ナタリー PowerPush - 女王蜂 in モテキ
アヴちゃん×大根仁対談
やっぱりライブ中が一番覚醒してる(アヴちゃん)
大根 トゥーマッチといえば、1stアルバムのジャケットもすごかったよね。
アヴちゃん あれはメイクも全部私ですね。
大根 完成度の高いバンドがインディーズからメジャーに行くときに、ちょっと「あれ?」ってなる瞬間があったりするけど、女王蜂に関してはなかったし、よりグレードアップしてるっていうのがうれしかったんだよね。
アヴちゃん でも、私たちは全然手加減してると思う。
大根 まだ?(笑)
アヴちゃん まだ全然。やっぱりライブ中が一番覚醒してるというか、ライブをやると身に覚えのない傷ばかり増えていくから。
大根 あははは(笑)。
アヴちゃん それくらいの気持ちでやってますからね。プロモーションビデオも私が監督するんだけど、絵コンテも全部私が描くのよ。やっぱりそこに熱量がないとって思うから。
大根 いや、女王蜂のPVはアヴちゃんが撮って大正解。っていうかほかの人はこれ絶対撮れないし、やんないほうがいい。絶対にプロが撮れないセンスっていうか。
アヴちゃん ライティングなんかはやってもらうけれども、やっぱり自分でできることはほとんど自分でやったほうがいいんじゃないかなって思うの。私たちは全部やりたいのよね。大根ちゃんもそうなのかなと思った。
大根 ああ、そうかも。自分で脚本も書くし、「モテキ」ではカメラまでやるようになっちゃったしね。
アヴちゃん そうなんだー。
大根 プロはもちろんきれいに撮ってくれるし、素晴らしいんだけど、俺が求める気持ちよさはプロのカメラマンでは撮れないところにあるんだっていうことを前からぼんやり思ってて。だから「モテキ」は思い切って「俺も撮る!」「俺が女優撮るのが一番エロく撮れるから!」って言って自分で撮ったの。
服を着た状態でエロさを表現することに燃える(大根)
アヴちゃん そう、今言ったその「エロく」っていうのを今日は訊きたいなと思って。大根ちゃんにとってのエロというのは?
大根 女優を撮るときに意識するのは、ひと皮むいたところを出してもらうっていうこと。俺にとってのエロは、本人があんまり見せたくない部分、精神的なコンプレックスなのかも。
アヴちゃん コンプレックスが長所に逆転する。そこがすごくきれいに見えるということね。その、艶っぽく撮りたいっていうか、キラキラさせたいっていう思い。そこは純粋にかわいらしいなって思います。
大根 うん。
アヴちゃん そこにあるのはきっと"エロ"じゃなくて"エロス=愛"だと思います。エロには媚びがあるんです。例えば男性器を出すこと、女性器を出すこと、胸を出すこと。裸がエロいのは当たり前。だけど私は脱ぐよりも着るほうがセクシーだと思うのよね。そこにイノセントなものを感じます。
大根 俺もそうなの。脱がしてエロいのは当たり前だし、全然面白くない。着てる状態のほうがエロいし、それでエロさを表現することに燃えるっていうか。
アヴちゃん 「モテキ」には、男性器を隆起させるとか、女性器を湿気らすみたいなそういうものだけではないエロスがあると思います。そうじゃなければ、私は「モテキ」に出たいと思わなかった。そこに対するこだわりとかプライドをすごく感じたので。
大根 うん、女王蜂に出てほしいって決めたのは俺だけれども、一方で不安もあって「女王蜂の曲『モテキ』に合うんだっけ?」って。でもやってみたらすごくマッチしてたよね。
アヴちゃん やっぱりお互いにこだわりがあるからじゃないかしら。過剰な表現を大切にしてるのよね。聞いたけど映画ではチューばっかりしてるって。大根ちゃんはチューを見るのが好きなの?
大根 チューが好きなの(笑)。
アヴちゃん あら、大根ちゃんはチューが好きなのね。(記者に向かって)これ書いてあげてくださーい。
大根 あはは(笑)。逆に言うと、その先にはあんまり興味なくなってきてるのかも。
アヴちゃん 私もそう。セックスというものにはあんまり重きを置いてないの。セックスは、女王蜂を始めてから退屈になった、とても。
大根 退屈?
アヴちゃん だって女王蜂のライブのほうが超楽しいから。セックスは、終わったあとに何も残らないでしょ。
大根 そっか、アヴちゃんにとって圧倒的にライブなんだね。
アヴちゃん ライブのほうが、悲しくなるし楽しいし、大事だなって思うし、痛いし。全部入ってるから。ライブが良くないと生きてる意味がない。生きててもいいけど、生きてる意味はないの。だって、ライブをするまでの人生が全く楽しくなかったから。
大根 そこで人生が変わったんだ?
アヴちゃん そう、女王蜂を始めてからは、バイトしてお金稼いで、スタジオ行って鬼のように練習して、終電逃したら歩いて帰って、タクシー代4人で割り勘して、1人だけ方向が違うからどうしよう、とか(笑)。ノンストップでいろいろ考えてやってきたのね。人生ってこんなに楽しいんだって思いながら。
大根 映画にも出たし(笑)。
アヴちゃん ねー、映画出るってやばいよねー。面白いなって思う。すごいよね。
大根 俺も女王蜂が出てくるとちょっと笑っちゃうもんね。「なんだこの映画?」って(笑)。
アヴちゃん マジかよー!ってなるよね(笑)。
女王蜂 第二回東名阪単独公演「孔雀婦人」
~官能舞踏会編~
2011年10月7日(金)
愛知県 名古屋ボトムライン
OPEN 18:00 / START 19:00
ドレスコード:あなたなりのフェティッシュ
問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
~紅色踊り子編~
2011年10月16日(日)
東京都 東京キネマ倶楽部
OPEN 17:00 START 18:00
問い合わせ:ディスクガレージ 03-5436-9600
※チケット完売
~虚栄心の鏡編~
2011年10月22日(土)
大阪府 味園ユニバース
OPEN 18:00 / START 19:00
問い合わせ:夢番地大阪 06-6341-3525
料金:全立見3000円(ドリンク代別)
女王蜂(じょおうばち)
アヴちゃん(Vo)、やしちゃん(B)、ルリちゃん(Dr)、ギギちゃん(G)からなる4人組バンド。2009年3月神戸にて結成。2010年「FUJI ROCK FESTIVAL '10」の「ROOKIE A GO-GO」に抜擢され、その圧倒的なパフォーマンスが耳の早い音楽ファンの間で噂に。2011年3月に初の全国流通盤ミニアルバム「魔女狩り」を、同年9月にはソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビュー盤「孔雀」をリリース。10月からは東名阪で「単独三カ所公演『孔雀婦人』」を実施する。
大根仁(おおねひとし)
1968年東京生まれの演出家。代表作はドラマ「アキハバラ@DEEP」「去年ルノアールで」「週刊真木よう子」「湯けむりスナイパー」など多数。2010年、脚本・演出を担当したテレビ東京系深夜ドラマ「モテキ」が話題を集め、2011年9月に映画化。フジファブリック「夜明けのBEAT」のビデオクリップも手がけている。