デビュー20周年を記念したドームツアー「YUZU 20th Anniversary DOME TOUR 2017 ゆずイロハ」を終えたばかりのゆずが、6月21日発売の5曲入りCD「謳おう」に続き、6月28日に8曲入りCD「4LOVE」をリリースする。2週連続のCDリリースは、ゆずとして初の試み。アコースティックをコンセプトにした「謳おう」、愛をテーマにしてポップな側面を押し出した「4LOVE」は、20周年以降のゆずを予感させる作品に仕上がっている。
今回音楽ナタリーでは北川悠仁と岩沢厚治にインタビューを実施。ドームツアーの手応え、20周年を迎えた思い、2作のCDの制作、この先のビジョンなどについて語ってもらった。
取材・文 / 森朋之
収穫祭みたいな20周年イヤーに
──まずは20周年のドームツアー「YUZU 20th Anniversary DOME TOUR 2017 ゆずイロハ」について聞かせてください(参照:ゆず、初のドームツアーを福岡で完走「ゆずっこのみんな、ありがとう!」 )。20年のキャリアを振り返りつつ、ゆずの未来も同時に感じられる内容だったと思いますが、お二人にとってはどんなツアーでしたか?
北川悠仁 まず、僕らにとって20周年というのは、とても大きな節目で。「どういう1年にしたいんだろう?」と考えたときに、収穫祭みたいにしたいと思ったんですよね。今までの活動の中で積み上げたものを、ずっと応援してくれたみんなと一緒に味わいたいなと。それと同時に「今の自分たちがやりたいこと、伝えたいことをしっかり表現したい」という気持ちもあった。ドームツアーでは、その両方をやれたんじゃないかと思っています。なのでツアーが終わったあとも充実感でいっぱいですね。
岩沢厚治 お祭りみたいなドームツアーにしたいなと思ってたんですよ。せっかく大きな会場でライブをやれるチャンスをいただいたし、その場所でしかできない特別なことを目指して準備を進めて。懐かしいというだけではなく、ハッとするような仕掛けも取り入れながら、今しかできないライブをやれたと思います。もちろんお客さんに喜んでもらうことを第一に考えていたんですが、歌っているときにみんなの顔を見ると、すごく楽しそうな表情をしてくれていて。何よりでした。
──ゆずのライブには老若男女のオーディエンスが集まるし、20年来のファンもいれば、最近ファンになった人もいて。すべての人を楽しませるのは、すごく高いハードルですよね。
北川 簡単ではないですけど、僕らは常にそれを目指してきましたからね。何回もライブに来てくれてる人も、初めてゆずのライブに来たという人も一緒になって楽しめるというのはいつも意識しています。特に今回はベスト盤が出たあとのツアーだったこともあって、ひさしぶりにライブに来てくれた人だったり、「『夏色』と『栄光の架橋』しか知らなかったけど、ベスト盤を聴いたらよかったから、初めてライブに来た」という方もいて。「みんなひっくるめて楽しませるぞ!」という気合いはいつも以上にありましたね。今回は移動式のステージだったから、お客さんの顔がめっちゃ見えたんですよ。初めてライブに来た人がしっかり“ゆずっこ”になっていく様子が見えたのも、すごくうれしかったですね。「最初は遠慮してたけど、楽しそうにノってるね!」って(笑)。
ほっこりしたゆずと、期待を裏切るゆずのバランス
──演出もすごいスケールでしたね。特に“ゆず太郎”の大きさにはビックリしました。
北川 そうですよね(笑)。「とにかくデカいゆず太郎を登場させたい。しかも、いろんな顔に変わるようにして、いろんなゆず太郎を見せたい」という劇的に無理なお願いをしたんですよ。途中で3回くらい「ムリです」って言われたけど、「がんばって」ってなんとかやってもらいました。あれはデカいよね(笑)。
──「90歳になったゆずがこれまでを振り返る」という映像も楽しかったです。あれもメンバーのアイデアなんですか?
北川 いえ、あれは映像チームのアイデアです。いくつかある案の中の1つに「おじいさんになる」というのがあって。そこに「ラ・ラ・ランド」を盛り込んだんです。「おじいさんになった俺たちが踊り出したら、泣けるんじゃない?」って。
岩沢 そういうときに迷いながらやると、逆にスベっちゃうんですよ。「やるんだったら本格的にジジイにしてくれ」って(笑)。ああいう映像も脈々とやってきてるし、一生懸命にふざけないと。ただ、特殊メイクの時間がかかりすぎましたけどね。
北川 メイクだけで3時間だから(笑)。
岩沢 昔からの知り合いがあの映像を観て「さすがだね! あんなバカなことに時間を使ってくれてありがとう」って言ってたから、やってよかったです(笑)。
北川 やっぱり両方必要なんですよね。ほっこりしているというか、みんなが求めているゆずを提供すると同時に、予想もしなかったことが起きることも大事だなと。今回のドームツアーは、その両方がバランスよく見せられたんじゃないかな。
大事にしているのは「魂を変えず、ツールを変える」ということ
──20年のオールタイムベストと言うべきセットリストも素晴らしかったです。デビュー当初の曲から最近の曲まで、すべて同じ感覚で聴けるのもすごいなと。
北川 うれしいです。
──デビューした頃から、タイムレスな魅力を持った曲を作ろうという意識はありましたか?
北川 デビュー当初は思ってなかったですね。最初の頃は「この曲を世に残そう」ということよりも、そのときに思っていたことを曲にしたり、ライブで盛り上がることを意識していたんじゃないかな。もっと目の前のことを考えていたと言うか……でも自分たちの歌を聴いてくれる人が増えて、その喜びを知るにつれて「待ってくれてる子たちにどんな音楽を届けようか?」「まだ自分たちの曲を知らない人に、どうやって聴いてもらったらいいだろう?」ということを考えるようになったんですよね。それは今も続いているんですけど、大事にしているのは「魂を変えず、ツールを変える」ということで。
──根本の部分をしっかり守りながら、作り方、伝え方を変化させていくということですか?
北川 そうですね。路上ライブの時代から言葉とメロディを大事にしてきたし、そのスタイルはずっと変わってないんですけど、サウンドや届け方については、その時代によって響くものがあるし、そこは変わっていったほうがいいと思うんです。この20年で、いろいろ変わってきたじゃないですか。CDから配信、ストリーミングサービスになって、その中で模索しながら、どういう届け方がいいのかを考えていかないとなと。
岩沢 ありがたいなって思うのは、聴いてくれるみんなの中に曲が根付いていることなんですよね。東京ドームのライブだったら、同じ曲でも5万通りの響き方があると思うんです。それぞれの人生の中で曲が生きているというか、イントロが始まった瞬間に「ああ、そうだ! この曲を聴いてた頃、あの子にフラれたんだ!」とか(笑)、その人の中の思い出と重なってるんだろうなと。僕たちがやらなくちゃいけないのは、当時と同じようにと言うか、できればもっといい形で歌うことかなと思っているんです。だからドームツアーでも「この曲、皆さんはどんなふうに聴いてますか?」って問いかけるような気持ちで歌っていましたね。
──あくまでも聴いてる人のために歌うと言うか。
北川 そればかりでも面白くないんですけどね(笑)。もちろんお客さんのためでもあるんだけど、まずは自分たちがいいと思っているかどうか、楽しめるかどうかが大事なので。そういう自分たちの気持ちをお客さんにパスしないと、つまらないものになる気はしています。そのためにはいい意味で裏切ることも必要だと思うんですよ。周りの「こうであってほしい」というイメージもあるし、それに縛られることもあるんだけど、そのときに自分たちが「これが面白い」と思うことをやっていかないと。そのプロセスは大変だし、ときには「ゆずはそうじゃない」と言われることもあったけど、そういう曲も聴いてくれる人たちの中にしっかり根付いていく。そうやって積み上げて来た20年だと思いますね。
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順調そうに見えてかなりキツかった10年前
- ゆず「謳おう」
- 2017年6月21日発売 / SENHA&Co.
-
[CD]
1404円 / SNCC-89936
- 収録曲
-
- カナリア
- タッタ
- 天国
- 保土ヶ谷バイパス
- カナリア(Instrumental)
- ゆず「4LOVE」
- 2017年6月28日発売 / SENHA&Co.
-
[CD]
1404円 / SNCC-89937
- 収録曲
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- 愛こそ
- 日常
- ビーチ
- ロンリーカントリーボーイ
- 愛こそ(Instrumental)
- 日常(Instrumental)
- ビーチ(Instrumental)
- ロンリーカントリーボーイ(Instrumental)
- ゆず「YUZU 20th Anniversary ALL TIME BEST ALBUM ゆずイロハ1997-2017」
- 2017年4月26日発売 / SENHA&Co.
-
[CD3枚組]
3780円 / SNCC-86931
- DISC 1 イ「いくつもの 日々を越えたよ 20年」
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- 夏色
- 栄光の架橋
- 雨のち晴レルヤ
- 虹
- 飛べない鳥
- いつか
- 表裏一体
- からっぽ
- アゲイン2
- 桜木町
- イロトリドリ
- 少年
- スマイル
- 嗚呼、青春の日々
- 逢いたい
- 見上げてごらん夜の星を ~ぼくらのうた~
- イロトリドリ(ゆず×いきものがかり)
- DISC 2 ロ「路上から 思えば遠くへ きたもんだ」
-
- サヨナラバス
- 贈る詩
- LOVE & PEACH
- 恋の歌謡日
- OLA!!
- ヒカレ
- 桜会
- 春風
- 青
- 雨と泪
- Yesterday and Tomorrow
- 翔
- 月曜日の週末
- 3カウント
- よろこびのうた
- 友達の唄
- サヨナラバス(ゆず×back number)
- DISC 3 ハ「ハモります いつでもきみは ひとりじゃない」
-
- with you
- 終わらない歌
- いちご
- 友~旅立ちの時~
- REASON
- 超特急
- うまく言えない
- かける
- Hey和
- センチメンタル
- シシカバブー
- HAMO
- 守ってあげたい
- ストーリー
- またあえる日まで
- 悲しみの傘(ゆず×SEKAI NO OWARI)
- YUZU HALL TOUR 2017 謳おう
-
- 2017年9月21日(木)
熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール - 2017年9月23日(土・祝)
長崎県 長崎ブリックホール - 2017年9月27日(水)
石川県 金沢歌劇座 - 2017年9月30日(土)
北海道 函館市民会館 - 2017年10月2日(月)
青森県 青森市文化会館 リンクステーションホール青森 - 2017年10月10日(火)
愛媛県 松山市民会館 - 2017年10月12日(木)
鳥取県 米子コンベンションセンター BiG SHiP - 2017年10月16日(月)
大阪府 フェスティバルホール - 2017年10月17日(火)
大阪府 フェスティバルホール - 2017年10月24日(火)
愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール - 2017年10月25日(水)
愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール - 2017年11月7日(火)
神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール - 2017年11月8日(水)
神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール - 2017年11月10日(金)
神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール
- 2017年9月21日(木)
- ゆず
- 北川悠仁と岩沢厚治によるデュオ。当初は横浜・伊勢佐木町で路上ライブを定期的に行っていた。1997年に寺岡呼人をプロデューサーに迎え「ゆずの素」でインディーズデビュー。1998年にリリースしたメジャー1stシングル「夏色」が大ヒットを記録し、以降次々とヒットナンバーを生み出している。2001年には初の東京ドーム公演「ふたりのビッグ(エッグ)ショー」を実施。2005年には日産スタジアムで「YUZU STADIUM 2005 GO HOME」を行う。2007年にはCDデビュー10周年を迎え、記念アルバム「ゆずのね1997-2007」をリリースした。デビュー15周年の2012年には、ベストアルバム「YUZU YOU[2006-2011]」をリリースし、大阪・京セラドーム大阪と東京・東京ドームでライブ「ゆず15周年感謝祭 ドーム公演 YUZU YOU」を大成功に収める。2013年5月発売の11th アルバム「LAND」が「第55回 輝く!日本レコード大賞」最優秀アルバム賞に選出。2016年には、自身初のアジアツアー「YUZU ASIA TOUR 2016 Summer NATSUIRO」を開催し、台湾、香港、シンガポールの3都市で初ライブを実施した。同年11月に東京ドームにてデビュー20周年突入記念弾き語りライブ「ゆずのみ」を開催し、2日間で約10万人を動員する。2017年にデビュー20周年イヤーとして、4月にオールタイムベストアルバム「ゆずイロハ 1997-2017」を発表。初の全国ドームツアー「YUZU 20th Anniversary DOME TOUR 2017 ゆずイロハ」を実施した。6月に5曲入りCD「謳おう」、8曲入りCD「4LOVE」をリリース。