秋山にとってのアントマン

──アントマンとワスプの2人をアキナさんご自身で例えると、どちらがどちらになるでしょう？

秋山　僕ら、似ているところがいっぱいあるんで、どっちがどっちか、というのは迷いますね。

山名　でも、どっちか演じてください、と言われれば、アントマンをやりたいです。

秋山　山名くんはしっかりしてるんですけど、ホンマにビビリってだけです。虫とかにギャーギャー言うくらい。

──それを秋山さんが支えていると。

秋山　そうですね。アントマンが山名くんで、僕がワスプ。それがアキナかもしれないです。

──ではこの映画のように、アキナさんがお2人で何か困難を乗り切ったような印象深いエピソードはありますか？

秋山　僕、カナヅチでまったく泳げないんですよ。水も怖くて。先輩にコンビで海へ連れていってもらったときに「バナナボートで遊ぼうや」って言われて。「絶対落としてきたりするでしょう？」って聞いたら「絶対せえへんから」って言われたんですけど、僕、案の定落とされて、おぼれかけたんです。

──それは大変でしたね。

秋山　で、みんなが手を叩いて笑ってる声がうっすらと聞こえてきて。「ホンマにおぼれてんねんけど」って思いながら。でも、そのときにいましたね、アントマンが（笑）。山名くんが「秋山！」って泳いできて救ってくれたんです。ヒーローですよ。ほんまに救われました。

──それは秋山さんが本当にカナヅチだ、と山名さんがわかっていたから？

山名　はい。僕ら、前はトリオやったんです。で、その海に行ったのが、ちょうどコンビになってすぐのときやったんです。「また1人減るやん！」と思って（笑）。「危ない危ない！ 1人になっちゃう！」と危険を感じたんです。それで助けに行きました。

秋山　僕は前作を観てなかったので、試写会で初めてアントマンにお会いした形なんですけど、何年か前にアントマンに出会ってました。

山名　そんなカッコようないわ（笑）。

俺ら一緒の気持ちやな

──逆に山名さんが秋山さんに救われたことは何かありますか？

山名　円卓席で食事しているたくさんの人の前でネタをする仕事があったんです。円卓やから、こちらに背を向けている方もめちゃくちゃいる。お酒も入ってる。

──結婚披露宴のような？

山名　どこかの会社の祝賀会でした。15分くらいの出番なんですけど、スベり散らしたんです。スベりすぎて、わろけてきたんですよ。パッと秋山さんの顔を見たら、めっちゃわろてた。同じ思いやったと思うんです。そのまま自分らを俯瞰で見ながら15分やりきったとき、「あ、俺ら一緒の気持ちやな」と。最後までツッコんでくれました。

──そこは秋山さんも同じ気持ちでしたか？

秋山　もちろんそうです。顔見たらわかるんで。「むちゃくちゃスベッてるよな」っていうのを目で確認しあって。あとは時間が解決してくれるっていう。

──アキナさんは「キングオブコント」決勝の常連で、「M-1グランプリ」にも出場されています。そういった賞レースの際にも絆は深まるのでは？

秋山　この時期（＝取材時の8月）はだいぶ熱くなりますね。

山名　このあたりから、ちょうどいろいろ始まるんで。

秋山　「キングオブコント」が終わったと思ったら、すぐ「M-1」が始まるんでね。

守谷日和に学んでほしい

──コンビとしてうまくやっていく秘訣は、どんなところにあると思われますか？

秋山　相方のセンスを好きになることだと思います。僕は無理に好きになったことは1つもないんです。相方のボケであったり、センスが好きやったんで「コンビ組みたいです！」って声かけたんで。ずっと好きですね。ツッコミの人は、相方のボケが一番オモロいと思う気持ちが大事。

山名　僕、この話のあとでちょっと恥ずかしいんですけど、なにげない会話っていうのが大事かなと。

秋山　大事ですね。

山名　コンビでしゃべらない人は本当にしゃべらないんでね。ものすごく先輩になったら、もう別にいいとは思うんですけど。

──この「アントマン＆ワスプ」をオススメしたい芸人さんを挙げるとすれば？

秋山　（未知）やすえ姉さんかな。お子さんと一緒に観ても楽しい映画やと思いますし、旦那さんの内場勝則さんと観てもいい映画ですし。家族でも観られる。やすえ姉さんがアントマンを観られるのはイメージが湧かないんですけど（笑）。「1回観てください！ 絶対ハマるんで！」ってオススメしたいです。

山名　僕は、同期の守谷日和っていうピン芸人ですかね。なんかね、ちょっと人として欠落してる部分があって、この場所では話せないこともたくさん起こした人間でもあるんです（笑）。愛にあふれてる映画なので、人として愛というものに気づいてほしいなと思います。

秋山　たしかに。すぐ逃げるふしがあるので、お笑い界でやっていくための戦う気持ちも学んでほしいです。

──最後に「アントマン＆ワスプ」について、お笑いナタリー読者へメッセージをひと言お願いします。

秋山　お笑い好きな方は絶対に観なアカン映画やと思います。ぜひ映画館で観てほしいですね。

山名　身体がこんな小っさいのに、感動と興奮、こんな大っきいんやって思いました。ちょっと深い話になりましたけれども……。

秋山　ギリ、深くないよ（笑）。