ナタリー PowerPush - アニメ「ゆゆ式」楽曲関係者 総勢10名による大座談会
ふわりP、164、add9(ヘリP)、亜沙、DJ UTO、Ryu☆、Starving Trancer、Mayumi Morinaga、mitsu
作詞の原動力は下心と尊敬
──mitsuさんの書いた「Affection」の詞や、ヒロイン3人の担当声優さんのユニット・情報処理部の歌う「セツナイロ」の詞にはその作品に対する思いってどのくらい反映されています?
mitsu かなりされてますね。特にあのキャラクターたちに対する下心と尊敬が(笑)。まず「かわいいなあ」っていう感情が先にくるんですけど、でも会話の内容には尊敬できるものがある。だから同じように言葉を扱う人間としてそこは負けたくない!っていう気持ちもあるし、Another Infinityさんのカッコいい音にも負けちゃいけないし。女の子たちの高校生活のイメージは崩さず、でもカッコよさも追求しつつ、しかも自分のキャラクターも出せれば、っていうことはすごく考えました。
──その3本柱を同時に意識しながらの作詞ってスムーズでした?
mitsu 「Affection」はものすごく難しかったです。山あり谷あり、谷あり谷ありで(笑)。
UTO 読みが違ったりするんですよね。mitsuくんが「『ゆゆ式』とはこういう作品だろう」という解釈のもと詞を書いて提出すると「これはちょっと違いますね」って言われたりして。なぜそういうことが起きるかっていうと、テレビアニメのスタッフは当然全員「ゆゆ式」のことが好きなんだけど、その人数は数百人になるわけじゃないですか。そうなるとそれぞれの解釈が微妙に異なるんですよね。テーマソングを担当する身としてはその解釈の最大公約数を探らなきゃいけない苦労があって。しかも探りすぎると今度はmitsuくんの個性がなくなってしまうという。
mitsu だから「Affection」は大変でした……。
「アタシ、こんな気持ちになったことがある!」
──「『Affection』は」ということは「セツナイロ」は?
mitsu これが「すんなりいったもんでして」って感じだったんですよ(笑)。
──ボーカリストこそ違えどトラックメーカーは一緒なのに何が違ったんでしょう?
mitsu もともと書きためていた詞の原型みたいなものがあって。実はまだ作詞の仕事をいただく前に「ゆゆ式」の原作は読んでいて。そのときに「アタシ、こんな気持ちになったことがある!」みたいな気分になりまして……。
ふわりP 「アタシ」言うてもうたで(笑)。
UTO 乙女よりも乙女心のわかる男ですからね(笑)。
mitsu で、その気持ちを詞として書き留めておいたんですけど、それがAnother Infinityさんからいただいた「セツナイロ」の曲にぴったりハマったんです。
Ryu☆ しかもさっき言っていたmitsuくんの個性も出てますしね。言葉選びがホントに面白くて。サビに「曖昧な色で 塗りたくろうよ」っていうフレーズがあるんですけど「塗りたくる」って言葉は普段使わないじゃないですか。
──「セツナイロ」は「ゆゆ式」のヒロイン3人である情報処理部名義、つまり女子高生の歌う曲だからなおのことインパクトがありますよね。
Ryu☆ それがすごく特徴的なんですよ。フックっていうんですか。あそこで「おおっ!」ってなる。
ファッキンハーコーではないAnother Infinityの世界
──「Affection」を歌ったMorinagaさんから見たmitsuさんの詞って?
moimoi 歌いながら感動できるっていうんですかねえ。
Ryu☆ そんなに持ち上げますかっ!?
──さっきまで自分もホメてたくせに(笑)。
Ryu☆ そうだ、オレ、mitsuくんホメたんだった!
moimoi で、ですね、私はこのCDを聴く方にmitsuさんの言葉を伝える側ではあるんですけど、自分も聴いている方と一緒に感動できちゃうというか。最後に「ありふれた言葉だけど」「ありがとう」っていう詞があるんですけど、その通りで「ありがとう」ってものすごく簡単な言葉なんだけど、そこまでのストーリーがあるから、その「ありがとう」が本当に大きくてキラキラした「ありがとう」に感じられたりして。すごく素敵だなあと思ってます。
mitsu ありがとうございます!
moimoi ただ「セツナイロ」も「Affection」もそうなんですけど、曲を繰り返し聴いているうちに「あれっ!? これ、今までのAnother Infinityさんにはあんまりないタイプだな」っていう気になりまして。ちょっとノスタルジーを覚える曲だったので、歌詞を読みつつ、「ゆゆ式」のストーリーを読みつつ、ちょっと高校時代の自分を演じてみる感じで歌ってみました。
──確かにどちらも普段の「Another Infinityの楽曲」のイメージとはちょっと毛色が違いますよね。
UTO ガッツンガッツンのファッキンハーコーじゃないですよね(笑)。
Ryu☆ 日常系アニメのエンディングでそれやっちゃったら絶対怒られますよ!
──ですね(笑)。で、そのハードコアでもないし、もう1つの顔であるクールでトランシーなAnother Infinityでもない。もっとアコースティックというか、リラックスできる楽曲に仕上げてます。
Ryu☆ ええ。「ゆゆ式」がゆったりとした作品だったので、楽曲のテイストもそっちに持っていきたいっていうのはありましたね。僕ら自身、確かにゲームの「beatmania」シリーズのトラックメーカーっていうイメージが強いとは思うんですけど、実はBPM100から200まで、バラードからそのファッキンハーコーなものまで作れるし、これまでMorinagaさんともゆったりめのバラードを一緒に作ったりしていたので。だから実はそんなに苦労っていうのはなくて。今回は僕が曲を書いて、アレンジはSTさんにお願いしたんですけど、ホントにうまくアレンジしてくれたって感じでした。というわけでSTさんからご意見があると思います(笑)。
ST 一応カンペを用意してきたので、これを読みますと……。
moimoi なぜだ(笑)。
ST 「僕はこの世界を観ていて、キラキラ、それこそ一瞬の輝きのようなものを感じました。その一瞬一瞬、1コマ1コマこそがかけがえのないものなんだ、という気持ちを込めて曲を作ってみました」。はい。
──なるほど(笑)。その女子高生ならではのキラキラ感をアーカイブした結果、新境地とまではいかないまでも……。
Ryu☆ 新しいイメージを抱いてもらえるような曲ができあがったって感じですね。実はAnother Infinityっていろんなことができるんです(笑)。
- 情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙)/ Mayumi Morinaga「せーのっ! feat. ふわりP (TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ) / Affection feat. Another Infinity」2013年4月17日発売 / EXIT TUNES
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1300円 / QWCE-00274
- 通常盤 [CD] 1000円 / QWCE-00275
CD収録曲
- せーのっ! feat. ふわりP(TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ) / 情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙)
- Affection feat. Another Infinity(TVアニメ「ゆゆ式」エンディングテーマ) / Mayumi Morinaga
- セツナイロ feat. Another Infinity(TVアニメ「ゆゆ式」イメージソング) / 情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙)
ボーナストラック
- せーのっ!(ふわりP feat.MAYU)
- Affection(164 feat.MAYU)
- セツナイロ(azuma feat.MAYU)
- せーのっ!(164 Arrange)
- せーのっ!(デッドボールP Arrange)
- Affection(亜沙 Arrange)
- Affection(add9(ヘリP)Arrange)
- セツナイロ(DJ UTO Remix)
- セツナイロ(Ryu☆ Remix)
- せーのっ!(オリジナルカラオケ)
- Affection(オリジナルカラオケ)
- セツナイロ(オリジナルカラオケ)
- せーのっ!(アカペラ)
- Affection(アカペラ)
- セツナイロ(アカペラ)
初回限定盤DVD
- せーのっ!(TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ)PV映像
- せーのっ!(TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ)CM映像
- 情報処理部 (大久保瑠美、津田美波、種田梨沙) 特典映像 座談会
「ゆゆ式」
高校で情報処理部に所属する野々原ゆずこ(CV:大久保瑠美)、櫟井唯(CV:津田美波)、日向縁(CV:種田梨沙)の女子3人の日常を描いたアニメ。インターネットを使って気になることを調べ、出てきた情報をもとに3人がトークを繰り広げる。アニメーションを制作するのは「東京マグニチュード8.0」のキネマシトラス。監督は「CODE:BREAKER」のかおり、キャラクターデザインは「コードギアス 反逆のルルーシュ」の田畑壽之、シリーズ構成は「もやしもん」の高橋ナツコが務める。