ナタリー PowerPush - アニメ「ゆゆ式」楽曲関係者 総勢10名による大座談会
ふわりP、164、add9(ヘリP)、亜沙、DJ UTO、Ryu☆、Starving Trancer、Mayumi Morinaga、mitsu
新しい音楽への入り口としてのリミックス
──そして「セツナイロ」のUTOさんリミックスですが……。
moimoi ねえ(笑)。
UTO 僕は原曲ブレーカーですから(笑)。
──まさに(笑)。164さんのトラックの心配をしている場合じゃないだろう、っていうくらいファッキンハーコーなトランスにリミックスしています。
UTO なんて言うんですかね。こういうアニメソングを通じていろんなジャンルの音楽を聴いてもらいたい、っていう気持ちがあって。今って音があふれている時代だと思うんですけど、でも逆にあふれすぎちゃって、みんな知らない音も多いんじゃないか、って思うんですよ。
──自分の好きなジャンルの音楽ですらあふれちゃってる状態だから、ほかのジャンルを掘ってるヒマなんてなくなっちゃってるのかもしれませんね。
UTO だから「こういうスタイルの音楽もあるんだよ」っていうあたりも聴いてほしいなっていう思いはありますね。
オリコンの規程の限界にチャレンジ
──今回のシングルってそのDJカルチャー、リミックスカルチャーに対するこだわりがモロに出てますよね。リミックスバージョンの数もそうだし、原曲をボカロに歌わせたバージョンも入っていれば、インストバージョン、アカペラバージョンまで入っている。しかも18曲入りです(笑)。
UTO オリコンの規程でオリジナル曲を最大4曲まで収録している盤を「シングル」って呼ぶらしいんですよ。
──オリジナル曲が5曲入っているとアルバム扱いになる、と。
UTO らしいんですね。でもリミックスとかリアレンジとかリファインとかは楽曲数にカウントしないらしいので、だったら……。
ふわりP フル活用してみました、と(笑)。
UTO 僕自身は曲数をウリにするつもりはそんなになかったんですけど、イベントなんかで声優さんが「18曲も入ってるんですよ!」って盛り上がってくださって(笑)
ふわりP 僕もあまりに感激して収録曲のリストをもらった瞬間、メールを立ち上げましたからね。オリジナル曲が3曲あって、そのボカロバージョンがあって、それぞれのリミックス、リアレンジバージョンが2曲ずつあって、インストとアカペラが3曲ある。この構成だけ見ると確かにやりたいことはわかるんだけど、普通の人はこんなこと実際にはやらない(笑)。それをやってしまうファンキーさにやられて、UTOさんに「なんじゃこれ!」ってメッセージを送ってみましたから。
164 そう? 僕は「この人は絶対そういうことをやっちゃう人だよな」と思ったというか、なんの不思議もなかった(笑)。
ヘリP いつものことですから(笑)。
デッドボールP うん。特に何も思わなかったというか「まあこんなもんか」と思った。むしろアカペラを入れたのにはビックリして。「ジョジョ(の奇妙な冒険)」じゃないけど「オレたちにできないことを平然とやってのけるッ! そこにシビれる! あこがれるゥ!」というか(笑)。
ふわりP 確かにアカペラは熱いですよね。
moimoi 歌ってる身としては、なんか丸裸にされた気分なんですけどね(笑)。
──そうですか? 情報処理部のアカペラトラックは「かわいいなあ」って感じだったし、Morinagaさんのは「この人、歌うまいな」って再確認できて面白かったですよ。
亜沙 確かに「やっぱモイモイさんうまいなあ」って感じですよね。で、さっきのリミックスカルチャーの話に戻すと、この声ネタを使ってマッシュアップなんかを皆さんが作ってみても面白いと思う。
18曲入っている意味と盤で買う意味
UTO あとこのCDってアカペラバージョンとインストバージョンを使ってリマスタリングもできるんですよ。
亜沙 そういえばそうだ。「リマスタリングを務めたのはリスナーの○○さん」って感じで(笑)。でもホントに最低でも18通りの楽しみ方はできるシングルなんですよね、これ。
Ryu☆ うん。自由に聴いてもらいたいし、自由に遊べるんだよね。DTMができる方はドシドシいろんなことをやってみてください。リミックスのサンプルはいっぱい並んでますので(笑)。
164 しかも盤そのものを楽しんでいただくこともできるはずですから。僕自身、普段楽曲提供をしたり、ボカロ曲のコンピCDに参加したりするときって、やっぱり自分の個性を主張しようとするんですよ。自分の名前を覚えてもらえるように曲を作るんですけど、さっきもお話した通り、今回は盤のバランスを考えてリミックスしてみたので。それはたぶんリミキサー陣みんな同じことだと思うから、自分のトラックに限らず全体を通して聴いてもらいたいですね。
ふわりP やっぱり18曲並んだ盤になってるっていうことが重要なんで。
164 もう僕の言葉をパクる?(笑)
ふわりP パクるパクる。隣にいてよく聞こえたから(笑)。音楽って耳で聴くだけで、そこに実体はないわけじゃないですか。でもCDやレコードを通じてなら我々はその音楽に実際に触れることができる。で、そこにモノがあって、それに触れたという体験は、その盤に収録された音楽を聴いていた頃の記憶っていうのもより鮮明に残すんじゃないかと思うんです。だから今「ゆゆ式」を観ながら、この18曲を楽しんでもらいたいのはもちろんなんですけど、これから何年か経ったときに、ふとこのCDを見つけて、また「ゆゆ式」のことや我々のことや、その頃のみなさんのことを思い出していただけたらいいなっていう気持ちはありますね。「ああ、シングルCDに18曲も収録していた連中がいたな」「あの頃、オレはこんなことしてたな」「こんなこと考えてたな」って感じで。
──配信で買ってもらってももちろんうれしいんだけど……。
ふわりP 今ここに実際に物質があるっていう意味って実は大きいんですよ。
- 情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙)/ Mayumi Morinaga「せーのっ! feat. ふわりP (TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ) / Affection feat. Another Infinity」2013年4月17日発売 / EXIT TUNES
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1300円 / QWCE-00274
- 通常盤 [CD] 1000円 / QWCE-00275
CD収録曲
- せーのっ! feat. ふわりP(TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ) / 情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙)
- Affection feat. Another Infinity(TVアニメ「ゆゆ式」エンディングテーマ) / Mayumi Morinaga
- セツナイロ feat. Another Infinity(TVアニメ「ゆゆ式」イメージソング) / 情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙)
ボーナストラック
- せーのっ!(ふわりP feat.MAYU)
- Affection(164 feat.MAYU)
- セツナイロ(azuma feat.MAYU)
- せーのっ!(164 Arrange)
- せーのっ!(デッドボールP Arrange)
- Affection(亜沙 Arrange)
- Affection(add9(ヘリP)Arrange)
- セツナイロ(DJ UTO Remix)
- セツナイロ(Ryu☆ Remix)
- せーのっ!(オリジナルカラオケ)
- Affection(オリジナルカラオケ)
- セツナイロ(オリジナルカラオケ)
- せーのっ!(アカペラ)
- Affection(アカペラ)
- セツナイロ(アカペラ)
初回限定盤DVD
- せーのっ!(TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ)PV映像
- せーのっ!(TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ)CM映像
- 情報処理部 (大久保瑠美、津田美波、種田梨沙) 特典映像 座談会
「ゆゆ式」
高校で情報処理部に所属する野々原ゆずこ(CV:大久保瑠美)、櫟井唯(CV:津田美波)、日向縁(CV:種田梨沙)の女子3人の日常を描いたアニメ。インターネットを使って気になることを調べ、出てきた情報をもとに3人がトークを繰り広げる。アニメーションを制作するのは「東京マグニチュード8.0」のキネマシトラス。監督は「CODE:BREAKER」のかおり、キャラクターデザインは「コードギアス 反逆のルルーシュ」の田畑壽之、シリーズ構成は「もやしもん」の高橋ナツコが務める。