岡山時代のロングコートダディ兎。

岡山芸人に聞きたい! 第1話 [バックナンバー]

ロングコートダディ兎に聞きたい!岡山のちょっとしたこと(後編)

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岡山県出身芸人が注目を集めている昨今。お笑いナタリーでは「岡山芸人に聞きたい」と題した連載をスタートさせ、第1回はロングコートダディ兎にインタビューを実施した。後編では、岡山芸人との交流、方言、東京生活の楽しみなどについて語ってもらった。

取材・/ 成田邦洋

言葉を使う職業において言葉が自由なのは強い

──ほかの岡山出身芸人との交流はありますか?

ウエストランドが「M-1グランプリ」で一緒になって、それまであんまり交流はなかったんですけど、最近も「M-1ツアー」などで交流があります。絶対に向こうが先輩だと思っていたら、「M-1」で“同期”だと初めて知ったんですよ。そこから井口とも河本とも、だいぶしゃべるようになりました。あと、千鳥の大悟さんに2回くらい、ごはんに連れて行ってもらったけど、仲よくなれなかったです(笑)。

──それはなぜでしょうか?

僕が緊張しちゃって。きっと大悟さんは、緊張なんかする後輩のことは好きじゃないでしょうね。もっと懐に入ってきてほしいと思っていると思う。後輩の蛙亭・中野は劇場が一緒でした。(空気階段の水川)かたまりも“コント師”なので普通にしゃべります。ハナコ秋山は、「なみにじ」(「新しい波24」)で一緒だったけど最近会っていないので寂しいです。かが屋の加賀はツーマンライブもやったことがあるし、お互い「好きなコント師」に挙げていたくらいです。

岡山時代のロングコートダディ兎(右)。

岡山時代のロングコートダディ兎(右)。

──広く交流があるんですね。

そうですね。浅越ゴエさんも絡みが多いです。東京ホテイソンのたけるはあんまりしゃべらないかな。そう考えると、岡山芸人ってめっちゃ多いですね。見取り図リリーさんもいるし、今勢いある人が多い。

──岡山芸人に共通点を感じることはあるでしょうか?

型にとらわれない。それでいて僕的には「めっちゃ陽キャ」はあんまりいないイメージです。芸人を目指す人は、どことなく静かというか、あんまりテンションをぶちあげないタイプ。あとは、言葉が自由。どちらかというと広島弁寄りなんですけど、「これが岡山弁だ」というのはそこまでなくて、柔軟だと思います。言葉を使う職業において強い部分。むしろ関西弁や標準語、名古屋弁が簡単にうつってしまいます。「~じゃろ」という語尾のイメージもあると思うのですが、個人的には実はあんまり「~じゃろ」は使わないです。

──「~じゃろ」は千鳥さんの活躍で多くの人に認識されているかと。

岡山の一般的な方言ではあるんですが、千鳥のお二人は、特に大悟さんが「島」出身ということもあって、そもそも方言がめっちゃ強いんですよね。僕はあそこまでではないんです。

東京生活では釣りが楽しみ

──ロングコートダディさんは今春、東京進出されました。岡山から大阪に行くのと、大阪から東京に活動拠点を移すのでは、心境はだいぶ違いますか?

まったく違いますね。岡山から大阪に行ったときは「芸人の門を叩く」というスタートなので、ドキドキとワクワク、未知なるものに挑戦する感じ。岡山から出たことがなかったので、どうなるんだろうと。しかも19歳でこれから大人の世界に入っていく。もちろん不安もありますけど、お笑いに関しては何も知らないので、赤ちゃんみたいな感じでした。大阪から東京に行くのは、東京に行くだけの納得する材料を自分らで揃えたわけじゃないですか。「やっていける!」という。

──芸人として大阪でキャリアを積んで。

なので、仕事として捉えています。ワクワク感ももちろんあるけど、それよりはどっちかというと「大丈夫かなあ」という気持ちです。「東京に行って物価とか家賃も高いけど、やっていけるのか、俺ら! がんばっていかなアカンな!」という大人の感覚です。19歳のときとは正反対。新しいおもちゃを手に入れたときと仕事を始めたとき、という感覚なので全然違います。

──そんな東京生活で楽しみなことはありますか?

趣味が釣りなので、今まで行ったことがない釣りのフィールドが楽しみです。東京はシーバス釣りのメッカとも言われているんですよ。大阪時代もやっていたんですけど、「大阪で1匹釣れたら東京で5匹釣れたのと一緒」と言われるくらい、東京ではよく釣れるそうで。

ロングコートダディ兎

ロングコートダディ兎

──釣りの醍醐味とはなんでしょうか?

自然を相手にしているところですね。基本的に屋根がないので、雨や風が天敵。なかなかベストタイミングみたいなものが来ない。自然を相手にしているから読めないんです。それでも釣れたりする。魚との駆け引きもいいですね。魚のアタリで竿の感触がグググッと来るのは一回味わうとやめられない。脳からけっこうな物質が出ている。オモロすぎます。

──では、最後に岡山への今の思いをまとめていただけますか?

岡山は「晴れの国」と言われていて、晴れが多く、雨が降らない土地と言われています。しかも水不足にはならない。そういう朗らかな温かい環境で育ったので今の僕がいると思うんです。自由というか、型にとらわれないような。岡山には感謝があって、何より岡山のことが大好きです。この仕事をやっているかぎり、将来的に住むのは難しいと思うんですよね。岡山から通うのは大変なので。でも、何かのきっかけでいつかはもう一回住んでみたいと思っています。

兎(ウサギ)

ロングコートダディ兎

ロングコートダディ兎

1988年8月19日生まれ、岡山県出身。同じNSC大阪校31期生の堂前透と2009年4月にロングコートダディを結成。2014年に「THE MANZAI」の認定漫才師50組に、2016年に「新しい波24」(フジテレビ)の「波24メンバー」にも選出された。「キングオブコント」では2020年と2022年、「M-1グランプリ」では2021年と2022年に決勝進出している。

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📝本日5月29日(月)更新
お笑いナタリー
連載コラム「岡山芸人に聞きたい!」

ロングコートダディ 兎さんのインタビュー記事(後編)にたけるさんの名前が出ております。

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