音楽ナタリー PowerPush - 在日ファンク
ハマケン(+川副マネージャー)の熱血ファンク物語
シンプルな言葉の先に広い地平
- 在日ファンク3カ月連続シングルでJxJx、サ上らとコラボ(2010年8月23日 10:24)
- 在日ファンク、新春祈願ワンマンツアーで東名阪初詣(2010年11月5日 0:00)
- 在日ファンクメンバーチェンジで元DCPRG後関好宏加入(2011年2月1日 0:00)
──1stアルバムの高評価を受けて、そこからは対バンやイベント出演の回数も増えていきましたが、2010年末にはサックスプレイヤーの福島“ピート”幹夫さんが脱退。入れ替わりで後関好宏さんの加入という転機がありました。
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浜野 ピートさんはジャズマンだから、もともと1つのバンドでずっとやるというノリではないんですよ。ずっと俺の後見人みたいな感じでいてくれたんだけど、在日ファンクの活動が増えてきた頃、それまではハマケンがやりたいときにやる感じだったから大丈夫だったけどこのペースでは無理だなって。
川副 後関さんとは在日ファンクと別で付き合いがあって。後関さんの家にも泊まりに行ったりしてたし(笑)。ピートさんが抜けることになって、ほかに僕が知ってるサックスプレイヤーは後関さんしかいなかったし、性格的にも在日ファンクで楽しんでもらえるんじゃないかなと思ったんです。浜野さんも後関さんとはEGO-WRAPPIN'で共演してたし、声をかけてみようと思うって話をしたら、いいんじゃない?って。
──新体制で動き始め、2011年9月には2ndアルバム「爆弾こわい」が発表されました。表題曲の「爆弾こわい」はフレーズ連呼や歌詞の視点など、在日ファンクの音楽的な特長を決定付けた1曲なのかなと思いますが。
浜野 これは別にバカ売れしたわけでもないのに、在日ファンクの大ヒット曲みたいな気持ちになっていて(笑)。ライブでも盛り上がるし。
──このタイトルフレーズ連呼みたいなスタイルはどこから?
浜野 SAKEROCKで即興歌みたいなのをやってたからなのか、ちょっとわかんないんですけど……特にインテリなエピソードはないです(笑)。日本語でやるファンクバンドって今までにもあったけど、なんかうまく歌詞がはまらない気がしていて。例えばフェラ・クティのやってることを直訳したところで言葉の力は完全になくなっちゃうし、どうにかもっとうまく、ファンクに衝撃を受けたとき感じたものを日本語で言葉にできないかなと思ってたんですよ。でも1stアルバムに入っている「きず」って曲を作ったときに、「あ、『きず』とかでいいんだな」って気付いたんですよね。フェラ・クティも歌詞の直訳を考えたら違うように聞こえるんだろうけど、俺には「きず、きず、きず」にしか聞こえない、みたいな(笑)。言葉の重みのバランスって、音の強さとの重要なつながりがあると思っていて。「爆弾こわい」は落語の「まんじゅうこわい」みたいだし、「爆弾」と「こわい」の重みのバランスがうまく作用してるなと。これで味を占めたんですよね。
──なるほど。
浜野 ちょうど「きず」を作った頃にいろいろ考えたんですよね。「在日ファンクって名前はどうなの」って尊敬してる先輩ミュージシャンに否定されたことがあったんです。「ファンクは個体としての名詞じゃないから、その上に在日が付くのはおかしい」って。そこですげえ考えたんですよ。それでも俺は在日ファンクがいいって思ったけど、なんでだろうなと。それを突き詰めて考えてたら、今の日本のファンクシーンに足りないと思っていたもののすべてがあったんです。
──名前を否定されたことで、在日ファンクとはなんなのかを真剣に考えた。
浜野 名前について考えたことでちょっとインテリになったところはあります(笑)。在日ファンクって名前に固執することで、どういう音楽をやるべきかはっきり見えてきたんですよね。「爆弾こわい」みたいに、ポンと軽い発想で出したものが意外と意味があるというのが発見として1つあって。音的な重さを重視して発音を考えると、実は意味的にも広い地平が広がってるんですよ。
川副マネージャー、奔走
- 在日ファンク新境地に到達!? 2ndアルバム「爆弾こわい」(2011年6月17日 0:00)
- 映画「モテキ」で在日、ソウルセット、夙川が本人役熱演(2011年6月19日 0:00)
- 早見あかり出演コメディ、OPは在日ファンク新曲「ウレロ」(2011年10月4日 20:20)
- 髭×在日ファンクの異色スプリットシングル数量限定リリース(2011年10月27日 18:46)
- 岡村靖幸が在日ファンク「爆弾こわい」をリミックス(2011年11月25日 22:00)
- ももクロ、爆笑あり涙あり「試練の七番勝負」で完全勝利(2012年2月7日 17:02)
- しげるもデュークも指原も!ももクロ横アリ初日てんこ盛り(2012年4月22日 1:46)
──そのうち各地の音楽フェスにも引っ張りだこになったりと、在日ファンクが快進撃を続ける一方で、川副さんは会社員との兼業で多忙を極めて。2012年には「日本と中国を往復する日々に」とありますが。
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川副 1カ月の半分ぐらいは中国かほかの地方にいるような生活で、それが2年近く続いたのかな。
──それでもマネージャーとしての仕事を辞めるという選択肢はなかった?
川副 会社員もバンドもどっちも楽しかったので、自分なりのやり方でできるところまではやってみようという気持ちはありましたよね。
浜野 彼がマネージャーに就いたことで、バンドがうまく回り始めたんですよ。俺が取りまとめてた頃みたいに「なんでホテルが取れてねえんだよ!」みたいな余計なストレスがなくなったぶん、メンバーも自分のプレイに自信が持てる感じになっていって。マネージャーって言うけど、マネージャーじゃないんですよ全然。マネージャーみたいなことを要求するとすげえ怒るし。ライブを企画して在日ファンクを前に進めてくれたり、俺が持っていないリーダーシップの肩代わりみたいな。だから中国にいるときは指令が遅れるからみんな混乱して、指令が来たら来たで「中国から指令出されてんの、なんか腹立つなあ」って(笑)、みんなモヤモヤしてた。
──同じ頃、ももいろクローバーZへの楽曲提供があったり、浜野さん単独で謎の俳優業が続いたり……。
浜野 謎の俳優業(笑)。確かに在日ファンクにとっては謎の業務ですよね。
──「めちゃめちゃイケてるッ!」への出演もあったし、音楽界のみならず「このハマケンという男はなんなんだ?」という視線を一気に集めた時期でもありますよね。
浜野 「モテキ」や「婚前特急」で俳優として興味を持った人で、在日ファンクにも食い付いてくれた人がすげえいっぱいいて。仕事が増えたことで一緒に在日ファンクも盛り上がってきたんですよ。
──ピンでの注目度に天秤が傾くわけじゃなく、在日ファンクの比重も並行して大きくなった。
川副 在日ファンクとともに、会社もどんどん忙しくなって。しんどすぎて覚えてないですもん。「連絡」(2012年10月発売のミニアルバム)のツアーのとき「ちょっとしんどすぎて辞めたいかも」って泣きながらみんなの前で話した覚えがあります。
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- メジャー1stアルバム「笑うな」 / 2014年9月3日発売 / 日本コロムビア
- 在日ファンク「笑うな」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / COZP-964~5 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3024円 / COCP-38724 / Amazon.co.jp
- アナログ盤 3456円 / COJA-9280 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- 大イントロ
- 根にもってます
- ちっちゃい
- 脈
- 不甲斐ない
- 場
- パラシュート
- 恥ずかしい
- 断固すいません
- 産むマシーン
- 笑うな
- 百年
初回限定盤 DVD収録内容
- 「根にもってます」Short Movie(監督:萩原健太郎)、Making Movie
- 「在日ファンク【所信表明】コメント」Long Version(監督:山岸聖太)
※メンバーによるオーディオコメンタリー付き
アナログ盤収録曲
SIDE A
- 大イントロ
- 百年
- 根にもってます
- 場
- 脈
- 不甲斐ない
SIDE B
- ちっちゃい
- 産むマシーン
- パラシュート
- 恥ずかしい
- 断固すいません
- 笑うな
在日ファンク「笑うな」発売記念ツアー
- 2014年10月4日(土)福岡県 BEAT STATION
- 2014年10月5日(日)広島県 ナミキジャンクション
- 2014年10月12日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2014年10月13日(月・祝)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2014年10月18日(土)香川県 DIME
- 2014年10月19日(日)京都府 KYOTO MUSE
- 2014年10月25日(土)長野県 ALECX
- 2014年10月26日(日)石川県 Kanazawa AZ
- 2014年11月1日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2014年11月2日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2014年11月8日(土)岩手県 Club Change WAVE
- 2014年11月9日(日)秋田県 Club SWINDLE
- 2014年11月14日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2014年11月16日(日)東京都 EX THEATER ROPPONGI
在日ファンク(ザイニチファンク)
浜野謙太(Vo)を中心に2007年に結成された7人組のファンクバンド。メンバーはハマケンのほかに、村上啓太(B)、仰木亮彦(G)、永田真毅(Dr)、後関好宏(Sa)、ジェントル久保田(Tb)、村上基(Tp)。結成当初は「浜野謙太と在日ファンク」名義で活動していたが、2010年6月に1stアルバム「在日ファンク」をリリースしたタイミングで現在のバンド名に改名した。さらに同年10月からサイトウ“JxJx”ジュン、サイプレス上野とロベルト吉野、ROY(THE BAWDIES)らとのコラボシングルを3カ月連続で発表。2011年には2ndアルバム「爆弾こわい」をリリースし、翌2012年1月にはシングル「爆弾こわい -岡村靖幸REMIX-」が発売された。2014年6月には日本コロムビアからメジャーデビューすることを発表。9月にメジャー第1弾作品となる3rdフルアルバム「笑うな」をリリースし、10~11月には全国14都市を回る「笑うな」発売記念ツアーを行う。