今月のお笑い 5本目 [バックナンバー]
ウエストランド井口と作家飯塚が語る「2022年9月のお笑い、どうだった?」
プチ井口ブーム、シン・りょう、オジオズの終活、爆笑問題YouTube、芸人info、#高野のiPhone
2022年10月3日 18:00 38
構成
※取材は9月28日に実施。
空前の井口ブーム到来?
飯塚 もしかして、今、薄ーく井口ブーム来てる?
──ちょうど今お笑いナタリーのトップニュースに井口さんが出ています。
井口 「
飯塚 井口くんの褒められツイートもプチバズリしてて。
井口 結局そのリプライでめちゃくちゃ悪口言われてましたけど……。
飯塚 「M-1」も前回宣言した通り1回戦1位通過だったね。
井口 これはもう本当に有言実行です。
飯塚
井口 観ました、観ました。ああいうふうに言ってもらってありがたいですよ。
※編集部注:YouTubeチャンネル「スーパーマラドーナ劇場」では「M-1」1回戦各日トップ3とナイスアマチュア賞についてスーパーマラドーナの2人が解説しているほか、ゆにばーす川瀬名人を迎えて「M-1」について語る動画もアップされている。
飯塚 ただ、昨日のスラッシュパイルのライブ「ウエストランド井口の境界線」で井口くん言ってたよね? 武智さんが最近の芸人のことあんまり知らないって……(笑)。
井口 そうなんですよ。「M-1」に熱い人なのに芸人のことはなんにも知らないっていう。大会が好きなだけで(笑)。それが面白い。むしろ田中さんのほうが「M-1」や東京芸人に詳しくなってきてますから。
お笑い界を変えない芸人の優勝を祈る
井口 「キングオブコント」は決勝メンバーが決まりましたね。(参考記事:「キングオブコント2022」いぬ、クロコップ、コットン、や団、最高の人間が初の決勝)準決勝は観たんですか?
飯塚 観たけど、どの組もハンパなくウケてた。決勝に上がった10組はもちろんすごかったけど、個人的には
井口 話を聞く限りだとみんなめちゃくちゃウケていたみたいですね。そんな中、選ばれたのはけっこう渋いメンバー。
飯塚 前回準優勝の
井口 ネタをまったく見てないので僕も言えることがないんですけど、まあ、最高の人間が行くんじゃないですか?
飯塚 ファイナリストの中で関係性が深いのは?
井口 (最高の人間の)岡野さんが一番ですかね。決勝メンバーは超若手というよりは僕ら世代か少し上の芸人なので、わりと落ち着いて見られるかもしれないです。若いニュースターが出てきて嫌な気持ちにならずに済みそう。
──若いニュースターが出てくるのは嫌な気持ちになる?
井口 もちろん、もちろん。だからいつも正統な大本命を応援するようにしてるんですよ。何も変わらなそうな人に優勝してほしいんで。
──なるべくお笑い界に変化が起こってほしくない。
飯塚 井口くん的に得がありそうなのは誰の優勝?
井口 どうでしょうね? 絡んでいけそうな人が今回あんまりいなくて、うまみは少ないかもしれないです。ガッツリ近い人が少ない。
飯塚 モグライダーが「M-1」の決勝に行ったのはけっこううまみがあったんじゃない?
井口 それは本当にそうですね。この間も、モグライダーがゲストの番組で僕がともしげさんの話をして、その次の日は「マルコポロリ」で僕の話をともしげさんがしてくれました。マッチポンプ式でやってます。
飯塚 「NEWニューヨーク」(テレビ朝日)にも、ともしげくんをよく知る人として出ていたもんね。
井口 そういう意味では「キングオブコント」のメンバーにも日頃からもっとすり寄っておけばよかったなー。
──賞レースで言うと、「THE W」は準決勝進出者が発表されたところです。(参考記事:センス爆発女、光永、もみちゃん☆ズ、杵渕はな、Aマッソら38組「THE W」準決勝へ)
井口 飯塚さんは「THE W」もやってるんですか?
飯塚 今年も関わらせて頂いていて、あまり言えることがないんだけど……(笑)。準決勝がお笑いライブとしてもかなり面白いから観てほしいです。テレビの決勝だけでは伝わらないものってどうしてもあるので。けっこうイメージが変わると思います。
“ニューヨーク”という新メディア
飯塚 「シン・りょう」(※)は観た?
井口 観ました。すごいですよね、配信チケットが1万枚超えたとか。単純に1800万円の売上でしょ?
※編集部注:ニューヨークの元追っかけで現在芸歴4年目(NSC東京校24期)のコンビ小虎のりょうが同期に嫌われている、というタレコミを発端に、ニューヨークのYouTubeチャンネルでその真相に迫るシリーズ。完結編として「シン・りょう24それぞれの逆襲」と題したライブが実施され、話題に。配信チケット代は1800円。
飯塚 もう計算したんだ(笑)。
井口 そうですよ。だって、4年目くらいの芸人のライブでこんなに売れることなんて普通ないわけじゃないですか。それをニューヨークやYouTubeのスタッフさんが面白がって演出して一大ムーブメントにした。言ってましたよ、
飯塚 登場人物全員がニューヨークにハマろうとしてちょっとずつ話を盛ることで、どんどん面白くなっていくコンテンツだなって思った。爪痕を残そう残そうと盛るから話がごちゃごちゃになっていくんだけど、そこはニューヨークのジャッジが秀逸なんだよね。「それはさすがに嘘」とか「それは関係ないだろう」とか、観ている人が違和感を覚える部分はちゃんと2人がさばいてくれるのも痛快だった。井口くんはどうだった?
井口 個人的には刺さりはしませんでした。嫌なんですよ、青春を投影する感じのやつ。「こいつはあの頃の僕だ!」みたいなのが本当に嫌で。あんな揉め事、若手にはよくあることですし。
飯塚 確かに、芸人さんが観たら思うところはいろいろあるだろうね。勉強不足で申し訳ないけど、
井口 なるほど。僕は、ネタを見たことはないまでも一応同業者なので、やっぱりちょっと嫌な感じがあったんですよね。
飯塚 地上波とかABEMAのようなネット番組と同じように“ニューヨーク”がメディアそのものになっているなというのも改めて感じた。ニューヨークのYouTubeに出ることが若手芸人のステータスになりつつある。「ダウンタウンにハマりたい」「千鳥にハマりたい」の次が「ニューヨークにハマりたい」になっている感じがした。
仕掛け続けるオジンオズボーン篠宮
飯塚 オジンオズボーンの終活発表配信があったよね。ある程度ベテランになるとあんまり新しいことを仕掛けたりしなくなると思うんだけど、オジンオズボーンの篠宮さんって常に何か仕掛けてきましたよね。「THE MANZAI」で結果を出したあと、「M-1」出場資格がなくなってからはシャッフル男爵、漢字、親子でネタ番組に出たりとか、大林ひょと子とか。売れるきっかけを常に狙っていたし、その都度ちゃんと話題にもなってきたのがすごいなと思っていて。で、今回の「オジンオズボーンの終活」。相方の高松さんから「解散したい」と言われたこともひと企画にすれば何かになるかもしれないと、解散ライブに向けて動き出したのがつくづく意欲的な人なんだなあと。(参考記事:オジンオズボーンが2022年末で解散へ、終わりまでを見せる“終活”実施)
井口 それはライブに出ている後輩もみんな思っていることで、やっぱり結果うんぬんに関係なくずっと仕掛けている人のほうが尊敬できるんです。ただ、僕があのYouTubeを見てて思ったのは、だからと言って高松さんを悪く言うのは違うんじゃないかなと。あれくらいの境地にならないと辞められない世界なんですよ。あの心境に至るまで高松さんの中でもいろいろあったはずで。高松さんが終活に取り組むこの半年でやる気になって復活してくれたらいいですけど、そこはもう本人たちしかわからない。篠宮さんがすごいのはもちろんですけど、その対比で悪く言わないでほしいなとは思いました。
飯塚 すぐにでも辞めたいはずなのに、終活を受け入れているところは、懐深いよね。表に出ている情報だけがすべてじゃないから、本当はもっといろんなことがあるんだろうなと慮ってお笑いファンは見守るしかないと思う。あと、気になったのが芸人の解散や活動休止が今までよりドラマチックに語られるようになってきてない? 赤もみじが活動休止について語ったラジオに「エモかった」っていう感想が集まっていて、そういう見方をしていいんだっけ?とふと疑問に感じたり。
井口 腹立ちますよね、解散をエモい感じにされるのは。ラジオでは
「爆チュー問題」そういえば昔からめちゃくちゃやってる
飯塚 爆笑問題さんのYouTubeが始まったね。(参考記事:爆笑問題の公式YouTubeチャンネル「テレビの話」開設、コントで楽しい時間)
井口 すごいペースなんですよ。別に正解はないからなんとも言えないですけど、爆笑問題クラスでこの投稿ペース(週2本コントをアップ)は果たして正しいのか。(小声で)社長が言ったんです、「このペースで上げなさい」って。どのYouTuberを参考にしたのかわかんないですけど……。やめてくださいね、変なこと書くのは。怒られちゃうんで。
飯塚 (笑)。でもコントなのがいいよね。いわゆるYouTuberっぽい企画はしっくりこなそうだし、漫才は漫才として別にしておいてほしい気持ちもあるから。
井口 爆笑問題にはコント番組をやりたいっていう思いがずっとあって。YouTubeでやるなんて数年前だったら考えられなかったと思いますけど、いろいろ模索した結果、自分たちでYouTubeをやることになった。もちろん本当はテレビでやりたかったんでしょうけど。
飯塚 井口くんが出ていて感じることはある?
井口 裏話ってほどではないですけど、撮影は、稽古して本読みして、本番という、「爆チュー問題」(※)に近い感じです。すごいのは、太田さんがやると台本の何倍にも面白くなるんですよ。本読みのときはボソボソ読んでるだけですけど、アドリブがあるにせよ、本番になったらこんなふうになるんだって勉強になりますね。
飯塚 高校生の頃「爆チュー問題」が好きで、録画して観てた。
井口 僕らとか僕らよりもうちょっと下の世代はみんな「爆チュー」観てますよね。今でもクリスマスライブとして新作をやっているんですけど、子供連れも多い中、けっこうめちゃくちゃやるんですよ。こんなだったかな?って思い返してみると、確かに過去のやつもブラックなネタとか時事ネタが多くて。お母さんが笑ってると子供も笑うし、リズムで笑うこともあるし、どの世代が見ても笑えるのはいいなって思います。YouTubeもそういう感じでいろんな人に見てもらえたらありがたいですね。
※編集部注:「爆チュー問題」は「ポンキッキーズ」(フジテレビ)の1コーナーとして誕生したコント企画。近年はクリスマスライブとして実施し、その様子をFODなどで配信している。
テレビのお祭り
飯塚 20年続いた「もしもツアーズ」(フジテレビ)の最終回。(参考記事:ウッチャンナンチャン「もしもツアーズ」最終回にサプライズ登場、キャイ~ン感謝)
井口 すごかったですね。最後
飯塚 「ラフ&ミュージック」も大御所が大御所に電話して来てもらったりして盛り上がるけど、最近“テレビのお祭り”になることって、大物芸能人同士の共演なんだよね。それ以外のことでも話題を作れないとさみしいっていうのはある。言ってみれば、それって今より元気だった頃のテレビの遺産というか。昔だったら「めちゃ×2イケてるッ!」(フジテレビ)の岡村さんのオファーシリーズは絶対見逃せない、みたいなリアルタイムで巻き起こるお祭りがあったじゃん。
井口 「ヨモギダ少年愚連隊」とか、毎回ムーブメントになりましたもんね。
飯塚 学校で「昨日のテレビ見た?」って話せるようなお祭りを、大御所の共演以外に作れるようにがんばらなきゃなと思った。
企画の基盤を作るジェラードンやチョコプラ
飯塚 「お笑いオムニバスGP」(フジテレビ)という番組が「オモウソい店」と「2億4千万のものまねメドレー」の2本立てでやっていて、どっちもすごく面白かった。「オモウソい店」は「オモウマい店」(中京テレビ)っぽい店をいろんなコント芸人さんたちがVTRで撮ってくる企画で。初めての企画だから、みんな何が正解かわからないままやっているんだけど、自分の持ち味を上手く出せてる人もいる一方、趣旨とズレちゃった人もいて、そのドキュメント性も面白かった。優勝した
井口 基盤があってこそ崩していけますもんね。作家さんが考えるときって、そうなってもいいようにしてるんですか? 趣旨を間違えるのも込みで。
飯塚 両方あると思う。結果そうなっちゃうパターンと、趣旨と違うのをわかっててどあえてそのままいくパターンと。
井口 ロケに行かされるほうとしては、合ってるかわからないままやるのは不安なんですよ。もっと説明してくれよ!っていう(笑)。
飯塚 「2億4千万の~」のほうは、1人でドリフターズ全員のモノマネをやっているレッツゴーよしまさというモノマネ芸人さんがインタビューを受けている素の志村けんさんの完全再現ネタでスタジオを唸らせていて。モノマネ業界に衝撃が走ったと思う。33歳なんだけど、彼のYouTubeを観ると昭和の人のモノマネばっかりやっているんだよ。
井口 けっこう若いのに。
飯塚 気になったのが、YouTubeで過去の動画をさかのぼっていくと、モノマネ芸人のなかじままりさんの動画がいっぱい出てきて。途中でチャンネル引き継いだのかな?
井口 え、同じチャンネルで? どういうことですか?
飯塚 モノマネ芸人になるきっかけがなかじままりさんだったらしいけど、チャンネルの件はそれはもうよくわからない(笑)。あと、「2億4千万の~」は出場者の
※編集部注:2019年の「ENGEIグランドスラム」(フジテレビ)生放送に乱入した石橋貴明が、笑福亭仁鶴のモノマネネタを披露したせいやを「面白くない」と一蹴。せいやはのちに「芸人人生で一番スベった」出来事として語っていた。
改編で始まる番組・終わる番組
井口 今日ニュースが出ていましたけど、フジテレビで始まる新しい昼の帯番組で
飯塚 ウエストランドにレギュラーのオファーあるんじゃない? やっぱりフジテレビの昼と言えばウエストランドだから。
井口 誰も僕らが「いいとも!」(フジテレビ)準レギュラーだったこと覚えてないですよ(笑)。やれたらそりゃあうれしいですけど。ハライチさんが出ている番組には全部出たいので。
飯塚 相性はいいはずだよね。ハライチの大喜利番組(日本テレビ「ハテナde」)になぜか井口くん2週連続で出ていたし。演出が「漫才JAPAN」(日本テレビ)の方で、妙に気に入られてる。井口くん、大喜利得意でもないのに(笑)。
井口 そうなんですよ。まあ、空き時間に楽しく話せたのでよかったですけどね。
──10月は改編の時期で、惜しまれつつ終わる番組もあります。
飯塚 「バラバラ大作戦」(テレビ朝日)の「野田レーザーの逆算」が終わっちゃうのが個人的には寂しかった。人気投票で番組の良し悪しが決まるシビアな枠だな……と。
井口 深い時間だと視聴率の差なんてないじゃないですか。視聴率とかTVerとか、最近の指標はどうなっているんですか?
飯塚 今は、いろんな理由を言って「自分の番組は人気だ」と主張する時代になってる(笑)。個人視聴率はそこまで振るわなくても、若い世代では視聴率トップですとか。視聴率はよくないけど配信が伸びてますとか、Twitterのトレンドに毎回入りますとか、イベントの集客がすごいですって言ってみたり。いろんな方法で話題になっている感を主張してる。
井口 なるほど。昔は「おじゃマンボウ」(日本テレビ)で視聴率ランキングを見るのが楽しかったですけど。
飯塚 キャスティングも、昔は知名度や実力が重視されてたけど、番組によってはフォロワー数を基準に選ぶこともあるからね。
井口 YouTubeも数でモロに人気がわかるじゃないですか。ともしげさんも言ってましたもん。芝さんのリーゼントのやつ(モグライダーのモグChan「【初公開】芝のリーゼントができるまで」)だけ伸びるから、俺は出ないほうがいいんだみたいな(笑)。
芸人infoさん、ご苦労さまです
飯塚 前回話し忘れたことなんだけど、芸人の出演情報とかをまとめてる「○○info」ってアカウントあるんじゃん? 先日、某芸人さんのinfoさんが非難されるという出来事があって。infoさん宛に、その芸人のファンから「この情報が漏れてる」とか「ファンなのに単独全通してないのはおかしい」が来たりすることがあるらしい。
井口 ええー。どうしようもないですね。
飯塚 ウエストランドinfoもあるんでしょ?
井口 あるんですけど、それがもうそろそろ終わりそうで。
飯塚 え、そうなの?
井口 長年、唯一僕らのライブに来てくれてる人がやってるんですけど、2、3年前から
飯塚 重心がクロコップに(笑)。
井口 今年クロコップが「キングオブコント」決勝に行ったことで忙しくなってきたら、本格的にやめる可能性ありますよ。今は事務的にやってるだけなんで。
飯塚 そんなことないでしょ(笑)。一生懸命やってくれてるよ。infoさんって勝手に立ち上がるんだよね。
井口 ファン同士でアカウントを引き継ぐことはありますけど、昔、モグライダーのinfoが途中でなくなっちゃって、ともしげさん本人がやってました(笑)。infoアカウントって、事務所からのメルマガとかを使ってるから僕らよりちゃんと情報を把握しているんですよ。僕らからしたらすごい助かってます。この放送あるんだってinfoで知ることもありますから。
飯塚 自分が知っている範囲で言うと、
井口 和牛info、僕がテレビの提供裏で「和牛さんすごいよ」って言ったことすらも拾ってました。音のエゴサーチしてるのかというくらい。パーパーinfoは「ぶちラジ!」を欠かさず聞いてくれてるのか、「何分何秒にパーパーのが話出てました」って発信してますね。
飯塚 20年前に魔法のiらんどとかで乱立してた、芸人応援ファンサイトを思い出す。あと、“自我持ち問題”もあるよね。infoさんがinfoの役割以外のことを言ったり、ほかの芸人さんに言及したりすると「関係ないことは言わないでください」みたいな。それは番組公式アカウントにもあることだけど。
井口 番組公式アカウントがイジってくるの、一番嫌なんですよね。
──自我はないほうがいい?
井口 無機質に情報だけ伝えるのがやっぱりいいんじゃないですか?
飯塚 と言っても、ボランティアだから好きにやればいいんだけどね。
井口 ウエストランドinfoも趣味でやってるのにたまに僕に怒られて、たまったもんじゃないでしょうね。そりゃクロコップのファンにもなりますよ。クロコップinfoになる可能性も全然あると思います。
毎月しているきしたかのの話
飯塚 「#高野のiPhone」の話もしておこう。iPhone14の行列に高野さんが並んだのが話題になって、「ヒルナンデス!」(日本テレビ)にも取材されたり、トレンドにも入ってた。あれは「チャンスの時間」(ABEMA)の企画だったから安心したけど、高野さんが今後、変な風に利用されたら嫌だなって勝手に心配になった。YouTube「高野さんを怒らせたい」のフォーマットだけ使って「コレは違うな……」ってことをやらされたり…。
井口 本人にはどうしようもないですもんね。
飯塚 でも、そういう現場をどう乗り越えていくのかが腕の見せどころなのかもね。「これにキレてください」みたいな雑なフリも今後増えていったり。
井口 あとは、とにかくひどい目に遭わさせるとか。
飯塚 あまりにもかわいそうなドッキリは見ていられないっていう視聴者が最近は増えてるかもしれない。昔はテレビに出れるならこれくらいされてもって感覚があったかもしれないけど、いまは果たして本当においしいのか?ということにもなってくる。
井口 受け手のリアクションの腕にもよるんでしょうけど。
飯塚 視聴者が、昔より芸人の感情に寄り添うようになった感じはある。以前はもっと分断していたと思うんだよ。芸人は笑いを提供してくれる人で、その内面までは気にしないというか。今ってSNSやYouTubeがあって、いろいろ知っちゃってるから、かわいそうな目に遭うのを見ていられないファンが多いのかも。そういう中でも、やっぱり井口くんはひどいことされても安心して見ていられるよね。安田大サーカスのクロちゃんとか。
──異次元の人だから手を叩いて笑えるという。
井口 「劣悪な精子から誕生した男子」でなんで誰も怒らないんだよ(笑)。
※編集部注:YouTube「東野vs」にて、東野幸治が「言葉が悪いかもしれないけど」と前置きしたうえで井口に言った表現。
飯塚 だから、思いっきりドッキリにかけても大丈夫な人の需要は高まってると思う。
井口 高野が今後どうなるかですね。
飯塚 それしてもこの連載、話題が偏ってるよね。毎月ともしげさんと高野さんの話してる(笑)。
井口浩之(イグチヒロユキ)
1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2013年4月に「笑っていいとも!」(フジテレビ)のレギュラーに抜擢され、最終回まで不定期で出演した。2012年、2013年の「THE MANZAI」認定漫才師、2020年「M-1グランプリ」ファイナリスト。2011年からラジオ形式の番組「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信している。9月11日(日)に東京・新宿ロフトプラスワンで公開収録イベントを開催。タイタン所属。
飯塚大悟(イイヅカダイゴ)
1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」(TBS)、「トークィーンズ」(フジテレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。「クレイジージャーニー」(TBS)も10月17日(月)にスタートする。「深解釈 オールナイトニッポン~10人の放送作家から読み解くラジオの今~」(扶桑社)販売中。
※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正し、お詫びいたします。
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井口くんとの連載、なんとか継続してます。感想、クレーム、リツイートお待ちしています。
ウエストランド井口と作家飯塚が語る「2022年9月のお笑い、どうだった?」 #今月のお笑い
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