ナタリー PowerPush - Zeebra
キングが語る「俺の任務」
来年、ヒップホップのフェスやります
──しかし、レゲエと比べてもヒップホップは日本で受け入れられているとは言い難いですよね。
それは俺らがお客を育ててこなかったからです。レゲエは「レゲエ祭」を95年からそれなりのサイズで始めて毎年徐々にお客を育ててきたけど、俺らはそういうのをやらなかった。あと、90年代の中頃くらいからストリートカルチャーが当たり前になってきて、メロコアやパンク、ヒップホップ、レゲエがジャンルとか関係なくみんないろんなコラボレートとかしだした。あの頃、SHAKKAZOMBIEが誰かと共演したとか普通にあったじゃないですか。そこで、俺たちはシーンとして1つになるんじゃなくて、それぞれがそれぞれの道を歩み出しちゃったんだよ。俺は俺。MURO君はMURO君。NITRO(MICROPHONE UNDERGROUND)はNITROみたいな。最初はそれでも良かったんだけど、ヒップホップバブルが弾けたらシーンがスカスカになっちゃった。だから、それをまとめていくことが大切なんだろうなって俺は思っています。
──具体的に何かアイデアがあるんですか?
ちょっと動き出してるんですけど、ヒップホップのフェスですね。夏の野外フェスみたいなのを定例化させて、細分化したシーンをいい意味で再びまとめたいんです。
──今Zeebraさんが言われたことって、まさに「One Hip Hop Feat. Zeebra / DJ Mitsu The Beats」(「Black~」収録)そのものですよね。「Players, dancers, hustlers, gangster, poets, creaters, and all fans / There's only hip hop」と歌ったこの曲に全てが詰まってる気がします。
はい。それに尽きるんですよ。初めてラップしたとき、初めてDJしたときのあの感じ。もうどんな趣向でヒップホップをやっていようが、その初期衝動はみんなだいたい変わんないと思うんです。だから、そこに立ち戻ると、もっといろんなものがクリアになって、大切なものも見えてくる気がしますね。
キングにはキングの任務があるんですよ
──先程、Zeebraさんはご自身が変わり続けてきたとおっしゃいました。では、なぜ変わり続ける必要があったんでしょうか?
ヒップホップを理解してもらうために、「自分が何をすべきか」とか「自分のどの面を今出すべきか」みたいなことをずっと意識してやってきました。例えば、「Grateful Days」(Dragon Ash)とか2ndの「BASED ON A TRUE STORY」とかにしても、不良性とかストリートの感覚を見せないとヒップホップは全部理解してもらえないなって思ったんで、その当時はそこを一番メインに押し出してたんです。でも、ヒップホップはそれだけじゃないからってことで3rd「TOKYO'S FINEST」はポップな作品にして。これを伝えたら、次はこれをって感じでやってきました。
──では、今現在Zeebraさんがご自身に課している役割はどのようなものですか?
できるだけ、壁のないニュートラルな人でいたいと思っていますね。若い人にもパイセンにも。それこそさっき言った世代間のつなぎ目でいたい。そういう責任を一番感じています。
──「One Hip Hop」のために働くということですね。
そうですね。RHYMESTERの「ONCE AGAIN Remix Feat. DABO, TWIGY, Zeebra」で言ってるんですけど、キングにはキングの任務があるんですよ。キングはちゃんと国を治めないといけない。「俺が偉いだろ」って言っても何もうまくいかないですよ。だから俺はそういうつもりでいますね。
──昔から一貫して、ここまでシーンのために自分がどう動けばいいか考えてる人って、他のジャンルを見てもいないと思いますよ。
俺はね、いろんなアーティストが好きなんですよね。USにしても、DE LA SOULもWU-TANG CLANも大好きなんですよ。っていうか、ほとんどみんな好き(笑)。だからいろんなタイプのやつらが成功してほしい。常に新しいヤバいやつのニュースが入ってくるのがヒップホップの面白さだと思うから。そのニュースが小さいニュースよりは大きいほうがいいし、韻踏んだだけで世界が動いたほうがいいじゃないですか。
「Black World」収録曲
- The God
- Take Over (All Guns Up)
- Pop Feat. K Dub Shine & DJ Oasis
- Fighter's Anthem Feat. Anarchy
- Blue Feat. AI
- Gang On The Backstreet Feat. 東京スカパラダイスオーケストラ
- Cruisin' (Skit)
- ジャングル・クルーズ
- The Illest
- Last O.G.
- Keep On
- One Hip Hop Feat. Zeebra / DJ Mitsu The Beats
「White Heat」収録曲
- Android
- Butterfly City Feat. RYO the SKYWALKER, Mummy-D & Double
- Money In My Pocket Feat. NaNa
- Fly Away
- Super DJ
- Venus In The Underground
- One And Only Feat. Big Ron
- My Applebum
- Dream Team Feat. Dag Force
- Endless Summer Feat. COMA-CHI
- Love Shines (Butter Smoother) / DJ Hasebe Feat. Sugar Soul & Zeebra
- Fire Feat. Zeebra (No Nukes Rebirth) / DEXPISTOLS
Zeebra LIVE TOUR THE LIVE ANIMAL 2012 "BLACK WORLD / WHITE HEAT"
- 2012年2月25日(土)
福岡県 福岡DRUM LOGOS
OPEN 18:00 / START 19:00 - 2012年3月2日(金)
愛知県 名古屋CLUB DIAMOND HALL
OPEN 18:00 / START 19:00 - 2012年3月6日(火)
大阪府 大阪BIG CAT
OPEN 18:30 / START 19:30 - 2012年3月10日(土)
宮城県 仙台Rensa
OPEN 18:00 / START 19:00 - 2012年3月16日(金)
東京都 赤坂BLITZ
OPEN 18:00 / START 19:00
料金:オールスタンディング4500円(全公演共通・ドリンク別)
※Zeebraオフィシャルホームページにて先行チケット予約受付中
期間:2012年1月10日(火)23:00まで
Zeebra(じぶら)
1971年生まれ東京都出身のラッパー。キングギドラのメンバーとして1995年にデビューする。日本語ラップの礎を築いたグループとして高い評価を得つつも、翌年にグループは活動を休止。1997年にシングル「真っ昼間」をリリースし、ソロアーティストとしてメジャーデビューを果たす。その後は、日本を代表するヒップホップアーティストとしてさまざまなシーンで活躍。2006年には、アルバム「The New Beginning」でアメリカのトッププロデューサーであるSWIZZBEATZやSCOTT STORCHとの共演を実現した。さらに2008年には、ラッパーとしての活動20周年を記念して武道館ワンマンライブ「Zeebra 20th Anniversary The Live Animal in 武道館」を開催している。2010年にはレーベルをAriola Japanに移籍。シングル「Butterfly City Feat.RYO the SKYWALKER, Mummy-D & DOUBLE」や「Blue Feat. AI」といった話題曲をリリースしたほか、DEXPISTOLSやDJ MITSU THE BEATSの作品に参加するなど、ジャンルや世代を超えた活躍をみせている。そして、2011年12月には、約4年半ぶりとなる最新2in1アルバム「Black World / White Heat」をリリース。2012年はZeebra Live Tour 『The Live Animal 2012 "Black World / White Heat"』と題したホールツアーを展開する。