ZEUS|再び動き出した3人、目指すのは「日本と韓国の架け橋」

韓国人ボーカルユニット・ZEUSが8月発表のシングル「Thunder / Re Smile」で日本デビューした。ZEUSは元SHU-Iのインソク、チャンヒョン、ミンホが結成した新グループ。世界中でK-POPブームが巻き起こる前から活動し、そして韓国で兵役を終えて再び音楽シーンに戻ってきた。今回のインタビューではデビュー曲の話題に加え、彼らが感じる韓国と日本の文化の違いについても語ってもらった。

取材・文 / 宮崎敬太 撮影 / 映美

「一番になりたい」という思いを込めた

──ZEUSというグループ名にはどんな意味が込められているんですか?

ZEUS

ミンホ 一番になりたいって思いが込められています。

インソク ゼウス(ZEUS)は神様の中の神様ですからね。僕らもそんなアーティストになりたいんです。だから強くてインパクトのある名前がよかった。しかも短くて簡単な。

チャンヒョン グループ名を決めたのは入隊前。3人でアイデアを出し合ったんです。

ミンホ そういえば、グループ名をZEUSに決めた日、あまり天気がよくなかったんですよ。そしたら帰り道に雷を見たんです。ウソみたいな話だけど本当なんですよ。ゼウスは雷を使う神様でもあるから、これはもう運命だと思いましたね(笑)。

──そしてデビュー曲は「Thunder」になったわけですね。この曲はどんなコンセプトで作ったんですか?

チャンヒョン この曲は、僕らが作曲家に直接イメージを伝えて作ってもらいました。

ミンホ 普段曲を作る場合、いろんな作曲家の方たちが作ったトラックを集めて、そこから僕らが選ぶんですよ。でも今回はデビュー曲だから、どんな曲を作ってほしいか、まず僕らから作曲家の方に提案しました。「Thunder」はどちらかと言うとジワジワハマっていくタイプの曲だと思います。

インソク SHU-Iの頃の曲と比べると、大人っぽいよね。ISETAN MEN'S館みたいなイメージ(笑)。高級感があって、クールで、洗練されているファッショナブルな曲ですね。歌詞には3人グループとして新たに活動を始めた僕らの強い意志が込められている。ライブでも自然と力が入ります。

約2年間の兵役期間を支えてくれたファンの愛

──カップリングの「Re Smile」は温かいバラード曲ですね。

ミンホ インソク チャンヒョン

ミンホ この曲はファンの皆さんの大切さについて歌っています。SHU-Iで活動していたときもファンの皆さんはすごく大切だったけど、軍隊に入ってそれをさらに強く感じるようになったんです。

チャンヒョン やはり2年間も待っていてくれるのは本当にありがたかった。僕らにとっても短い2年ではなかったし。だからZEUSとして最初のバラード曲は絶対にファンの皆さんのために歌おうと思いました。この曲は、レコーディングのときも、ライブで歌うときも、皆さんへの愛があふれてしまう。

──日本には兵役がありません。だから「約2年間、軍隊に所属しなくてはならない」という言葉の意味はわかるのですが、それが義務であるという感覚がわかりません。音楽活動をしていた皆さんにとって、兵役とはどういうものだったんでしょうか?

ミンホ やはり忘れられてしまうんじゃないか、という不安はありましたね。通常、韓国のグループは、メンバーが1人ずつ入隊するんですよ。でも僕らは3人が一緒に入隊することになりました。そういう前例はあまりないので、どうなってしまうのかすごく不安でした。

──なぜ3人一緒に入隊したんですか?

チャンヒョン 入隊する日は自分で決めることもできるんですが、同じ時期に入隊希望者が集中すると抽選になります。最近は早めに兵役を終わらせたい人が多いんですよ。僕らが入隊を希望したときもすごく人数が多かったので、国から決められた日に入隊することになりました。そしたら3人がだいたい同じタイミングで入隊することになったんです。入隊が決まってからは、朝起きて、寝る前までずっと心配でした。何をしても楽しくないし、何を食べてもおいしくない。入隊のことで頭がいっぱいでした。

インソク 実際入隊することになったときは、言葉ではうまく表現できないけど、すごく難しい気持ちになりました。実際、軍隊というのは、今まで当たり前だったことができなくなる場所です。でも休暇はあるので、できるだけ3人で日程を合わせるようにして、これからの活動について相談していたんですよ。それが僕らの支えになっていた部分は確実にあります。

チャンヒョン 「Re Smile」には兵役に行っていたときに感じたファンの皆さんへの思いが込められています。でも、実は今回のレコーディングは個人的にちょっと大変でした。というのも、軍隊にいる間はほぼ日本語を使う機会がなくて、歌声の出し方や、日本語の発音をけっこう忘れちゃったんです(笑)。だからレコーディングのときに、細かい表現やイントネーションの感覚を思い出すのにかなり時間がかかりました。