ノブコブ徳井「敗北からの芸人論」刊行イベント、東野幸治本人を前に「ケタが違う」

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平成ノブシコブシ徳井の著書「敗北からの芸人論」(新潮社)の刊行記念トークイベントが昨日2月28日に東京・八重洲ブックセンター本店で行われ、徳井とゲストの東野幸治が約30分にわたってトークを繰り広げた。

「敗北からの芸人論」刊行記念トークイベントに出演した著者の平成ノブシコブシ徳井(左)とゲストの東野幸治(右)。

「敗北からの芸人論」刊行記念トークイベントに出演した著者の平成ノブシコブシ徳井(左)とゲストの東野幸治(右)。

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敗北からの芸人論

平成ノブシコブシ徳井健太「敗北からの芸人論」
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2月28日に刊行された「敗北からの芸人論」は既報の通り「デイリー新潮」での連載をまとめたもの。さまざまな芸人たちの“生きざま”を徳井の視点から紹介している。東野も2020年、吉本芸人たちの裏側を綴った「この素晴らしき世界」を同じ新潮社から出版した。その東野が「芸人について書くなら適任」と後継者に指名したのが徳井だ。イベントでは東野が「敗北からの芸人論」を読んだ感想を次々と投げかけ、徳井もそれに応える形で持論を語った。

平成ノブシコブシ徳井と東野幸治。

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東野曰く、「徳井は文章を書くのが上手やし、たぶん書くうえでストレスがないと思う。徳井が言うなら正解だと思う」とのこと。加藤浩次を書いた章について、東野は「僕が思う加藤の印象と、後輩の徳井くんから見た印象が若干違うのが面白い。こんな一面あんねんな、とか」と互いの立場からの芸人評の違いを面白がってみせる。東野が「一番気になった」のはコウテイの章。「ワイドナショー」(フジテレビ系)にコウテイが出演した際のことが書いてあり、実際にその文章を東野が読み上げてみせると徳井は「ちょっと恥ずかしい!」と照れたほか「お前ら、スベってもいいから真っすぐ行けよ!というのを書いた。コウテイへの熱烈なラブレター」と解説した。

平成ノブシコブシ徳井

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「結成15年目までコンビ仲が悪かった」(徳井)という平成ノブシコブシの章に関しても東野は言及し「今は兄弟みたいないい関係になっているからよかった。いいバランス」と述べると、徳井も「ネットでの連載は読んでくれたみたい」と相方・吉村について話し始め、「昔いろいろあったから、ありがとうという思いを書いた」とのこと。しかしその文章の解釈について、徳井と吉村との間にまだ大きな隔たりがあるという現状を徳井が説明して会場中の笑いを誘った。

芸人にとっての“ベタ”の話題も白熱。徳井はコロナ禍でテレビ収録のスタジオなどに観覧客が入らず、関係者だけが見ている現場で仕事が増えていったという。「徳井の独壇場になった」という東野に、「ベタは難しい」という徳井は「これで健康な日本が戻ってきて、お客さんが帰ってきたら全部インディアンスに持っていかれる(笑)。絶対勝てない」と自身の立ち位置を分析する。そんな徳井の立ち振る舞いについて東野は「『ゴッドタン』(テレビ東京)の『腐り芸人セラピー』の回で、インパルス板倉、ハライチ岩井との三羽烏の中で一番バランスを取ってまっとうだった。いたって普通のことをやって結果的にボケたことになっている」と評した。

平成ノブシコブシ徳井「敗北からの芸人論」(新潮社)表紙(帯あり)

平成ノブシコブシ徳井「敗北からの芸人論」(新潮社)表紙(帯あり)[拡大]

東野が「僕も書いていただきました」と言うように、この本には東野の章も掲載されており、徳井は「読んだ人には東野さんのところが一番衝撃だったみたい」と読者からの反応を告げる。ここから東野が、ダウンタウンとの共演が多かった自身の“お笑い青春時代”を「『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)で卒業した。『これはちょっともう無理やな』と思った」と回想。力量の差を痛感したようで、「この世の中からダウンタウンさんを消したらエエんやと思って、ダウンタウンさんがいないパラレルワールドを作った(笑)」と発想を転換したという。“ごっつ世代”の徳井は、「ダウンタウンさんは超面白いけど、東野さんや今田耕司さんも超面白かった」と訴えるが、東野は現在に至るまでのダウンタウンとのエピソードをふまえて「絡みますけど、基本的にはパラレルワールドはまだ続いています。ダウンタウンさんのいない世界って楽ですよ」と思いを語った。

30分とは思えないような濃密な芸談を、笑いをたっぷり交えて展開した2人。徳井が終盤、改めて自著を「分析や考察ではなく、じゃがいものおいしい食べ方を『煮たらおいしいよ』っていうのを芸人で言っているだけ。成分の分析はしていない」と紹介する。最後に東野が「文才があるからまた書いてほしいし、面白いのでぜひ皆さんも読んでほしい。徳井さん、お時間です」ときれいに話をまとめようとすると、徳井は「すごいですね、時間の配分といい。普段接している芸人とはケタが違う。さすがですね」と東野本人の前でその魅力を絶賛してみせた。

(左から)オークラ、平成ノブシコブシ徳井、佐久間宣行。

(左から)オークラ、平成ノブシコブシ徳井、佐久間宣行。[拡大]

なお、刊行を記念して雑誌「波」(新潮社)2022年3月号で徳井は佐久間宣行、オークラとも鼎談しており、新潮社の公式サイトにその様子が掲載されている。

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平成ノブシコブシ徳井「敗北からの芸人論」収録内容

腐り狂った超天才──東野幸治
相方への「殺意」はやがて「感謝」に──吉村崇(平成ノブシコブシ
歴史を動かす革命児──千鳥
引退から一転、異例の早さで新喜劇の座長に──小籔千豊
壮絶な生い立ちから「吉本の宝」へ──渡辺直美
第7世代なのに「昭和」なコンビ──コウテイ
「ナンバーワン」から「オンリーワン」へ──加藤浩次(極楽とんぼ)
日本のしょうもない価値観を変える──EXIT
ギャンブル狂、苦手分野、スキャンダル……全てを笑いに──霜降り明星
嘘をつけない岩井、意外と人に懐かない澤部──ハライチ
消えた“無駄”と“熱量”──コロナ禍のバラエティ番組
M-1で松本人志に放った“あの一言”で覚醒──ニューヨーク
残酷なほど笑いにストイック──「ゴッドタン」と佐久間プロデューサー
「M-1は芸人の希望なんかじゃない」──M-1グランプリ
謎多きコンビの知られざる素顔──シソンヌ
芸歴23年、ラストチャンスでブレイク中──5GAP
お笑い純度100%──スリムクラブ
「ネタ以外のことは楽しくない」ピュアすぎるコンビ──ジャルジャル
日本中が彼らの覚醒を待っている──ダイアン
安心感と期待感を両立できる奇妙なコンビ──オードリー
努力と変化を繰り返し続けたトリオ──ジャングルポケット
令和のハイブリッド芸人──かまいたち
「第7世代」を終わらせるコンビ──オズワルド

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