音楽ナタリー Power Push - 女王蜂VS獄門島一家

2人が語る家族の“血縁関係”

「ヴァンパイアセイヴァー」に影響を受けた

──今作のジャケットには「ストリートファイター」などの人気ゲームのイラストレーションを手掛けるイラストレーターの西村キヌさんが手がけたイラストが採用されています。これは「ストリートファイター」と「ヴァンパイア」シリーズが大好きだったアヴちゃんからの熱烈なオファーに元カプコンデザイン室のキヌさんが快諾したことによって実現したとのことですが。

左から、アヴちゃん、KenKen。

アヴちゃん そうですね、ものすごく大きな夢が叶ってしまいました。私は「ヴァンパイアセイヴァー」(「ヴァンパイア」シリーズの1作品)が自分のルーツと言えるくらい、あのゲームに影響を受けてるんですよ。世界観や様式美が大好きで。

KenKen 俺も幼少期にこのゲームにどっぷりハマっていたので、その話を聞いてアヴちゃんについて、すごく腑に落ちたことがいっぱいあったな。アヴちゃんって類を見ないタイプの人だけど、宇宙人とか新人類とかそういう表現だとしっくりこなくて。じゃあなんだろうと思ってたらアヴちゃんは「ヴァンパイアセイヴァー」のイメージそのものだったっていう(笑)。

アヴちゃん えー、うれしい! あとね、KenKenちゃんはこのゲームの中に初恋の子がいるんだよね?

KenKen レイレイね。ゲームずっとやってるうちに夢で見て好きになっちゃったんだよね。

アヴちゃん 私もあまりにも好きすぎたので女王蜂の「スリラ」のミュージックビデオでは私たち、キョンシーになりました。レイレイがキョンシーのキャラクターだったので(笑)。

──なるほど。KenKenさんは「週刊ファミ通」で7年間コラムの連載をやっていましたし、もともと睡眠時間を削るくらいのゲーマーだそうで。

KenKen そうそうそう(笑)。で、一番ハマったゲームがアヴちゃんと一緒で「ヴァンパイアセイヴァー」だったんです。技の名前とかお互い全部言い合えるくらい。ひさびさに自分の幼少期の記憶の引き出しが開いたからいろんなことを思い出した。ベースを弾き始めた頃にハマってて、ゲームの各ステージの曲をコピーしてたなあとか。

ジャケットに込められた思い

──アヴちゃんは以前から西村キヌさんにイラストを描いてもらいたいという気持ちはあったんですか?

アヴちゃん 絶対描いていただきたいってずっと思ってました。で、格ゲーっぽさを出すなら人数が多いほうがいいし、女子寄りの女王蜂、男子寄りの獄門島一家っていう構成がぴったりだなと思って、今回のスプリット盤を出すにあたって正式にお願いしました。クレジットも格ゲーらしく「女王蜂VS獄門島一家」にして。自分の夢と挑戦が同時に叶ったし、熱烈な興奮を共有できる人がメンバーにいるっていうのもすごくうれしい。お母さんにキヌさんがイラスト描いてくれたことを話したの。そしたら「アヴちゃんが好きやったゲームやろ?」って。「上京するときも持ってったもんな、ゲーム機(本体)ないのに」って(笑)。

KenKen ジャケットのラフ画をアヴちゃんから見せてもらったとき、「なんだこれはー!」って思わず2人でハイタッチしちゃったもんね。

アヴちゃん その日のスタジオの雰囲気、すごくよかったよね。達也お父さまと長岡お兄さまにも「これはすごいことだから!」って説明して(笑)。

KenKen (葛飾)北斎に描いてもらうようなものだからね、俺たちからしたら。

アヴちゃん そんな感じね。で、キヌさんは実在する人物をキャラクター化するのが初めてだったそうで「似顔絵でお仕事の依頼を受けたことがない」っておっしゃってました。

──今回、西村さんが描いたご自身の絵を見てどう思いました?

アヴちゃん わかってるなあって感じ。会ったこともなかったのに。

KenKen 特徴がすごいしっかり捉えられてる。たっちゃんなんて絶対ラスボスだもんね(笑)。

アヴちゃん 1人ひとりキャラ設定を用意したんだよね。獄門島一家の西園寺ことKenKenちゃんは投げ技が得意なキャラで、長岡キュンは不実な感じで容赦ない冷酷な攻撃をするキャラ。で、達也お父さまは全クリしないと出てこない感じでとお願いしたら、デフォルメされてない感じの素敵なイラストに仕上げていただいて。

KenKen 素に近いもんね。もともとキャラ立ちのいいメンバーだってことだよね。

──アー写とジャケットのイラストを並べてもあまり乖離がないですよね。

KenKenアヴちゃん そうそうそう(笑)。

アヴちゃん 実はタイトルロゴとかも「ヴァンパイアセイヴァー」の雰囲気を忠実に再現してますからね。

KenKen そんなこだわりもしっかり入れつつ、ガキの頃にずっと見てた絵のまんまに自分がなってる感じがすごいわ。夢が150%以上叶ってる。

ニューアルバムシングル「金星 / 死亡遊戯」 / 2016年5月11日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤 [CD+ブックレット] / 2000円 / AICL-3107~8
通常盤 [CD] / 1620円 / AICL-3109
CD収録曲
  1. 金星 / 女王蜂
  2. シーサイドスーサイド / 獄門島一家
  3. 死亡遊戯 / 獄門島一家
  4. く・ち・づ・け / 女王蜂
女王蜂(ジョオウバチ)

女王蜂

2009年神戸にて活動開始。2010年「FUJI ROCK FESTIVAL '10」のROOKIE A GO-GOステージに出演し、その衝撃的なルックスとパフォーマンスでオーディエンスの注目を集めた。2011年3月に初の全国流通盤アルバム「魔女狩り」をリリース。同年9月にはアルバム「孔雀」でソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズよりメジャーデビューを果たす。収録曲「デスコ」は映画「モテキ」のメインテーマに抜擢されたほか、彼女たち自身も本人役として映画に初出演し話題を呼んだ。2012年5月にギギちゃん(G)が利き腕の長期治療に専念するためバンドを“降板”するも、アヴちゃん(Vo)、やしちゃん(B)、ルリちゃん(Dr)の3人編成にサポートを迎える形で活動を継続。しかし同年12月にバンドは無期限活動休止を発表し、2013年2月のSHIBUYA-AX公演をもって活動を休止した。その後バンドは2014年2月のワンマンライブ「白熱戦」で1年ぶりに復活し、2015年1月に新ギタリスト・ひばりくんが正式加入。同年3月にドラマ「怪奇恋愛作戦」のオープニングテーマ「ヴィーナス」を収めたアルバム「奇麗」、7月に篠崎愛や志磨遼平(ドレスコーズ)が参加したナンバーを含む5曲入りCD「失神」をリリース。12月から2016年3月にかけて対バンライブシリーズ「蜜蜂ナイト」を実施し、KEYTALK、チームしゃちほこ、アヴちゃん在籍の獄門島一家らと競演した。5月に獄門島一家とのスプリットシングル「金星 / 死亡遊戯」を発表し、5月15日の愛知・ElectricLadyLand公演から7月9日の東京・Zepp DiverCity TOKYO公演まで全国10カ所をまわるワンマンツアーを開催。6月にはフランス・パリ日本文化会館にてバンド初の海外ライブを行うことも決定している。

獄門島一家(ゴクモントウイッカ)

獄門島一家

女王蜂のアヴちゃん(Vo)がボーカルを務め、長岡亮介(G / ペトロールズ)、KenKen(B / LIFE IS GROOVE、RIZE)、中村達也(Dr / LOSALIOS、MANNISH BOYS)の4人からなるバンド。アヴちゃん在籍の女王蜂活動休止後の2013年に結成され、「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2013 in EZO」でライブデビューを果たす。その後デモ音源がWeb上に公開されるもCDリリースはないまま、同年10月に東京・LIQUIDROOMでワンマンライブ「第一回 獄門島一家会合」を開催。チケットは即日ソールドアウトし、盛況を収めた。その後、表立った活動を見せなかったが2015年7月に約1年9カ月ぶりにLIQUIDROOMで再び単独公演を実施。11月には神奈川と京都でもワンマンライブを行い、会場限定でCD付き雑誌「実録!獄門島一家」を販売した。2016年3月に東京・EX THEATER ROPPONGIで行われた女王蜂の対バンライブシリーズの最終公演に出演。アヴちゃんが女王蜂、獄門島一家のメンバーとしてステージに立った。5月に女王蜂とのスプリットシングル「金星 / 死亡遊戯」をリリース。