音楽好きの芸人オススメの楽曲を紹介する連載「今日はどの曲聴こう?」。好きな理由や曲にまつわる思い出などが綴られたレビューと併せてチェックしてほしい。2人目は
Especia「Bay Blues」
大阪・堀江が拠点の2012年~2017年まで活動してたアイドルグループ。なんかこの辺の時期ってラウドロックとかラップとか、アイドルグループを謳いながらも多様な音楽性が進出してたイメージがあった気がするけど、Especiaはヴェイパーウェイヴ視点のビジュアルイメージとかもそやし、AOR、ファンク、ディスコが下地になってる感じのサウンドがかなり面白い。この「Bay Blues」という楽曲、まずアイドルグループのアルバムがこんなメロウバラードで始まるのウケる。ウワモノのギターカッティングとシンセ(音色のチョイスも80's的で良い)の掛け合い、腰にくるグルーヴィーなバラードが最高。誤解を恐れずに言えば、不安定なボーカルワークも個人的にサウンドとマッチしていてツボ。
菊池桃子「Mystical Composer」
なんか、シティポップって海外のディガーが見つけてネットミームから生まれたカルチャーなのが、せっかく日本には宝のようなジャンルがあったのに、海外を経由して再熱するのがちょっと悔しい。俺もアメリカのヴェイパーウェイヴアーティストのサンプリングで知ったし。ってかこの盤、アルバムを通して当時の最先端のサウンドやったと言われる意味がわかる。なんかリリックが未来的で、サウンドもすごいトリップ感があるし。この「Mystical Composer」も、歌詞はぶっちゃけ何言うてるんかわからへんし、そういうのも含めた不思議なものがこのヴェイパーウェイヴ感を生んでいて、それがイケてるっていう感覚が海外にあるのはすごく理解できるし、当時の菊池桃子のあどけないウィスパーボイスもこの日本人的なアンサンブルを醸し出してる気がする。
mol-74「アルカレミア」
こんなに穏やかできれいなサウンドやのに、徐々に熱を帯びて感情が高まっていく曲はほかにないと思います。必要な音だけが鳴ってるというか。リリックも割と抽象的に書いてるのが好きです。聴き手それぞれの頭の中にある色んな思い出を投影できるのが、ポストロック的なサウンドにリンクしていて、ほんま良いバンドですね、mol-74。凛とした美メロの中に少しだけある喪失感みたいな。映像も好きやからMVを見ながら聴いてみてほしい。青々とした色味が好き。これロケ地どこなんやろ、いい街。俺も軽トラの荷台から楽譜投げ捨ててみたい。
梅野健太郎(ウメノケンタロウ)
1997年6月3日生まれ、京都府出身。大学の軽音楽部で知り合った仁と軍艦を結成し、NSC大阪校に44期生として入学。在学中に「M-1グランプリ2021」で準々決勝まで進出し、ベストアマチュア賞を獲得する。2022年4月にプロデビューし、同年11月によしもと漫才劇場の所属メンバーとなった。
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あつじん @ego_Atsujin_sum
モルカル聴くの意外すぎるしめっちゃ嬉しい https://t.co/xjsm13MTnm