ゆず|20周年を経て、次のフェーズへ

アコギにこだわった「保土ヶ谷バイパス」、一発録りの「天国」

──岩沢さんが作詞作曲を手がけた「保土ヶ谷バイパス」は、アコギと歌の表現をじっくり堪能できる楽曲ですね。

岩沢厚治(撮影:太田好治)

岩沢 「保土ヶ谷バイパス」は断片が少し頭の中にあって「謳おう」はアコースティックがテーマだったから、アコギの表現にこだわって、この曲を録ってみようということになった。削ぎ落とせば落とすほど、出ていいアラと出しちゃいけないアラが見えてくるんですよ。そこはすごく気を使いながらレコーディングしましたね。自分の弾き方、ピック、マイキングを含めて、いろいろと試してみて。結局は自分の好みになっちゃうんですけど(笑)、まだまだやりようはあるなって思いましたね。

──「天国」はストレートなメッセージが伝わる曲ですね。

北川 40歳になって歌う、こういう青くさいメッセージもいいのかなと思ったんです。高校生の頃に胸を打たれたメッセージって、20年以上経っても自分の中に真空パックされているんですよね。ジョン・レノンや(忌野)清志郎さんは、叫ぶことをやめなかったじゃないですか。僕はそういう歌に感動してきたし、勝手に受け継ぎたいなと思っていて。いろいろ経験してきたうえで、若い頃に感じていたものにもう1回向き合ってみようと思って書いたのが「天国」なんです。自分の気持ちを解き放つために、この曲は一発録りでレコーディングしたんですよ。「保土ヶ谷バイパス」とは逆で、息づかいもアラも全部出したほうがいいなと。

──年齢を重ねたからこそ伝えられるメッセージがあると。

岩沢 歌いたいことを歌えばいいと思いますけど、あとは言い方ですよね。言うべきことではないこともあるし、どうしても言いたいこともあるし。そのせめぎ合いのなかでずっとやっている感じがありますね、僕は。

20周年を迎えたゆずだからこそできるポップソング

──「4LOVE」はどんなコンセプトで制作されたんですか?

北川 「謳おう」は自分たちのコアな部分だったり、進化したアコギのサウンドを追求したんですけど、それと同時に、J-POPのくくりの中にある自分たちも表現したかったんですね。それこそ10周年以降は「J-POPの中で、自分たちの音楽をどう響かせるか」ということに挑戦してきたし、そこで確立できたところもあったと思っていて。そのことを踏まえて「4LOVE」では、20周年を迎えた僕らだからこそできるポップソングを提示しかったんです。「謳う」とは色合いが違う、カラフルでポップな作品にしたいなと。「愛こそ」は、まさに今の自分たちにとってのポップスだと思ってるので。

──岩沢さんの「日常」もポップスを意識した楽曲なんですか?

岩沢 「4LOVE」は“愛”というテーマもあって。そのテーマで4曲そろえるのはけっこう難しかったんですけど、“愛と日常”のいい対比が生まれたらいいなと思って作ったのが「日常」なんですよ。この曲のメロディは自分の頭の中で何日も歌いながら作ったんです。楽器を持たないで、日々の生活の中でメロディを構築して。「日常」はとりあえず付けたタイトルだったんですけど、それ以外は考えられなくなったんですよ。それくらい身近な曲なんですよね、自分にとっては。

今ね、すごくニュートラルな状態なんですよ

──「謳おう」「4LOVE」ができたことで、“20周年以降のゆずを始められる”と言う実感もありますか?

ゆず

北川 そうですね。まず、この2枚のCDができたことをすごくうれしく思っています。20周年の感謝の気持ちを次の作品につなげられたと言うのかな。ドームツアーでも、弾き語りから始めて。後半はよりポップなエンタテインメント性を表現していたんですけど、「謳おう」と「4LOVE」で、それをさらに進化した形で表現できたと思うんですよね。今ね、すごくニュートラルな状態なんですよ。この2作もそうだけど、無理矢理新しいものを作ろうとしているわけでもなく、やりたいことをやったら新しいものが生まれたと言う感じなので。

岩沢 うん。

北川 秋にはホールツアー(「YUZU HALL TOUR 2017 謳おう」)もあるし、その前に夏フェスもあって。いろんな音楽に触れる機会もずっとあるし、焦ることなく、マイペースにやっていけたらいいなと思ってます。歩みは止まらないけど、急ぐこともないと言う感じかな。

岩沢 ドームツアーが終わったあとって、普通だったら燃え尽きて「休みをくれ!」って言う感じになると思うんですけど、2枚のCDを作ることで自分たちも鼓舞されたところがあって。ファンに対して「次がありますよ」って提示できたと思うし、自分たちも新しく歌える曲が増えたことがシンプルにうれしい。今までの20年を踏まえて、8曲もプラスできたことはすごくよかったなと思います。

──秋のツアーも楽しみです。それにしてもゆずって、本当に休まないですよね。

北川 ちょくちょく休みますけどね(笑)。

岩沢 うまく休んでるんですよ、実は。そのあたりは自分たちでちゃんと管理してるので、大丈夫です(笑)。

ゆず「謳おう」
2017年6月21日発売 / SENHA&Co.
ゆず「謳おう」

[CD]
1404円 / SNCC-89936

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収録曲
  1. カナリア
  2. タッタ
  3. 天国
  4. 保土ヶ谷バイパス
  5. カナリア(Instrumental)
ゆず「4LOVE」
2017年6月28日発売 / SENHA&Co.
ゆず「4LOVE」

[CD]
1404円 / SNCC-89937

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収録曲
  1. 愛こそ
  2. 日常
  3. ビーチ
  4. ロンリーカントリーボーイ
  5. 愛こそ(Instrumental)
  6. 日常(Instrumental)
  7. ビーチ(Instrumental)
  8. ロンリーカントリーボーイ(Instrumental)
ゆず「YUZU 20th Anniversary ALL TIME BEST ALBUM ゆずイロハ1997-2017」
2017年4月26日発売 / SENHA&Co.
ゆず「YUZU 20th Anniversary ALL TIME BEST ALBUM ゆずイロハ1997-2017」

[CD3枚組]
3780円 / SNCC-86931

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DISC 1 イ「いくつもの 日々を越えたよ 20年」
  1. 夏色
  2. 栄光の架橋
  3. 雨のち晴レルヤ
  4. 飛べない鳥
  5. いつか
  6. 表裏一体
  7. からっぽ
  8. アゲイン2
  9. 桜木町
  10. イロトリドリ
  11. 少年
  12. スマイル
  13. 嗚呼、青春の日々
  14. 逢いたい
  15. 見上げてごらん夜の星を ~ぼくらのうた~
  16. イロトリドリ(ゆず×いきものがかり)
DISC 2 ロ「路上から 思えば遠くへ きたもんだ」
  1. サヨナラバス
  2. 贈る詩
  3. LOVE & PEACH
  4. 恋の歌謡日
  5. OLA!!
  6. ヒカレ
  7. 桜会
  8. 春風
  9. 雨と泪
  10. Yesterday and Tomorrow
  11. 月曜日の週末
  12. 3カウント
  13. よろこびのうた
  14. 友達の唄
  15. サヨナラバス(ゆず×back number)
DISC 3 ハ「ハモります いつでもきみは ひとりじゃない」
  1. with you
  2. 終わらない歌
  3. いちご
  4. 友~旅立ちの時~
  5. REASON
  6. 超特急
  7. うまく言えない
  8. かける
  9. Hey和
  10. センチメンタル
  11. シシカバブー
  12. HAMO
  13. 守ってあげたい
  14. ストーリー
  15. またあえる日まで
  16. 悲しみの傘(ゆず×SEKAI NO OWARI)
YUZU HALL TOUR 2017 謳おう
  • 2017年9月21日(木)
    熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール
  • 2017年9月23日(土・祝)
    長崎県 長崎ブリックホール
  • 2017年9月27日(水)
    石川県 金沢歌劇座
  • 2017年9月30日(土)
    北海道 函館市民会館
  • 2017年10月2日(月)
    青森県 青森市文化会館 リンクステーションホール青森
  • 2017年10月10日(火)
    愛媛県 松山市民会館
  • 2017年10月12日(木)
    鳥取県 米子コンベンションセンター BiG SHiP
  • 2017年10月16日(月)
    大阪府 フェスティバルホール
  • 2017年10月17日(火)
    大阪府 フェスティバルホール
  • 2017年10月24日(火)
    愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2017年10月25日(水)
    愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2017年11月7日(火)
    神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール
  • 2017年11月8日(水)
    神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール
  • 2017年11月10日(金)
    神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール
ゆず
北川悠仁と岩沢厚治によるデュオ。当初は横浜・伊勢佐木町で路上ライブを定期的に行っていた。1997年に寺岡呼人をプロデューサーに迎え「ゆずの素」でインディーズデビュー。1998年にリリースしたメジャー1stシングル「夏色」が大ヒットを記録し、以降次々とヒットナンバーを生み出している。2001年には初の東京ドーム公演「ふたりのビッグ(エッグ)ショー」を実施。2005年には日産スタジアムで「YUZU STADIUM 2005 GO HOME」を行う。2007年にはCDデビュー10周年を迎え、記念アルバム「ゆずのね1997-2007」をリリースした。デビュー15周年の2012年には、ベストアルバム「YUZU YOU[2006-2011]」をリリースし、大阪・京セラドーム大阪と東京・東京ドームでライブ「ゆず15周年感謝祭 ドーム公演 YUZU YOU」を大成功に収める。2013年5月発売の11th アルバム「LAND」が「第55回 輝く!日本レコード大賞」最優秀アルバム賞に選出。2016年には、自身初のアジアツアー「YUZU ASIA TOUR 2016 Summer NATSUIRO」を開催し、台湾、香港、シンガポールの3都市で初ライブを実施した。同年11月に東京ドームにてデビュー20周年突入記念弾き語りライブ「ゆずのみ」を開催し、2日間で約10万人を動員する。2017年にデビュー20周年イヤーとして、4月にオールタイムベストアルバム「ゆずイロハ 1997-2017」を発表。初の全国ドームツアー「YUZU 20th Anniversary DOME TOUR 2017 ゆずイロハ」を実施した。6月に5曲入りCD「謳おう」、8曲入りCD「4LOVE」をリリース。