続くシリーズになるとは全然思ってなかったんですよ。基本、僕らは1回やったら同じことをやらないほうが多いですからね。続編っていうのはあんまりないですよね。キャラクターコントもあんまりないですから。だから毎回いつも「どうする?」ってなるんですけど、やると楽しいんですよね。めちゃめちゃ頭おかしいですから(笑)。
収録内容
- wonder moon
- hasty
- the melancholic
- 4
- Happy Birthday
- 赤えんぴつ
- swear to the moon in Hawaii
収録時間:本編138分
収録内容
- 5枚組DVD-BOX
「Spicy Flower」「kurukuru bird」
「疾風の乱痴気」「wonder moon」
「赤えんぴつ」 - 収録時間:本編478分+映像特典38分+赤えんぴつ46分
バナナマン
●設楽統/左(したらおさむ)
生年月日:1973年4月23日
出身地:埼玉県
趣味:ボウリング、競馬、ダーツ
●日村勇紀/右(ひむらゆうき)
生年月日:1972年5月14日
出身地:神奈川県
趣味:ビリヤード、ダーツ、ボウリング
所属:ホリプロコム