映画祭で上映される全11本の中で気になった作品を聞かれると、「ドラえもん のび太の恐竜」「名探偵コナン」「E.T.」などとボケながら、「戦争の狂気 中東特派員が見たガザ紛争の現実」を挙げた太田。「ロケット弾を迎撃する様子が捉えられていて、画力がありました。現在はウクライナの情勢もあるので、若い人にこそ見てほしい」と力を込める。
「日の丸 ~それは今なのかもしれない~」については「昔の映像と今の映像が交互にコラージュされた構成なので、今と昔の思想的な違いはもちろんのこと、顔の違いやしゃべり方の違いなどが比較できて面白い」と見どころを解説。さらに石破茂氏に迫った「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」も絶賛し、「相当はっきりと安倍(晋三)さんについての不満もしゃべっていたりして、テレビでそこまでは言わないはず」と映画だからこそ出てきた本音の言葉の数々に唸っていた。
自身が監督してみたいドキュメンタリー映画のテーマを問われた際には「渡部建が1日をどのように過ごしているのかを追いたい。渡部と東出昌大の1日を交互にコラージュするのもいい」と言い放つ場面も。また、かつて敬愛する立川談志の落語を7台のカメラで記録しようと試みたことを振り返り、「編集に当たっては、どのカメラのどの部分を使うのかを構成しなければならず、かなりの時間がかかった。膨大な量の映像からどこを使うべきなのか判断するのは大変。使う場所によって見え方や方向性も変わるので、ドキュメンタリーとはフィクション以上に難しいものだと思った」と作り手としての苦労も述べた。
太田は「ある意味で人生はすべてドキュメンタリー。劇映画を観ていなくても自分の目で見ている映像はドキュメンタリーですからね」とコメント。映画祭の意義について「ラインナップされた作品すべてが今の現象に繋がっているという意味では、どの作品から観てもいいと思う。ドキュメンタリー映画はニュース以上に深くのめり込んで観ることができるだろうし、これらの作品が世の中のニュースに興味を持つきっかけにもなると思う」と語った。
「TBSドキュメンタリー映画祭 2022」は3月18日(金)から24日(木)まで東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。
「TBSドキュメンタリー映画祭 2022」上映作品
立山芽以子監督「ムクウェゲ『女性にとって世界最悪の場所』で闘う医師」
武石浩明監督「人生クライマー ~山野井泰史と垂直の世界~」
酒井祐輔監督「ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~」
山本一雄監督「だから私は前を向く 萌々花20歳」
中島哲平監督「石破茂・嫌われた正論 10人の証言」
武田一顯、松原由昌監督「完黙 中村喜四郎~逮捕と選挙」
須賀川拓監督「戦争の狂気 中東特派員が見たガザ紛争の現実」
佐井大紀監督「日の丸 ~それは今なのかもしれない~」
守田哲監督「池袋母子死亡事故『約束』から3年」
川西全監督「ライブで歓声が聞こえる日 コロナ禍に抗う音楽業界」
西村匡史、神保圭作監督「さっちゃん最後のメッセージ 地下鉄サリン被害者家族の25年」
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てれびのスキマ/戸部田 誠 @u5u
太田膨大な量の映像からどこを使うべきなのか判断するのは大変。使う場所によって見え方や方向性も変わるので、ドキュメンタリーとはフィクション以上に難しいものだと思った」/爆笑問題・太田「ある意味で人生はすべてドキュメンタリー」撮りたいテーマ明かす https://t.co/EzGJG0MSPQ