松本キックとハウス加賀谷が結成していた「
復活にあたり、コンビ名を「JINRUI」に変更した松本ハウス。心機一転ということでそれぞれの芸名を「シンカ(松本キック)」、「加賀谷くん(ハウス加賀谷)」に変更し、今後は活動する。
この日の復活イベントには200人近いファンが集結。チケットは早々に完売し、立ち見が出るほどの盛況となった。
JINRUI として初となる復活ステージに立ったシンカは「はじめまして、JINRUIです!」と爽やかに挨拶。続いて加賀谷くんが独特の動きとともに「改めましてこんばんは。か・が・や・でェ~す!!」と叫ぶおなじみの自己紹介で会場を沸かせた。いきなり最高潮となった会場の雰囲気に気を良くした加賀谷くんはシンカに促され会場のさまざまな方向に向けて「か・が・や・でェ~す!!」を連発するが、途中からなぜか同じ方向にだけ「か・が・や・でェ~す!!」を執拗に繰り返す。すぐさまシンカから「向こうの方にも挨拶しろよ、お前は!」とツッコミを入れられた加賀谷くんは急に冷めたテンションになり、「これあれでしょ。今のお笑いで言う“ベタ”でしょ?」と返答。オープニングから身体全体を使ったテンションの高いボケと、知的で冷静な発言が交互に挟み込まれる加賀谷くんの本領が発揮された。
1999年の活動休止以来10年にわたって表舞台には立ってこなかった加賀谷くん。「中学1年生のときにリトルリーグ(ハウス)からスカウトが来て、高校に入って甲子園(ハウス)に通うようになって、その後芸人としてデビューしたんですが、1999年にメジャーリーグからスカウトが来ちゃいまして(笑)。スカウトから『加賀谷さんそろそろヤバいです! このままだと拘束帯付けられて運ばれますよ!』と勧誘されたので、ネバーランドに行ってきました(笑)」と、冗談を交えて統合失調症で絶頂期に“失踪”状態となったことを告白。活動休止中の療養生活では、喫茶店や寿司店、クリーニング業者などで働いていたエピソードを語り、シンカからの「この10年でどこが成長したの?」という問いに「この10年でブラックコーヒーが飲めるようになりました!」と胸を張って答え、爆笑を誘った。
今年に入って加賀谷くんの「松本ハウスを復活させたい」という希望を聞いたシンカは、久々に加賀谷くんと会って話をしたことで「こいつはもしかしたら“人間”になれるかもしれない」と思い、復活を決めたという。そこで「JINRUI」という名前を考え、活動を再開させた。活動再開が決まったとき、加賀谷くんは「シンカさん、一緒に心中しましょう。何ならお墓一緒に入ってもいいですよ!」と独特の表現で忠誠を誓ったが、シンカは「最初から死ぬつもりでやるのかよ。そうじゃなく、お前は生きろよ!」と怒る一幕もあったという。
シンカと加賀谷くんの出会いは加賀谷くんが17歳のとき。シンカは、加賀谷くんが普段からあまりに挙動不審なのにも関わらず、黒目がちな瞳がとても純粋で犬のようだったため、あるとき道端でいつものように歩き方がおかしい加賀谷くんを呼び止める際「ワンちゃーん!」と呼んでみたところ、加賀谷くんが立ち止まって振り返った。それ以来シンカは加賀谷くんのことをプライベートで「ワンちゃん」と呼ぶようになったそうだ。ちなみにシンカがたまに「加賀谷」と呼ぶと、加賀谷くんから「そんな、他人行儀な名前で呼ばないでください!」と懇願されるという。この日の加賀谷くんを見つめるシンカの視線も、どことなく愛らしいペットを見つめるようであり、久々にコンビを組んだとは思えない2人の絆を感じさせた。
イベントは、充実したフリートークだけでなく、ネタのコーナーで久々の漫才に挑戦。昔のネタ2本に加え、完全新作の漫才を1本披露した。復活ライブが決まった際、ネタをどうするか悩んだシンカは旧作の掘り起こしを考えたが、手元に台本も番組の録画テープも残っておらず、苦心したという。
「困ったなと思ってたんだけど、時代は便利になってるね。YouTubeで検索したら俺も持ってない松本ハウスの昔の漫才ネタが出てきたんだよ(笑)。YouTubeで客観的に鑑賞してみて『これだったら今やっても面白い』と思ったネタを今日はやります」と、会場の笑いを取りながらネタの解説を行った。
1本目のネタはYouTubeから“サルベージ”した「ホラー映画」。2本目のネタはシンカ宅に残っていた台本を元にしたネタ「地震」。どちらもオリジナルをベースにしながら、食品偽装問題や鳩山首相の婦人などの時事ネタも盛り込まれ、まったく古さを感じさせない内容になっていた。
イベント前日の22時20分に完成したという3本目の新作ネタは「エコ」。“リサイクル”や“省エネ”といったエコワードをキーに加賀谷くんがボケて、シンカがツッコむ。ツッコミに対して加賀谷くんが急に冷静になって突き放したコメントをする。漫才中、加賀谷くんがシンカのことを「キックさん」と前の呼び名で間違えて呼んでしまうなど、コンビネーションがぎこちないところはあったが、漫才としては3本とも現代風のスピード感あふれるもので、今年のM-1の決勝戦に出ていてもおかしくない出来だった。10年の時を経ても古びないということは、それだけ彼らが昔から「新しいフォーマットの笑い」を作っていたということでもあろう。
3本のネタとフリートークを終えたシンカは、充実感あふれる表情で「今後もJINRUIとして活動していきます。ライブもやるので遊びにきてもらえれば」と締めくくった。
年内のJINRUIの活動予定だが、11月21日に新宿Naked Loftでトークライブを行い、今回の復活イベントの「検証」を行うそうだ。10月10日現在チケットは残りわずかなので興味がある人は早く押さえておこう。そして12月16日に新宿ロフトプラスワンでネタも含めたイベントを行う予定とのこと。完全復活し、その実力を見せつけた松本ハウス改めJINRUI。年末から来年にかけて、彼らが再びテレビを席巻するようになる日は近い!?
■松本ハウス 漫才 「ホラー映画」
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松本ハウス完全復活!加賀谷くんが語るこの10年とは…… http://natalie.mu/owarai/news/show/id/22301