4月17日、18日に東京・北沢タウンホールにて舞台「『田中が考え中』~第1幕~」が上演された。
これは昨年2011年12月に新宿シアターモリエールにて上演された舞台。
前回メガネキャラ同士で、見た目にも演技もわかりやすい師弟関係を中岡と築き上げた鈴木。一方、実際に事務所の後輩である野田は、鈴木に全力でぶつかる演技で役を仕上げて見せた。引きこもりというネガティブな役柄の上、ある秘密を持つヒロシは、稽古でもまだその役を嫌がりながら、本番は振り切って熱演。1人だけ役柄が変わり負担の大きかった春日だが、その苦労を微塵も見せずに“熱血空回り”な教師を演じて見せた。シリーズ通して常に全員のまとめ役となる高橋は、鈴木のアドリブ、野田のセリフ間違いにも冷静に対応。前回まさかの涙で会場にいるすべての人たちをもっとも驚かせた鈴木は、板についた役者魂で今回も観ている人たちの涙を誘った。
ストーリーテラーとして登場した田中は、ほかにない自由すぎる解説に加え、今回の稽古エピソードなども披露。鈴木との掛け合いでも会場を笑わせた。また、ヒロインの篠崎愛をめぐって稽古中常にテンションが上がっていた出演者たちは、本番でも篠崎に演技力をしっかりアピール。稽古と微妙に違う演技で田中を悩ませた。
ふざけてばかりの鈴木と野田、自分の欲望ばかりが前に出てしまう春日とヒロシに会場は爆笑の連続だったが、彼らの心の奥にある結婚への思いが徐々に明かされると、会場の空気は一変。それぞれが胸に秘めていた悩みや、鬱積した感情を爆発させると、出演者たちからも自然と涙がこぼれていた。
終演後出演者たちは、「いやー終わった!」と笑顔。高橋は最後の野田の演技に「解放感が出ちゃってた」と笑うと、鈴木も笑いながら「最初からそのテンションでやれよ」とダメ出しした。田中は「お芝居だからって篠崎さんの胸見すぎ!」とカンカン。その解放感からヒロシらは反省するどころか「ああでもしなきゃ見れないでしょ!」と開き直った。鈴木の熱演には今回も田中は「目の前で鈴木さんがビービー泣いて」と脱帽。鈴木は「俺だって演技うまいんだよ! 相方ばっかりうまいって言われてさ。何がアカデミー賞だよ!」と、さらに演技に自信をつけた様子だった。
気になる次回については、田中が「キャストはどうなるかわかりません」と言うと、「どういうことだよ! 演出家ぶるなよ!」(鈴木)、「こういうとき真っ先に人力舎が外されるんだよ」(高橋)、「俺、また中岡くん入ってたら嫌だよ!」と非難が集中。とりあえずまだ何も決まっていないということで、田中は「第2幕、第3幕と続けていきたいので、よろしくお願いします」と観客に頭を下げた。
「田中が考え中」出演者コメント
篠崎愛:すごく楽しかったです! 私自身は1回目にちょっとミスしてしまったんですけど、今日はちゃんとできました。改めて芸人さんってすごいなって思いました。アドリブとか私はできないんですが、みなさんが面白くしてくださって、とても楽しくできました。
ヒロシ:相変わらずすごく引かれてたけど、目標通りです(笑)。全力で引かせますと宣言してましたから。前回はまだこのメンバーでも人見知りだったんですが、今回は新たに篠崎さんがいて。目標じゃないですけど、みんなで篠崎さんとどう絡もうかとか、1つになれて面白かったです。また次回呼ばれるのか不安ですが。規模が大きくなると呼ばれないという経験があるので。田中くんに口を酸っぱく言っておこうと思います。ぜひ次回もお願いします。
オードリー春日:僕だけ役柄が違ったんだけれども、それだけ座長の期待が大きいのもわかりました。春日じゃないとこれはできないから。前回の警官も良かったけど、その陰が見えないくらい熱血教師という新たな春日に作り替えたというのは、期待以上のものを出せたかな。このあと座長にすごく褒められると思います。篠崎さんとのシーンでは、ハンケチを噛んでたお客さんもいるんじゃないかな。「キーッ」っつって。それだけが心配でね。とにかく楽しかったですな。正月の福岡旅行と同じくらい楽しかったです。
キングオブコメディ高橋:最後野田の解放感が出たところで、緊張の糸が切れそうになりましたね(笑)。あそこで意外とセリフを間違えるんですよ。最初とつながる場面なので、ちゃんとしなきゃいけないとこなんですけど、野田が一気に「ハッハッハッハ」って興奮するから、「やばい! ひきずられる!」って。でも今日はリハもあって、ちょっと本人たちが飽きてきたところもあったんですけど、春日くんが本番で面白いアドリブを入れてきて新鮮でしたね。ほかの人は練習でアドリブってだいたい出尽くすんですけど、春日くんはちゃんと奥のほうに引き出しをとっとくんですよ、あれ意図的だと思います。あの男は秘密の引き出しを持ってるんです。それを僕が毎回気づけるようにするのが、また楽しい。あ、今の春日くんのくだりはちょっと良く言いすぎました。
鬼ヶ島・野田:昨日ちょっとやばかったんですよ。今日は良かったんですけど、春日くんとのところで僕が間違えちゃって。そこを春日くんが機転を利かせて後で入れてくれたんです。バケモンだなと。なんてハートの持ち主だ。あと、最後鈴木さんが涙をね。僕が泣かせたみたいで気持ちよかったです。今日は僕が先に泣いちゃったんですけど、鈴木さんに追い打ちをかけたのは僕だと思い込んでます。最後の場面はやりすぎちゃって、後で田中くんに怒られないか心配です(笑)。
ドランクドラゴン鈴木:僕はね、キャラクターに入るわけじゃないんですよ。春日と違って。でも1枚皮を脱がせてもらったというか。あの僕の相方がいるじゃないですか。あいつにも僕の演技力を見せつけてやりたいと思ってるんですよ。せっかく新たな一面をたなちゃんに引き出してもらってるにもかかわらず、相方も事務所の人も全然来てくれない! だから今後ドラマや映画の仕事が来ても断られちゃうんじゃないかと。なんとかして口コミで広がったり、アカデミー賞の人が観に来ねえかな。アカデミー賞で、「実はここに受賞者はいません。テレビの向こうの鈴木さんです!」っていうのを待ってるんです。
アンガールズ田中:2時間弱できると思ってなかったんですよ、0幕も1時間くらいかなって。それをみんながアドリブとかで増やしてくれて、俺が軸は書いてるけど、それぞれ演者さんたちが台本からグーっと伸ばしてくれて、面白くしてれるので、そこはこのキャストだからこそですね。お互いに気を使ってないから、アドリブも「それ採用」とかすぐできるし、野田くんもあっという間にこの空気に慣れてくれて。野田くんがえらい心配してたけど、こっちは信じてましたから。野田くんはすごく気を使う人だから、小さくまとまっちゃったらどうしようって思ってたんだけど、鈴木さんがいたから「こうやるんだ」みたいなのを動物の親子みたいに学んでて(笑)。鈴木さんがいてくれて助かりました。すぐにでも第2幕やりたいですけど、1年以内には必ずやりたいと思ってます。ぜひみなさんにも次回来ていただきたいです。アンケートにも出てほしい人を書いてもらったので、参考にします。
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