昇太は自身が「笑点」(日本テレビ系)のレギュラーになった当時について「歌丸師匠は子供の頃からのスターだったので、とてもじゃないけど近付きがたいところがあった。でも収録中はすごく気を遣ってくださって、僕があまりウケてなくても座布団をくれたり、番組の画の中に早く馴染むよう、僕の出番を増やしてくれました」と回想。2016年5月に同番組の司会をバトンタッチする際に「昇太さんがやりたいようにやってくださいね」と声をかけられたことも明かす。
また昇太からは「私が大河ドラマに出たときに、歌丸師匠が『俺も出てえなー』とずっと言っていました。『俺、千利休だったらできる気がする』って役まで決めてたんですよ(笑)」と意外なエピソードも。そんな歌丸のお茶目な一面について、昇太は「いろんなものに興味がある方だったんだろうなと思います」とコメントした。
小遊三は「“円朝もの”に取り組む姿が強烈に残ってます。やるだけならやれるけど、歌丸師匠は“完璧に”やれる。これがマネできないところかなと思いますね」と晩年の歌丸を振り返る。さらに「そういう姿を見ていると大変な努力家だと思いがちですが、実は素晴らしい才能があった。すさまじい切れ味、そして正確さ。あのような才能を持っている人はそういない」と歌丸の落語家としての力量を語った。
プライベートでの歌丸について小遊三は「宴会でお盆片手に踊ったりとか……そういうのは一般の方には絶対に見せない姿でしょうね」とニヤリ。また「麻雀やるときも姿勢が正しくて、クリスチャン・ディオールかなんかのハンカチを前にかけて、うれしそうに『ロン』って言っているところが印象に残ってます。でも寄席のときに歌丸師匠が入ってくると怖かったですよ。ピリッとしました。無駄に怒ることはないけど、ヘマをするとビシッと怒ってくれる。だから私はなるべく近付かないようにしていました」と冗談交じりに述べて、取材陣の笑いを誘った。
歌丸の弟弟子である米助は「18歳のときに弟子入りして、そのときの兄弟子が歌丸師匠で、当時30歳でした。最初に稽古をつけてもらったのも歌丸師匠で、僕が『どうですか?』って聞いたら、『ヨネさんならその程度だろ』って言われたのを覚えています」と微笑む。そして「粋を追及している人でした。誰かが駄洒落を言ったりすると『それは駄洒落じゃなくて“愚洒落(ぐじゃれ)”だよ!』って注意するんです。普段からすべてを芸に繋げてる人だったんだろうなと思います」と語り、「……ありがとうございました。これしかないです」と目に涙を浮かべた。
歌丸の一番弟子・歌春は「高座に上がって開口一番『歌丸登場まで、あともうちょっとの辛抱です』と言うのが私の鉄板ネタだったんですけど、それがもうできなくなるのが寂しいです」とコメント。また「とにかく女性ファンが大変多くて、私は『あんな痩せたおじいさんのどこがいいんだろう』なんて思いながらファンの方々を見ていたんです。あるとき、1人の女性に『どこが魅力的なんですか』って聞いたら『それがわからないから歌春さんはモテないんだよ』って言われたんです」と男としての師匠の偉大さについても語る。
印象に残っている歌丸の言葉を聞かれた歌春は「落語を残すことは落語家の仕事だけど、お客様を残すのも落語家の仕事」「仲間内からうまいと言われる人はいくらでもいるけど、お客様から『名人だね』と言われる人はいない。お客様を満足させられる芸人になりなさい」という2つを紹介。歌丸がとにかく観客のことを考えながら芸を磨いていたことを強調した。
歌丸は、危篤状態になってから1度意識が戻ったことがあったそうで、一同は口々に「米助が病室で『師匠ー! 米助ですよー!』と叫んだのが要因」と語る。歌春が「師匠が『誰かに大きい声に呼ばれたんだよね』と臨死体験を話されてましたが、恐らく米助さんかなと……」と話すと、米助本人は「大きな声は無駄じゃないなと思いました。私の声で蘇ったんです」と笑みを浮かべるが、小遊三からは「その大きな声で注意されただろ! 周りにも患者さんいますからって 」とツッコまれてしまった。
歌春は「病気と闘っているときは呼吸器で苦しんでいたのですが、眠るように楽になったとおかみさんから聞きました。今も安らかな顔で眠りについております」と歌丸の最期の様子を説明。記者から改めて「どんな師匠だったか?」という質問が飛ぶと、「笑点のビデオをいつも観ていました。自分が司会になったときは特に『この前も観ていたんじゃなかったっけ?』っていうくらい何度も何度も観て“間”などを研究していました。落語と笑点が大好きな師匠でした」と噛み締めるように答えていた。
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だいすけ @19770712daisuke
「落語と笑点が大好きな師匠でした」昇太、小遊三、米助、歌春が会見で歌丸偲ぶ - お笑いナタリー https://t.co/DSmQ5qqOpv