檜原洋平の豚汁すするんやったら一本くらい電話くれよなあ！

写真・文 / 檜原洋平

「豚汁」のレシピ

材料（10人分）

豚肉：300g
にんじん：1本
大根：300g
玉ねぎ：1個
長ねぎ：1本
焼き豆腐：一丁
油あげ：5枚
にんにく：足の親指くらい
しょうが：足の親指くらい
味噌：適量

作り方

1. 一人暮らしの家のシンクの下から出てきたら笑ってしまうほど大きい鍋を用意する。
2. 大きい鍋に水を入れて沸騰させ、お味噌をとく。
3. 豚肉をフライパンで炒め、塩コショウを振り、焼き色がついたら鍋に移す。（あまりに美味しそうすぎてそのまま白飯に乗せて食べてしまわないように気をつけよう。）
4. 長ネギ、にんにくを炒め、美味しそうになったら鍋に移す。
5. にんじん、大根をイチョウ切りにして鍋に移す。
6. 玉ねぎを切ってフライパンで炒め、飴色になったら鍋に移す。
7. 油あげを短冊状に切って鍋に移す。
8. 焼き豆腐をさいの目に切って鍋に移す。（鍋に移してばっかりで、鍋からまな板に戻したくなる気持ちをグッとこらえよう。）
9. しょうがをおろし金で擦って、直接鍋に投入する。
10. 30分ほどグツグツと沸騰させると完成。時間が経てばより大根に味が染みて美味しくなりますよ？

ルームシェアに健康をもたらしてくれた豚汁

今年の春、7年暮らしたシェアハウスを引っ越すことになった。24歳から31歳まで仲間と共に暮らした代々木カサグランデは、忘れられない青春の1ページだ。

そんなカサグランデにコロナの脅威が訪れたときは緊張感が走った。ルームシェア内に感染者が出ると同居人全員が濃厚接触者となり10日間全ての仕事をキャンセルすることになる。5人×10日間で50日分のスケジュールがキャンセルになってはいけないと、僕たちのルームシェアは健康第一をモットーに掲げた。

そこで僕たちを救ってくれたのが豚汁である。たっぷりのにんにくとしょうがを使った豚汁を僕たちは毎日もりもり食べ、そして10時間寝た。その結果カサグランデからは1人の感染者も出なかった。奇跡の豚汁である。とくにM-1とR-1の時期はたくさん作った。ルームメイトの中に疲れ気味の者や徹夜をした者がいればすぐに豚汁を食べさせた。そして「もののけ姫」の解毒するシーン、もしくは「RRR」の蛇に噛まれたラーマを解毒するシーンのように、対象の者に豚汁を飲ませてあげた。

また、料理好きのZAZYから教えてもらったことも多い。ルームシェアをしていると自分が本来見ない番組を見る機会が増えるのも魅力のひとつだ。僕はZAZYが見ていた土井善晴さんのおかずのクッキングから多くを学んだ。土井善晴さんは「ナポリタンのケチャップは炒めると酸味がとんでまろやかになる」「味噌汁の具は炒めるといい」と言っていて、僕も真似してみるとこれが不思議！ 炒めてから鍋に入れたほうがそのまま鍋に入れるよりも美味しい気がするのだ。

豚汁はルームシェアに似ている。にんじんや玉ねぎ、豚肉、油揚げ、豆腐、ネギと、出身も育ってきた環境も異なるメンバーがひとつ同じ味噌の中に入るという点では、豚汁もルームシェアと言える。僕、ZAZY、DEAK（ケビンス仁木）、ラドリック（サンシャイン坂田）、マリ（男性ブランコ平井）、パイ（大久保八億）、それぞれのメンバーが味噌（カサグランデ）の中で調和し、調和しながらもそれぞれの個性を発揮した。

そんな、豚汁みたいなルームシェアをした。すみません。「花束みたいな恋をした」みたいに言ってしまって。もしこれから上京を考えている若い読者の方がいれば、豚汁のようなルームシェアをすることをおすすめする。

檜原洋平（ヒワラヨウヘイ）

1991年7月27日生まれ、大阪府出身。「一本くらい電話くれよなあ！」略して「一電（いちでん）」は彼の言葉。高校時代「M-1甲子園」に出場し、地区大会で優勝。大学生時代はコンビ・サンストレンジとして「第3回わらいを愛する学生芸人No.1決定戦」で優勝するなど注目を集める。東京に拠点を移し、2016年に大鶴肥満（オオツルヒマン）とママタルトを結成。昨年2022年には「M-1グランプリ」で初の準決勝まで駒を進めた。ネットラジオ「芸人Boom!Boom! ママタルトのラジオまーちゃん」（stand.fm、毎週火曜23時）、「ラジオ母ちゃん」（GERA、毎週木曜20時）を担当中。YouTubeチャンネル「ママタルト本物チャンネル」も。サンミュージックプロダクション所属。

カサグランデ最後のライブ

カサグランデFOREVER

日時：2023年3月21日（火）20:40開場 21:00開演
会場：東京・ヨシモト∞ホール
料金：前売2000円 当日2500円 / 配信1500円
＜出演者＞
ZAZY / サンシャイン坂田 / ケビンス仁木 / ママタルト檜原 / 大久保八億