7色展開するライブの鉄板曲
──ライブではアルバム収録曲のうち「ものの恋あはれ」も披露されました、この曲はすでにツアーで何度も披露されているんですよね。
ふふ はい。シングル曲の「Heavenlyheaven」よりたくさんやってるかもしれないくらい。
个喆 ライブではずっと楽しい曲。患いさんも一緒に踊ってくれるようになりました。
愛海 楽曲を提供してくれたど~ぱみんさんは、ぜん君。のことをよく知ってくれているから、ウチらに合わせながらもちょっと遊んだ形の楽曲を作ってくれて。各メンバーに合わせて楽曲が“7色展開”するんですけど、私がロックとダンスミュージック、个喆がEDMとかわいいフューチャーベース、喑がオリエンタルなダブステップ、ふふがジャズとハードコア、襲がハードコアとトランス、メイがクラシカル、十五時がメタルというようにテーマが分かれていて。
襲 メタルとはいえちゃんと十五時の“色”になっていてめっちゃかわいかった。
喑 デモを聴いたとき、クラシックの部分はメイだってすぐわかった(笑)。ゴシック的なイメージもあるし、これはメイだろうなって。
メイ 私としては意外なんだけどなあ(笑)。
──メロディのみならず、歌詞もメンバーそれぞれのことが書かれていますよね。十五時さんのことは「十五時のわがまままるで魔王?」と書かれていますが……。
十五時 そんなことないんです! でもほかのメンバーに当てた歌詞はすごくしっくりくるから、もしかしたら自分のことも……。
喑 合ってるよ!(笑)
十五時 やっぱりそうなんだ……。
愛海 楽しげな曲だから、患いさんにもすでに人気が出ている曲ですね。「早く歌詞をちゃんと読みたい!」みたいな声もあって。
メイ 歌詞カード持ってじっくり聴いてほしいな。
eteオキタからの挑戦状
──3曲目「Underscore」はぜん君。と同じくコドモメンタルINC.に所属するバンド・eteのオキタユウキ(ete)さん提供の曲です。オキタさんらしいというか、変拍子の難しい曲をいただきましたね(笑)。
喑 デモを聴いたとき「これはオキタさんからの挑戦状だ!」と思いました。
襲 歌うのがめっちゃ難しかった。ここで止まるんかーい!みたいなところが多くて。
ふふ 今までのぜん君。で慣れてきたメロディとは全然違かったよね。自分の固定観念が壊された感じ。
今村 この曲、実は个喆を軸に歌のディレクションをしてる曲なんですよ。オキタから僕に来たデモの段階でポストハードコア然とした楽曲で、難しいからこそ、こてちゃんだなと思って。
个喆 ええ!? 本当に? 目ん玉落ちるかと思った(笑)。
今村 今の个喆が持っているポテンシャルに当てはまるような曲がこの曲だった。
愛海 こてちゃん(个喆)って、難しい女だよね。
个喆 私、難しい女だったのか……。レコーディング、もっとがんばればよかったかな。
一同 (笑)。
愛海 个喆はけっこうリズムを取るのが上手だから、この曲をちゃんと歌いこなせているイメージがあるかもな。
喑 こてちゃんの歌い出しから好きだもん。
个喆 わ、こんなにいきなり褒められると思ってなかった!
愛海 この曲は難しかったけど、レコーディングはすごく楽しかったな。ずっとeteの曲も聴いてたから、レコーディングではオキタくんと一緒に歌っているような気持ちになるんですよ。オキタくんのメロディ、リリックがはまるとこんなに気持ちいいんだ、とか。いろんなことに思いを巡らせながら歌いました。
メイ 仮歌をオキタさんが歌っていてビックリしたよね。だから一緒に歌っているような感覚になるのはすごくわかる。
今村 歌詞を送ったらすぐに本人が録って送ってくれたんだよね。オキタはバンドでは自分で歌詞を書いてるから、GESSHI類(ぜんぶ君のせいだ。のすべての作詞を手がける作詞家)の歌詞でもこうやってデモを歌ってくれてうれしかったな。
愛海 デモですんなり歌いこなしているのがまた憎たらしくて(笑)。難しい曲なのでライブで本人に聴かせるなら1年半ぐらい経ってからがいいですね(笑)。その頃にはオキタくんの想定を超えた曲に仕上げて恩返しできると思いますから。
今までのぜん君。なら避けてきた1曲
──レーベルメイトの提供曲で言うと、アルバムのラストを飾る「落書きキセキ」は、Made in Me.のメンバーであるじゅんちゃい(HyperVideo2)さんと彦さん(no luck.)が提供した楽曲です。
メイ 今までのぜん君。にはなかったすごく穏やかで優しくて、最初にデモを聴いたときはビックリしたな。
今村 最初はもうちょっと違う雰囲気の曲を出してきたんだけど、僕はMade in Me.らしさをもっと出したほうがいいなと思って。Made in Me.の彦(Vo, G)はフォークソングが好きでミドルテンポの曲をうまく作れるタイプなんですよね。それでもらったメロディがめちゃくちゃよかったので、ぜん君。にとっては新鮮なミドルなBPMの曲になりました。今までだったらこの曲をよしとしなかったから、こういう曲が出せるようになったのも彼女たちの成長のおかげだと思います。この曲に一番声が合うのはふふだったね。
十五時 歌い出しもふふだね。
ふふ 歌詞も変わってるよね。「スケッチブック」とか、すごく日常的な言葉でつづられてる感じ。
愛海 ふふの息遣いが出てるところがすごくいい曲ですね。この曲と「MONSTER」もそう。ふふの声の出し方がちょっと変わっていて、前のめりにガンガン声を出すタイプじゃないんですよ。合唱とかで言われていたような、頭から声を響かせて出すようなイメージというか。その響き方が優しさを醸し出していて、「落書きキセキ」にすごく合ってる。
喑 この曲の最後の歌詞がすごく好き。アルバムのテーマにあるようにずっと傷を負いながら、過去とちゃんと向き合って進んだ先に「大丈夫、愛してる(君が笑えば)」という一節がきて、すごく聴いてて安心できるというか。この言葉で終わるのが好きすぎる。
愛海 大丈夫、愛してるよ(そっと喑の手を取る)。
喑 !?
愛海 手、めっちゃ震えてる(笑)。
十五時 この部分、メイが「大丈夫、愛してる」と歌ってて、こてちゃんがハモってるんだよね。実はこれまでメイとこてちゃんの組み合わせで歌う部分ってあまりなくて。
今村 メイと个喆だけじゃなくて、愛海と十五時の組み合わせはちゃんと意味のあるときにやらなきゃダメだと思っていて。今回のアルバムではその“意味のあるとき”が、しかるべきタイミングで訪れた感じ。
愛海 この曲のおかげで、アルバムの最後に深めの余韻を残して締められてるんですよね。ぜん君。の音源がこういう終わり方をするのは初めてかも。
今村 こういう曲を歌うことは徹底的に避けてきたからね。今だからできた曲なのは間違いない。今回間違いなく言えるのは、僕が手がけてきや何百曲という音源の中でもかなりの自信作になっていて、ぜん君。では間違いなく最高傑作になったということ。あんまりこういうことは思わないけど、これを超えられるかどうか、自分でもちょっと不安になるくらい。
愛海 外部の方に曲をお願いしながら社長がここまで言うのはすごく珍しいことだと思う。バンドマンだったり、ボカロPだったり、いろんな方に作曲をお願いしましたが、皆さん自分の信念を持って音楽を作り続けている人たちだから大きな不安もなく新曲を委ねられたんだと思います。各作家さんの信念を曲から感じられるのがものすごく心強くて、曲が強いから私たちも強くぶつかっていけたわけですし。
──制作の中でいつもとレコーディングの勝手が違う、といったことはありましたか?
メイ ディレクションはsyvaさんと(水谷)和樹さん(ぜんぶ君のせいだ。のメインソングライター)に担当してもらったので、大きくは変わらなかったんですが、みんないろんな歌い方を試している印象はありました。
襲 「Heavenlyheaven」のおやちゃん(十五時)、全然違くない?
十五時 患いさんにもいっぱい言われた!
个喆 いつものハスキーなおやちゃんじゃない。
ふふ あと、めっちゃ舌足らず(笑)。
十五時 今までと違う歌い方を何種類か歌ってみたから、今回は挑戦が多いレコーディングでした。
ふふ デモを聴いてイメージを膨らませてレコーディングに臨むんですけど、けっこう思うように歌えないこともあって。外部の作家さんの曲をいきなり歌いこなすにはまだまだ実力が足りないなと痛感することもあって、すごく刺激のある制作でした。
襲 同じくです。レコーディングのときは一生懸命だから気付いてなかったけど、あとから聴いて「ここはもっとこうすればよかった」みたいに思うこともあって。ライブではもっといい歌が届けられると思います。
今までのライブを取り戻す
──すでに次のツアーが決まっていますが、ここ1年のライブの数が多すぎたので、ちょっと間が空くような感覚がありますね。
愛海 つかの間の休息を取りつつも、アルバムが出たらリリイベがあるし、新曲の振り入れもあるのでこれからまた忙しくなります。
襲 ツアーが終わってひさしぶりに実家に帰ったんですが、やることがなくてソワソワしちゃって(笑)。え、本当にライブないの?みたいな感じで。
喑 ライブがあるのが当たり前になっちゃったからね(笑)。
──さらに4月には東京・TOKYO DOME CITY HALLでのワンマンライブが控えています。
愛海 ZeppやLIQUIDROOM、O-EASTでのライブはこれまでやったことがあったから、これまでは過去の道筋をまたたどってきたような感覚が強くて。TOKYO DOME CITY HALLは今まで立ったことがない、最大規模の会場になるので、めちゃくちゃ楽しみですね。面白くなることはもうわかってるんですよ。ライブでは披露したけどまだアルバムに収録されていない曲もたくさんあるし、やってみたいこと、やれることがまだまだあるから。
十五時 O-EASTに来てくれた患いさんに「7人になったし、広い会場が似合うよ」という声をたくさんいただいたので、もっと広い会場でのライブはすごく楽しみ。
愛海 まだ計画段階でどうなるかはわからないんですが、もし情勢が落ち着いていたら会場にフロアを作りたいんですよ。もみくちゃになって盛り上がれるようなスペースを作って、今までみたいなライブをちゃんと取り戻したい。もちろん、コロナ禍に入ってからファンになってくれた人が落ち着いて観られるようなスペースも作りつつですが。
ふふ 私たち3人は、フロアで自由に動けるライブをやったことがないんですよね。
十五時 そっか。まだ1年だもんね。
襲 ステージも広いからこっちも思いっきり暴れられるし。どんなライブになるのか楽しみだなあ。
ライブ情報
ぜんぶ君のせいだ。「seventh sense tour」
- 2022年1月9日(日)東京都 shibuya eggman ※如月愛海生誕祭
- 2022年1月10日(月・祝)東京都 shibuya eggman ※如月愛海生誕祭
- 2022年1月15日(土)愛知県 DIAMOND HALL ※無料公演
- 2022年1月16日(日)大阪府 BIGCAT ※無料公演
- 2022年1月21日(金)東京都 LIQUIDROOM ※無料公演
- 2022年1月29日(土)大阪府 BananaHall ※征之丞十五時生誕祭
- 2022年2月11日(金・祝)東京都 下北沢シャングリラ ※メイユイメイ生誕祭
- 2022年2月12日(土)宮城県 darwin
- 2022年2月19日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2022年2月20日(日)愛知県 ElectricLadyLand ※个喆生誕祭
- 2022年2月23日(水・祝)福岡県 DRUM Be-1
- 2022年2月26日(土)北海道 cube garden
ぜんぶ君のせいだ。TOKYO DOME CITY HALL 単独LIVE「絵空事現」
2022年4月3日(日)東京都 TOKYO DOME CITY HALL
プロフィール
ぜんぶ君のせいだ。(ゼンブキミノセイダ)
如月愛海(きさらぎめぐみ)、征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ)、甘福氐喑(あまねちあん)、もとちか襲(かさね)、雫(しずく)ふふ、メイユイメイ、个喆(こてつ)の7人からなる「病みかわいい」をコンセプトにしたアイドルユニット。2015年7月に1stシングル「ねおじぇらす✡めろかおす」をリリース。2019年1月には東京・Zepp Tokyoにてワンマンライブ「Zepp Tokyo ワンマンLIVE~革鳴共唱~」を開催した。2020年7月には東京・中野サンプラザホールにて初のホール公演「ぜんぶ君のせいだ。単独公演~生鳴兆候(バイタルサイン)~」を開催し、一時活動休止を発表。11月に甘福氐喑、もとちか襲、雫ふふの3人が加わり、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演を皮切りに47都道府県ツアー「re:voke tour for 47」を開催した。2021年1月、解散したゆくえしれずつれづれのメンバーであるメイユイメイと个喆の2人が加入。3月に既発曲の再録音源を収録したアルバム「Q.E.D.mono」を発表した。5月から11月にかけて再び47都道府県ツアー「Sicutie & Stupid Tour 2021」を開催。11月にニューアルバム「FlashBack NightMare」をリリースした。