「第41回ABCお笑いグランプリ」|今年の王者は誰?お笑い好き著名人と芸人たちが優勝予想!

若手芸人の登竜門として歴史あるお笑いコンテスト「ABCお笑いグランプリ」の第41回大会決勝が7月12日(日)にABCテレビで生放送されるほか、ABEMAでライブ配信される。昨年の2019年大会で優勝したのはエンペラー。今年もファイナリスト12組(オズワルド、カベポスター、からし蓮根、コウテイ、さや香、世間知らズ、そいつどいつ、滝音、チェリー大作戦、ビスケットブラザーズ、フタリシズカ、ベルサイユ)が王者の座と優勝賞金100万円を狙う。

お笑いナタリーでは前回大会同様、お笑い好きの著名人や芸人など5名に今大会の優勝予想を寄稿してもらった。そのメンバーは「M-1グランプリ2018」優勝予想で1位から3位までを的中させたことも記憶に新しいDJ KOO、クイズ王 / クイズ作家の古川洋平、テレビもお笑いも大好きなタレント・ぱいぱいでか美、テレビっ子のライター・てれびのスキマ、「第36回ABCお笑いグランプリ」王者・GAG宮戸の5名だ。彼らの予想を通して大会をより楽しもう。

取材・構成 / 成田邦洋

DJ KOO

DJ KOO

優勝予想オズワルド
要注目フタリシズカ

誰が優勝しても確実に盛り上がり日本を元気にしてくれるでしょう!!

オズワルド独自の世界観、まさにイリュージョンなボケツッコミのやり取り、仕上がりが右肩上がりです!! ネタの内容も面白く聞きやすい、とにかく笑いの確実性が高いので決して派手ではないけど総合力での評価はかなり高いと思います!! 今大会優勝最有力コンビです!!

フタリシズカは音と視覚×設定ストーリー、最高に面白い!! 男女のコンビとしても新鮮だし、かりこるさんのハジケっぷりは見ていてホント上がります! しかも音作りがガチなので余計にツボります! 新しい形の音ネタコンビとしてブレイクしそうな予感がスゴいです!! 推せます!!

そのほか気になる芸人さんですが、コウテイのお二人は結構前から注目していました! キャラが楽しくギャグ&ボケの数が多いし、立体的な動きは視覚的にも見応えがあります! 2人のコンビネーションとやり取りには勢いを感じます! 何より笑いの爆発力があるのでいつ優勝してもおかしくないと思います!!

そいつどいつさん、何気ないシチュエーションから広がる笑い、ホント上手く出来てるなぁって思います! 見やすいしどんどんネタに引き込まれていく感じがたまらなく楽しいです! からし蓮根さんのテンポ良い流れ、ギャグ、ボケの多さ、そして展開の面白さ、強いです! さや香さん、安定の笑いと心地好いテンポでどんどん引き込まれていく、ハズレなし!!

今大会の決勝エントリー、皆さん各々独特のスタイルと実力を兼ね備えた人達ばかりで、決勝の舞台はどのコンビがどう展開していくのか!? 本当にワクワクな期待でいっぱいです!! コロナに負けない笑いのパワー!! 誰が優勝しても確実に盛り上がり日本を元気にしてくれるでしょう!! ABC最KOO!! バクショー DO DANCE!!

DJ KOO(ディージェーコー)
TRFのリーダー、DJ、日本屈指の盛り上げ番長。トータルCDセールスは2100万枚を超え、多くの人に今なお愛され続けている。現在はTRFの活動と共に「日本を元気に!笑顔に!」をモットーに、盆踊りとDJを融合させた“進化型お祭りエンタテインメント”で話題を集めている。そして、2020年8月よりDJ活動40周年に突入! HAPPY DO DANCE!!!
古川洋平

古川洋平

優勝予想カベポスター
要注目滝音

腹の底から笑えて優勝争いに熱くなれる、お祭りのような大会を期待

「ABCお笑いグランプリ」が今年も無事開催される事を嬉しく思います。それとともに、ただのお笑い好きの私にこのような機会を頂けた事が大変光栄……という気持ち半分、本当に自分で良いのか?という気持ちが半分な状態です(笑)。背伸びせず、お茶の間にいるお笑い好きの意見としてお話させて頂きます。どうぞご容赦ください。

さて、僭越ながら優勝者予想にはカベポスターさんを推させて頂きました。昨年も持ち味が十分に発揮されたパフォーマンスで高く評価されましたが、どのネタでも安定的に面白く、いつ見ても周囲の期待を上回ってくれると思っています。

最近のお笑い賞レースでは「初出場組」が、「見慣れられていない」ことをインパクトに変えて勝ち抜いていくシーンを多く見かけます。逆にいうと、前年までに出場していて、手の内が知られているのに優勝するというのは、すごく難しい印象です。そういう意味で、カベポスターさんの優勝は、その「見慣れ」との戦いをいかに制するかも重要なファクターになりそうですね。

個人的に好きなコウテイさん、さや香さん、そいつどいつさんは、ネタの「勢い」も売りのコンビだと思うのですが、皆さん「ABCお笑いグランプリ」ではすでに決勝進出の実績があり、その実力が証明されてしまっている形となっています。会場を巻き込んでいくのがうまいこの3組もまた、昨年までに作ったハードルをいかに超えるかに注目です。

実力・実績的に、からし蓮根さんも触れないわけにはいきませんね。「M-1グランプリ」では最終予選以上の常連となりつつある実力派ですが、「ABCお笑いグランプリ」では2017年、2018年のファーストステージ敗退がキャリアハイ。自身もこの敗戦を受け「もっと謙虚にならないと」と反省の弁を述べたという2人が、捲土重来の優勝を飾る可能性も十分です。

要注目コンビには、滝音さんを挙げさせて頂きます。MCの南海キャンディーズ山里さんが「濃すぎる」と評した今回の決勝進出者は、もちろん全組に注目すべきなのは大前提なのですが、その中でも濃い個性を感じるのが滝音さんです。秋定さんのサイコパス味のあるボケに対する、さすけさんのワードセンス溢れるツッコミが何とも癖になります。彼らの笑いが、独特の言葉に乗せて会場に、そして審査員に刺さればもしかして……と思わせるオンリー1感が何よりの魅力です。

まずは改めて開催された事を喜びつつ、こういう状況だからこそ、腹の底から笑えて、優勝争いに熱くなれる、そんなお祭りのような第41回大会を期待したいと思います。

古川洋平(フルカワヨウヘイ)
宮城県生まれのクイズ王、クイズ作家。「クイズ法人カプリティオ」の代表を務める。仙台一高クイズ研究部時代に「パネルクイズ アタック25」(ABCテレビ・テレビ朝日系)や「タイムショック21」(テレビ朝日系)の高校生大会で優勝。その後、立命館大学クイズ研究会に所属し、学生日本一決定戦「abc」3連覇、社会人日本一決定戦「ABC」2度優勝などの成績を収めた。「水曜日のダウンタウン」(TBS系)、「しゃべくり007」(日本テレビ系)、「勇者ああああ」(テレビ東京系)といった数々のバラエティ番組に出演し、お笑いファンにもなじみ深い。
ぱいぱいでか美

ぱいぱいでか美

優勝予想コウテイ
要注目そいつどいつ

勝手に走ってる暴走機関車っぽさがめちゃ好きです

優勝予想はコウテイです。単純に超面白いので! 家でお笑いを見てるときって心で笑ってても別に真顔のときもありますよね。でもコウテイは家でも大声で手叩いて笑っちゃう。とにかく勢いがすごいし、年齢的にはいわゆる「第7世代」なんでしょうけど、そこに属してる感じがまったくしない。勝手に走ってる暴走機関車っぽさがめちゃ好きです。一番ウケてるのに、なぜか勝ち進めない、なぜか優勝できないってことがお笑いの賞レースにはありますが……。やっぱり一番ウケてるのが優勝する世界であってほしいなーと思います! 漫才やコントに縛られていないABCだからこそ、コウテイが勢いそのままに優勝してくれたら最高です。ズィーヤ★

そいつどいつにも注目しています。視聴者の目が肥えていく中で漫才だったらうまさ、コントだったら設定や物語そのものの奇抜さ(見たことなさ)を求められがちなのかなと感じるのですが、そいつどいつは無理な設定や必要以上の伏線などがなく、この世のどこかにはありそうな誰かのとっておきのエピソードを目の前で見ているようで楽しいです。しかしいつも刺身さんのキャラクターが強烈で、ボケのときもツッコミのときもとにかく目が離せない! 普通の人がやればそのインパクトが悪い意味で勝ちそうですが、お二人の演技力の高さのおかげで、リアルに変な人にしか見えないのがすごいです! あとなんの根拠もないんですけど、めっちゃ優しそうに見えて実は尖ってそうなオーラがあるので、怖いです(笑)。

そのほか気になるのはフタリシズカ。かりこるちゃんの片思いがいつか報われてほしい(笑)。学生設定のコントが多いと思うのですが、YouTubeにあげてた売れないカップルユーチューバーがめちゃくちゃ面白かったので、いつかネタ(コント)として見たい。からし蓮根は、なんかの写真で杉本さんがジャケットの下にハロプロのTシャツを着てたんです! 私もハロプロが大好きなので、気になります。王道な漫才も安心感があって面白い! カベポスターは永見さんのほんわかとしたキャラのおかげか、とても穏やかな気持ちで見られる。面白いのに癒されます。あと三重県出身ということで、同郷なので応援したくなる(笑)。

ステイホーム期間、いつも以上にお笑いを見ていました。笑うということの大切さに気付く一方で、エンタメ業界の風当たりの強さには、端っこにいる身としても、一ファンとしても中々考えさせられるものがありました。しかしいざ一斉に自粛生活が始まってみると、自分が思ってるよりもずっと多くの人がお笑いやテレビが好きなんだな、とも感じました。みんなテレビやスマホの前で何か楽しいことが起きないかと待っていました。少しずつ日常を取り戻している最中ですが、まだまだ油断できない日々に、手放しで笑っていられる時間は絶対に必要! なんでもありでオールジャンルのABCだからこそ、誰でも楽しめるはず。歴代の次世代ポジションだった皆さんが盛り上げてくれたおかげで、今年はABEMAで全国から観られるのが最高です。

広い世代に愛されるお笑いという文化だからこそ、最近は「誰も傷つけない笑い」という言葉もあります。価値観をアップデートし、見えない誰かを慮ることは確かにとても大切で、不愉快さが勝れば笑えないのは事実です。でも、誰も傷つけない笑いをしている芸人さんは、誰も傷つけないぞー!という決意のもとにネタを作ってるわけではないと思うんです。ただ面白いと思って作ったものが時代にフィットしているだけで、私は次世代が作り始めてくれたこの空気が本当に好きなんです。ABCのような若手芸人のための大会がより一層盛り上がることを願っています!

予想させてもらったものの、ファイナリストの皆さんは面白い方ばかり。惜しくも決勝に進めなかった方にも好きな芸人さんがいっぱいいます! 吉住さん、キャツミさん、ZAZYさんとかマジで面白い。誰が優勝するかとっても楽しみです!

ぱいぱいでか美(パイパイデカミ)
一度聞いたら二度と忘れられない名前と「言うほどでかくないがそこそこでかい」おっぱいを武器に、場所を選ばず大活躍。「有吉反省会」(日本テレビ系)レギュラー出演のほか、自身の楽曲の作詞作曲やライブ活動、楽曲提供、グラビア、コラム執筆などジャンルやメディアにとらわれず活動中。大のハロプロファンとしても知られる。
てれびのスキマ

てれびのスキマ

優勝予想コウテイ
要注目オズワルド、そいつどいつ

ハイテンションかつハイテンポな漫才のインパクトは絶大

大阪の若手芸人のネタをほとんど見られていないため、まったく予想なんてできないのですが、自分が知っている範囲で考えて、コウテイを推したいです。

ひと目見たら忘れられないキャラ(しかも両方とも)でのハイテンションかつハイテンポな漫才のインパクトは絶大です。密接から始まり、途中から離れていく舞台の使い方(特に九条さんが時折見せる、後半センターマイクの前に陣取り、スッとマイクを高くする所作が大好き)、勢いよく激しく動きながら、瞬間的にポーズを決めるなどコントラストがハッキリした漫才に惹かれます。

昨年の「ytv漫才新人賞」では、審査員のナイツ塙さんから「内容が入ってこなかった」と評されていましたが、いい意味で見慣れ、彼らの漫才が知れ渡っている今は、その情報量の多い漫才が最大限伝わるのではないでしょうか。漫才ではありませんが「座王」(関西テレビ)での活躍も2人の自信に繋がっているのではないかと思います。

超「密」な掴みをどのようにするのかもちょっと気になります。

注目しているコンビですが、やはりアウェーとなる東京勢にはがんばってほしいところ。特に漫才ではオズワルド、コントではそいつどいつは、どちらもアウェーに立ち向かうにふさわしい優勝を狙えるコンビじゃないかと思います。

オズワルドは、元々ネタが一級品なのに加えて、「M-1」でも最終予選ではトム・ブラウン、決勝ではミルクボーイとその日最大のウケ方をしたと言われる漫才の直後に登場しながらも、まったく動じることなく自分たちのゆっくりしたテンポを崩さない漫才を披露した強心臓。伊藤さんは「勇者ああああ」(テレビ東京系)の収録に遅刻した際も、堂々と笑いを誘い肝っ玉の座り具合を見せていました。アウェーだからこそ力を発揮してくれるんじゃないかと思います。

そいつどいつは、役者としても活躍する市川刺身さんのどんなにしつこくても引き込まれてしまう可笑しさはもちろん、相方の松本竹馬さんも千鳥・大悟さんに「なんか隠してる感じがするのよ」と評されるように、どこか底知れなさを感じます。その大爆発に期待したいです。

女性のピン芸人として決勝に残ったベルサイユさんも気になります。「おもしろ荘」(日本テレビ系)でもとても印象的でした。漫才やコントは「密」に配慮し、2人の距離等を多少変化をさせなければならないのではないかと思いますが、その影響がないピンネタはひとつの強みになるのではないかと思います。

あとは、2008年から長きに渡り司会を務めた藤井隆さんに代わり、今回から司会を担当する山里亮太さんがどんな司会をするかも注目です。

コロナ禍で開催自体が危ぶまれていたのではないかと思いますが、おそらく多くの障壁を乗り越えて開催にこぎつけたことが、まずありがたいです。

決勝に残ったメンツ、あるいは最終予選で惜しくも落選したメンツを見ても、いかに現在の若手芸人が充実しているかがわかります。「こんなときだからこそ」なんていう言い方は好きではありませんが、「こんなとき」を忘れさせてくれるほど、若く新鮮なネタで大笑いさせてくれることを期待していますし、きっとそうなるんじゃないかと思います。

てれびのスキマ
ライター。テレビっ子。戸部田誠名義で著書に「タモリ学」「コントに捧げた内村光良の怒り」「1989年のテレビっ子」「人生でムダなことばかり、みんなテレビに教わった」「笑福亭鶴瓶論」「全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方」「売れるには理由がある」などがある。
宮戸洋行

宮戸洋行

優勝予想ビスケットブラザーズ
要注目カベポスター

ある意味“第1回大会”やと思います

まずこれを読まれている皆さま、そして僕自身が思っていることを……「なぜここに宮戸が?」当然の疑問やと思います。しかも今大会は、最終予選はソーシャルディスタンスを守ったままのネタ披露、劇場も再開していない(※編集部注:原稿執筆時)ので前評判も聞こえてこない。そんな中、宮戸が優勝予想……こんなにも誰の参考にもならない予想はないでしょう。「赤ん坊に12組の写真見せてたまたま指差した芸人」が優勝する確率の方がまだ高いと思います。が、人から頼まれたことは全力でやりなさい。と母から教えられ育ったので僭越ながら僕なりに予想させていただきます。

優勝予想は、12組どこも面白いし優勝の可能性しかないという言葉をわざわざ言う必要もないくらい、ほんまにそんな感じの12組の中、ビスケットブラザーズを推させてください。あんな面白い顔して、あんな面白い体型して、あんな面白い設定考えて、あんな面白い演技できる2人大好きです。しかも、以前僕が体調が良くない日に2人はずっと優しい言葉をかけてくれました。いいやつでもあります。そんなビスケットブラザーズのコント、笑わない人いないと思います。

注目しているコンビは、カベポスターです。僕らも今年は3月からお客さんの前はもちろん相方とすら会わない状態でした。ネタ作りやネタ合わせはオンラインでやっていたのですが、非常にやりにくいんです。読み合わせしていても、ラグがあるので間がわからないし台本の受け渡しだけでも一苦労でした。そんな中、プロフィールの特技の欄に「パワーポイント」と書いている永見くんを有するカベポスターは注目したいです。この期間「メカに強い」は、ネタ作りネタ合わせにおいてかなりのアドバンテージやと思います。

ネタをやっていて、お客さんの笑い声というのは必要不可欠なものやと、この期間で僕自身実感しました。お客さんの笑い声でテンポをつかんでいく漫才師、お客さんの笑い声で演技を変化させるコント師、お客さんの笑い声に正面を向き話しかけるピン芸人……長々と書きましたが、こんなにも蓋を開けてみないと、どうなるかわからない「ABCお笑いグランプリ」はなかったと思います! 第41回大会ですが、ある意味“第1回大会”やと思いますので、楽しみにさせていただきます。出場者の皆さまのご武運お祈りしております!

宮戸洋行(ミヤトヒロユキ)
大阪府出身。NSC大阪校27期生。GAGのメンバーで、2006年に坂本純一、福井俊太郎とトリオを結成した。2015年の「第36回ABCお笑いグランプリ」で優勝。「キングオブコント」では2017年より2019年まで3年連続でファイナリストとなっている。

2020年7月9日更新