ナタリー PowerPush - ZIGZO

2nd SCENEを突き進む4人の“10年”と“これから”

「これしかできないもん!」から「俺らにしかできないもの」に

──曲作りの面以外で、10年経って変わったことってありますか?

櫻澤 うーん。若さを失って白髪が増えたこと? 個人的には聴力も落ちたしなあ。

岡本 白髪はすげえ増えた。

高野 肝機能と朝の元気はなくなったな。尿酸値も高くなったし。

岡本 俺は歯も1本なくなったし、目も悪くなった(笑)。あと打ち上げの居酒屋で頼むメニューが変わったね。肉が減った。

──皆さん肉体面での変化が著しいようですが……。

高野 だからお互い気を遣うようになるんだよね。

岡本竜治(G)

大西 でもさ、外国のロックバンドが、50とか60になっても現役で「ロックだ!」って言ってるじゃん。その感覚が最近わかるようになってきたんだよね。ちゃんと現役でいるためにトレーニングするというかさ。20代、30代の頃って勢いでなんとかなるんだけど、40過ぎるとそうもいかんのよ。でもロックバンドをやめるつもりもないし。日本で60代の現役のロックバンドって、そんなにいないじゃん。そういう境地に突き進んでいけたらいいよね。まあ、とにかくみんな健康でいてねっていう(笑)。

高野 全員が「これしかできないもん!」っていう人たちなんですよね。器用じゃないし、音楽しかできないし。

岡本 ステージにしがみついて生きてるところもあるからね。

高野 今は「これしかできないんだもん!」だけど、60代になったときにそれが唯一無二の「俺らにしかできないもの」になってたらいいよね。

大西 目指すはストーンズだよね。ってか、だんだん老人くさい会話になってるな……。

高野 そのうち「メシはまだか?」「さっき食べましたよ!」っていう会話するようになるんだぜ。まあ、失ったものもあるんだろうけど、得たものも多いからさ。

──得たものとは?

高野 うーん……“失ったこと”じゃないかな。この10年間で無駄なものがなくなったんだよね。今、ZIGZOは「俺らにしかできないもの」に向かう途上なわけで、その間にいろいろ失ってきてるから。さらにそこからまた失っていって、削ぎ落とされていって、その境地に達せるんじゃないかと。「これしかない」っていう4人が楽しんでZIGZOをやり続けて、60になっても70になってもバンドをやってたら面白いよね。

今のZIGZOは「面白い4人のおじさんと変なバンド名」

──これから2013年第1弾ツアーが始まりますが、どんなものになりそうですか。

櫻澤 2012年にやったツアーって、復活ライブに来れなかった人のためにZIGZO再結成しましたよって伝えにいく意味合いが強かったんだよね。「THE BATTLE OF LOVE」を出す前にやったツアーだったから、今回が本当の意味での再結成したZIGZOを初めて見せられるツアーなのかもしれない。

──去年とは意味合いもメンバーとしても心構えが違うと。

櫻澤 そうだね。

──ツアー後に単発的に開催した10月25日の渋谷公会堂のライブはどういうものでしたか?

櫻澤 再結成をちゃんと世間に報告し終えて、やっと2012年のZIGZOが始まるって感じかな。

高野 「THE BATTLE OF LOVE」の曲もたくさんやったし、試金石になるようなライブだったからね。そのあとのライブは気持ちが楽でさ。今のツアーの準備してても純粋に楽しいもんね。だから渋公は「やっと再結成後のZIGZOのライブができた」っていう日だったと思う。

──ところでツアー会場でDVDを発売されますね。3枚組の超大作だそうですが、皆さんはご覧になったんですか?

岡本 全員で並んで泣きながら観ました。ポップコーン食いながら(笑)。

大西 ライブだけじゃなくて去年のツアーに密着したドキュメンタリー映像も入ってるし、再結成の流れを知らずにライブに来る人もいると思うので、そういう人にとって入り口としていいんじゃないかなって。

──10年前のZIGZOを知らないであろう若い人もライブに来てますもんね。

髙野哲(Vo, G)

高野 まだあんまり実感ないけどね。去年のツアーは再結成してから初めてのツアーだったから、懐かしい曲もやったし、メモリアルな内容だったからみんな喜んでくれたけど、今度のツアーは新しい曲もやるからもしかしたらついてこないお客さんもいるかもしれない。でもさ、お客さんに合わせるわけにはいかないし、自分たちがやりたいと思うことをしないとね。その中で「ZIGZOカッコいいじゃん」ってなったらうれしいし。今度のツアーでいろんなことが見えてきて、それが次に進む糧になればいいし。糧になんなかったら、そんときはそんときだし。いろんな意味で楽しみですよ。

──最後に、ZIGZOは1999年に「今世紀(20世紀)最後のモンスターバンド」というキャッチフレーズとともにデビューしましたが、再結成したZIGZOはどんなバンドでしょうか?

高野 「面白い4人のおじさんと変なバンド名」ってところじゃないですかね。

櫻澤 愉快なおじさんたちって思ってくれればいいですよ(笑)。

──そういう気安いキャッチフレーズは、10年前には出てこなかったですよね。

櫻澤 まあ、年食ったからね(笑)。でもそういう変化も楽しいもんですよ。

ZIGZO
ニューアルバム「THE BATTLE OF LOVE」 / 2012年10月10日発売 / 3000円 / 日本クラウン / CRCP-40330
ニューアルバム「THE BATTLE OF LOVE」
収録曲
  1. Day By Day
  2. アドレナリン ドライブ
  3. I Cult You
  4. Super Charger Star
  5. Medicine Man
  6. 炎は青く揺れる
  7. Beyond The Moment
  8. ぶらつく天使
  9. I'm in Love
  10. トロイメライ
  11. Hello, I Love You
  12. MADAMADA
ZIGZO (じぐぞ)

髙野哲(Vo, G)、岡本竜治(G)、大西啓之(B)、櫻澤泰徳(Dr)の4人によって1999年に結成。同年7月にシングル「血と汗と涙の裏側のハッピー」でメジャーデビューする。2002年3月に解散するまでに8枚のシングルと2枚のアルバムを発表。解散後、メンバーは個々に音楽シーンで活躍。2011年11月に再結成を発表。2012年3月に東京・赤坂BLITZでワンマンライブを行い、本格的に活動を再開した。


2013年1月11日更新