ナタリー PowerPush - バナナマン
人気コント師の単独ライブDVDとDVD-BOXが同時発売 2006年から2009年までのライブ活動を2人が振り返る
抜群の演技力と卓越したストーリー展開を見せるコントを武器に、ますます活動の幅を広げつつあるバナナマン。このたび約1年ぶりとなる単独ライブDVD「bananaman live wonder moon」をリリースし、コントの世界の新たな領域にまた一歩足を踏み出した。
2人は同DVDの発売にあわせて、これまで単品で発売していたDVD「Spicy Flower」「kurukuru bird」「疾風の乱痴気」の3作と特典ディスク「赤えんぴつ」、さらに最新作「wonder moon」を含む5枚組DVD-BOX「bananaman live DVD-BOX 花鳥風月」も同日リリース。2006年から2009年までの単独ライブをひと区切りのシリーズとして完結させた。
お笑いナタリーでは、今回のリリースを記念してバナナマンの2人にインタビューを敢行。濃密な4年の間に生まれた数々のコントを振り返ってもらった。
取材・文/遠藤敏文 インタビュー撮影/中西求
花鳥風月のコンセプト
──今回発売されたDVD-BOXは「花鳥風月」ということで4部作になっていますが、このコンセプトはいつぐらいに考えたものですか?
設楽 これは2個目の単独ライブからですね。実際は「花」「鳥」「風」「月」って順番通りじゃないんですよ。最初は「kurukuru bird」(鳥)だったんですけど、「次を『Spicy Flower』(花)にして『花鳥風月』にしよう」って言って。だから「kurukuru bird」をやったあとで、なんとなく決めたっていう感じですね。
──4部作で共通して意識したテーマは?
設楽 そんなに共通したテーマはないですけど、年齢的にも、やってること的にも、この4年ぐらいってたぶん一番いい時期だと思うんですよ。そんな一番いい時期の4年を形に残そうじゃないかということは意識しました。
──以前から、ご自身のことを「低空飛行芸人」と言っていましたが、この4部作の頃には明らかに離陸しましたよね(笑)。
設楽 いや、低空飛行は今も低空飛行ですよ(笑)。
日村 ブレイクしたことがないんですよね。きっかけがないんで。テレビは出させていただけるようになったかもしれないですけど。
kurukuru bird
<収録コント> 1. kurukuru bird / 2. 宮沢さんとメシ / 3. too EXCITED to SLEEP / 4. 青い鳥 / 5. キャンプファイヤー / 6. LAZY (俳優座劇場 / 2006年8月)
──今日は、1作ずつライブ当時の裏話を聞かせてもらえますか? さっそく「kurukuru bird」から……。
設楽 ああ、覚えてっかな。
日村 たぶん稽古のときはそんなに変わらないんですよね、毎年。そのときすげえ何かが流行るってあったかもしんないですけどね。
設楽 ああ、この頃はスタンガンですかね。
日村 スタンガンは流行ったかもしんないっすね。スタンガンでなんかやったら面白いっていうのが。スタンガンもそうですけど、DVDの特典映像は結構おっかねえのが多いんですよ。「目隠しクッキング」とかもあるし。
──「wonder moon」の特典映像「コーラ一気飲み」もかなり危険じゃなかったですか?
日村 あれもそうですね。前の日から何も食べないでゲロを吐くって。本当にそうなるかわからなかったけど、「やれるところまでやってみようか」って言ったらようやく出てきたっていう。
──「kurukuru bird」に話を戻しますが、「宮沢さんとメシ」は「キングオブコント2008」でもかけたり、ライブの時点から反響があったネタじゃないですか?
設楽 そうっすね。いろんな人に面白いって言ってもらえましたね。
日村 「宮沢さんとメシ」はやっぱそうですね。
──そのあと宮沢りえさんご本人が「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)で日村さんの顔マネをされましたもんね。
日村 そうそう。あの宮沢りえさんがね。
──「青い鳥」も、2010年の元日ドラマ「笑う女優」(日本テレビ系)でドラマ化されました。そもそも「kurukuru bird」っていうキーワード自体は、どんなときに思いついたものなんですか?
設楽 これ、いつも僕が決めるんですけど。なんですかね。「クルクルパー」からきてるんですけど(笑)。まあまあ、でも毎回タイトルを一番初めに考えてからネタ作り出すんですよ。「宮沢さんとメシ」は、それこそ7~8年前から構想だけはあって。なんかイメージだけはあったんですけど、やってなかったんですよね。
日村 初めて台本見せてもらって、2人で読んでてもう爆笑でしたからこれは。「超おもしれえ!」って言って。
設楽 ほぼ台本のまんまですしね。長いからカットしたぐらいかな。
日村 大体のネタは、最初読んで「面白いねぇ」って言いながらも、設楽さんがちょこちょこ直すっていうのが何回も繰り返されるんだけど、「宮沢さんとメシ」はそれがなかった。実際、ほとんど練習もしなかったんじゃないかな。ほかのネタばっかりやったりして。寝る前のやつ(「too EXCITED to SLEEP」)も面白かったですねぇ。バカみたいなことばっかりやって(笑)。
設楽 「キャンプファイヤー」は、日村さんの実体験をもとに作ったネタで、これも面白かった。意味がわかんないですけどね。
日村 仕事先で、たまたま「ちょっと飲みに行きましょうよ」って誘われたところに、同級生なんだろうけど、なんか上下関係がある人たちがいたんですよ。俺もなんでそこに呼ばれたのかもよくわかんないんですけど。
Spicy Flower
<収録コント> 1. uneducated / 2. a shocking move / 3. ギリギリセーフ / 4. SKYDIVING / 5. 赤えんぴつ / 6. No clu (俳優座劇場 / 2007年8月)
──「Spicy Flower」はいかがでしたか?
設楽 このときは「花」をモチーフにしたんですけど、それとは別に着ぐるみを着た人が最初に出てくるコントをずっとやりたかったんですよね。当時、着ぐるみを探すのに、ネットでいろいろ探した記憶がありますね。意外と安く借りれるんですよね。かわいいし、ちょっと洒落てる感じのやつってなかなかなかったし。ああ、あと一輪車か。
日村 あのコントに出てくる一輪車、設楽さんから誕生日にもらったんです、俺が。
設楽 一輪車ハマってましたけどね。今じゃさっぱり。
──「Spicy Flower」に限らず、舞台でお客さんの前でやるコントとテレビで見せるコントと一番違う部分は?
設楽 これはもう全然違いますよね。圧倒的に違うのは、やっぱ尺の問題ですよ。テレビは、どうしても時間が短いですから。もちろん舞台だからといってダラダラやれないけど、最終的には「面白ければ、長くてもまあいっか」に落ち着くんです。でもテレビの場合はそれが許されないですからね。そこが一番違うところだと思いますね。
──やっぱり、どんなに忙しくても単独ライブとかで自分たちの好きな尺のコントをやっていきたいっていう思いはありますか?
設楽 そうですね。やっていきたいですよね。テレビでもたまにネタやりますけど、やっぱりライブよりも悪い状態でやらなきゃしょうがない部分があるじゃないですか。ライブは、俺ら用に舞台も照明も作ってるし、音もスタッフも、一番最高のものを見せられる状態でやってますから。テレビだと、どうしてもそこで妥協が出てくるし尺も詰めてやるから、やっぱコントはライブでやるほうがいいですよね。とはいえ、テレビは1回ネタをやるだけで圧倒的に見てくれる人が多いですからね。これは歯がゆい部分ではありますけどね……。今はDVDというものがあって本当に良かったです(笑)。
収録内容
- wonder moon
- hasty
- the melancholic
- 4
- Happy Birthday
- 赤えんぴつ
- swear to the moon in Hawaii
収録時間:本編138分
収録内容
- 5枚組DVD-BOX
「Spicy Flower」「kurukuru bird」
「疾風の乱痴気」「wonder moon」
「赤えんぴつ」 - 収録時間:本編478分+映像特典38分+赤えんぴつ46分
バナナマン
●設楽統/左(したらおさむ)
生年月日:1973年4月23日
出身地:埼玉県
趣味:ボウリング、競馬、ダーツ
●日村勇紀/右(ひむらゆうき)
生年月日:1972年5月14日
出身地:神奈川県
趣味:ビリヤード、ダーツ、ボウリング
所属:ホリプロコム