ナタリー PowerPush - ゆゆ式

アニメ「ゆゆ式」キャラソンアルバム発売記念 声優メールインタビュー&楽曲関係者11人座談会

「歌われてみた」ことでその後のストーリーを描く

──この質問ってみきとPさんにもしたかったんですよ。ご自身の楽曲を「歌ってみた」というか……。

YM

みきとP 「歌われてみた」というか(笑)。

──ですね(笑)。「いーあるふぁんくらぶ」を声優さんに「歌われてみた」ご感想は? これまでにも「歌ってみた」動画や同人CD、メジャー流通のCDでもすごい勢いでカバーされている曲ではありますけど。

みきとP だから今さら「オレの楽曲のイメージが!」みたいな意識はなくて(笑)。もう皆さんの「いーあるふぁんくらぶ」なんだろうなって思ってます。ただ今回はおかちー(岡野佳)と相川というキャラクターがカラオケボックスで歌っているって設定になっているんですけど、それがいいなとは思っていて。アニメの放送は終わっちゃったんですけど、次の話っぽいというか。聴いていると、今もおかちーと相川は楽しくやってるっていう気になれるんで。アニメファンの人はけっこううれしいんじゃないかな、とは思いました。

UTO 声優さんってボーカロイドシーンにけっこう詳しいんですよ。ある席で「ゆゆ式」の声優さんたちとご一緒したときも、僕が着ていた__(アンダーバー)さんワンマンライブのスタッフTシャツに反応したりしてましたし。その彼女たちが演じている女子高生になるともっと詳しかったりもする。だからボーカロイドシーンで最も有名って言ってもおかしくない「いーあるふぁんくらぶ」を声優さんが歌うことって違和感がないんですよね。しかも、みきとさんが言っていた通り、できあがりもすごくよくて。歌ってみていただいてホントよかったな、って感じなんですよね。

ふわりP、DJ UTOミックスに救われる

──そのUTOさんがボーナストラックとして提供した「せーのっ!」のリミックスですけど……。

DJ UTO

UTO またも原曲ブレーカーぶりを見せつけてしまいました(笑)。というのも、原曲をもとに第3の曲を作ることがリミックスだと思っているので。それこそコード進行も変えてしまう。たぶん、今回の僕のリミックスってイントロを聴いただけでは絶対に「せーのっ!」だとはわからないと思うんですよね。でもダンスミュージックって必ずしもキチンとした和音を鳴らすことが正解ではないと思うんです。ちょっと不協和音で苦しめて和音になったときの爽快感を倍増させることもしますし、「ここでこう来るか!」ってその展開で面白がらせてみたり。ずっと「せーのっ!」っていうフレーズを繰り返して電波曲っぽいテイストも見せてみたり、僕なりにいろいろ挑戦してみたトラックなんですよね。今までのリミックスの中で一番気合いを入れたというか。その結果「すごくいいものができた」「リミックスっぽいリミックス」ができたとは思ってます。何度も聴き直して調整しました。

──それを聴いたふわりさんは?

ふわりP いや、素晴らしかったですよね。アニメのために楽曲を置いてきた感覚が強いってお話をさせていただいたんですけど、リミックスをUTOさんにやってもらったことで、改めて僕の曲そのものにフォーカスを当ててもらったっていう意識があって。

──あっ、そうか。UTOさんは「ゆゆ式」のテーマソングという文脈を離れて「せーのっ!」という楽曲自体をどう料理するか、って話をしているわけですもんね。

ふわりP そうなんですよ! だから「ふわりPという人物が『せーのっ!』をつくりましたよ」ということを改めて言ってもらえた感じがしたんです。すごくうれしかったです。そして、そういうリミックスをしてくれた人が今、僕の真正面にいるというね。かなり照れちゃいますね、これ(笑)。

もしも情報処理部がアイドルユニットを組んだなら

──一方「ミラクルファンシー」をミックスしたRyu☆さんのリミックス観って?

Ryu☆ 自分の中でのキャラソンの捉え方っていうのはエクステンド。作品の世界観やキャラクターの人物像を音楽の力を使ってちょい広げよう、っていうものだと思ってるんですね。そのキャラクターソングのリミックスなのであれば、さらにその人物像をエクステンドさせてみよう、と。

──その結果、ちょっとフレンチエレクトロっぽいというか、ピコピコ系のエレクトロに?

Ryu☆ 原曲を歌っているキャラクター3人は情報処理部に所属していて、楽曲の名義も情報処理部になってるんだから、ここはピコらせよう、と。しかも楽曲もキャラクターも非常にかわいい上に、情報処理部っていうユニットのキャラ立ちもいい。もうこうなったら情報処理部の3人にはテクノアイドルになっていただくしかないな、と。さっきみきとPさんが言っていた「放送が終わった今も、2人がカラオケボックスで遊んでいるようでよかった」というエクステンド感と似たようなノリ。アイドルデビューするっていうアナザーストーリーがあってもいいのかな、3人をクラブに遊びに行かせてみてもいいのかな、っていう気分で作ってみたトラックなんですよ。

──ところで皆さん、ほかのクリエイターさんのトラックを聴いた感想は?

164 実はまだ聴いてないんですよ。

一同 うん(笑)。

UTO 今まさにCDをプレスしている最中なので。そろそろ見本盤をお渡しできるかな、って感じなんです。最後の最後まで詰め込んだ結果遅くなってしまいました(笑)。

──あっ、そうなんですか。いち早く聴いた感想なんですけど、すごくよかったですよ。どの方が書いた曲もかわいくて。すごくスムーズに聴ける1枚になってます。

UTO 自分でプロデュースしておきながら他人事みたいなことを言いますけど、とてもいいんですよね、このアルバム(笑)。是非みなさんに聴いていただきたいです!

キャラクターソングアルバム「いちげんめ!」 / 2013年7月17日発売 / EXIT TUNES
初回限定盤[CD+DVD] 2500円 / QWCE-00287
通常盤[CD] / 2000円 / QWCE-00294
「ゆゆ式」

高校で情報処理部に所属する野々原ゆずこ(CV:大久保瑠美)、櫟井唯(CV:津田美波)、日向縁(CV:種田梨沙)の女子3人の日常を描いたアニメ。インターネットを使って気になることを調べ、出てきた情報をもとに3人がトークを繰り広げる。アニメーションを制作するのは「東京マグニチュード8.0」のキネマシトラス。監督は「CODE:BREAKER」のかおり、キャラクターデザインは「コードギアス 反逆のルルーシュ」の田畑壽之、シリーズ構成は「もやしもん」の高橋ナツコが務める。