MBS制作の「コミック捕物帖まげもの110番」は、劇場・南街シネマで上演されるコメディ時代劇を中継していた番組。下級役人を演じるいとし・こいしのほか、茶川一郎や大村崑など往年のコメディアンが出演していた。このたび見つかったのは同番組の23話「屋根の上の捕物の巻」。大村崑がセットの瓦屋根を「ベニヤ板や」とバラし、茶川一郎が「予算の関係」と返すメタシーンなど、現代のお笑いに通じる場面が多く収められている。
この第23話は、MBSがテレビ放送を開始した1959年3月からわずか1年後の映像で、モニターに映されたものを16mmフィルムカメラで撮影する形で保存されていた。当時、VTRは非常に高価だったため番組保存に利用されることはなく、MBSのライブラリには開局時の自社制作番組はほとんど残っていない。今回発見された映像は、当時のCMまで残された完全なもので、関西お笑い史にとって貴重な資料と考えられる。
「国際日本文化研究センター」の特任研究員で、テレビ番組のアーカイブスや日本芸能史を専門に研究している古川綾子氏は、この発見について「映像だけでなく、音がキレイに残っているのに驚きました」とコメント。さらに「ニュース映像は古いものも残っていて、たまにドキュメンタリー番組などで流れたりすることはありますが、関西の放送局が制作した演芸番組、しかも生放送の劇場中継は初めて見ます」とその価値を説明している。
なお、今回の発見は3月6日(日)放送の「MBSマンスリーリポート」(MBS)で特集される予定だ。
古川綾子(「国際日本文化研究センター」特任研究員) コメント
映像だけでなく、音がキレイに残っているのに驚きました。ニュース映像は古いものも残っていて、たまにドキュメンタリー番組などで流れたりすることはありますが、関西の放送局が制作した演芸番組、しかも生放送の劇場中継は初めて見ます。番組丸々1本が最初から最後まで残っている映像を拝見するのも初めてです。私がテレビ番組のアーカイブスを勉強するようになって20年ほど経ちますが、当時の放送は「送りっ放し」と書くように、一度放送してしまったら、次の番組というふうに、記録保存という意識がなかったようです。1980年代以降になってようやく意識が芽生えたようで、それ以前の番組は基本的にあまり残っていません。今とはまったく考え方が違っていたようです。
コマーシャルもテレビの音声を録音したものは聞いたことがありますが、画面に何が映っているのかはわかりませんでした。現代と違って、番組の最後にまとめてPRするといった形が一般的だったのではないかと思います。
MBSマンスリーリポート
MBS 2016年3月6日(日)5:15~5:30
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てれびのスキマ/戸部田 誠 @u5u
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