動画より音楽に力を入れたい
──アルバム終盤はJ-POPパロディ曲からのメロコア2連発でスパッと終わるので、読後感と言うか後味がすごくさわやかで。聴き終えた瞬間は、「“楽しかった”という感情以外に何も残らないアルバムだな」という感想を持ちました。
小柳 ああ、それはうれしいですね。
──何も残らないからこその強度があるなと感じたんですけど、実際のところ「聴き手の中に何かを残してたまるか」みたいな思いはあったりするんですか?
小柳 「コミックバンドが聴き手に何かを考えさせてもね」みたいな思いはあります。
千葉 うんうん。
ともやん 確かにそれはある。
──それがコミックバンドとしてのプライドであると。
小柳 プライドって言うとカッコよくなっちゃうけど(笑)、まあそういうことですかね。
──作るアルバムがこれだけ充実していて、動画クリエイターとしての活動も順調ですよね。そんな皆さんにあえて聞きますけど、現状に何か不満はありますか?
にっち 昨今の社会情勢ですね。ライブが全然できてないんで。
小柳 マジでそれです。ライブができないから、バンドとしての活動が成立してないんですよ。だから現状の立ち位置に不満を持てるところまで行き着けてすらいないというか。
──確かに、皆さんはフリップを使ったネタを用意したり、扮装したりすることもあって、お客さんの前に立たないと始まらないバンドですしね。
ともやん そこが普通の歌ものバンドとはちょっと軸が違うところで。
──そのせいで、どんどん動画クリエイターとしての側面に寄っていっている部分もある?
小柳 そうですね。
ともやん 正直、それも不本意なんですよ。
千葉 動画よりは音楽に力を入れたいんで。今回のアルバムはすごく曲そのものを突き詰めて作れたし、そこをもっと追求していけたらなと。
──やはり“音楽もやる動画クリエイター”ではなく、“YouTubeもやるバンドマン”でありたいと。
小柳 それは最初からずっとそうですね。ただ、人がどう捉えるかは別にどっちでもよくて。知ってもらうことのほうが大事だと思ってるんで、そのプロセスはどうでもいい。最終的にライブさえ観てもらえれば……って、そのライブができないんだよなあ(笑)。早くコロナ禍が終わってほしいです。全バンドが……いや世界中の人が同じ思いでしょうけど。
「コミックバンドといえば」で名前が挙がる存在に
──この先は、バンドとしてどういうところを目指していくんですか? どうなったらこのバンドは“成功”と言えるんでしょうか。
小柳 「コミックバンドと言えば」に名前が挙がることですかね。
──「クレイジーキャッツ、ザ・ドリフターズ、夕闇」みたいな?
小柳 それはちょっとレジェンドすぎますけど(笑)。
──でも、「と言えば」ってそういうことですよ。
小柳 まあ、そうなんですけど。まずは現代におけるコミックバンドの象徴的な存在を目指したいですね。
にっち 「ヤバイTシャツ屋さん、キュウソネコカミ、夕闇」くらいで。
小柳 ほかにも四星球とかいろいろいるけど、“コミックバンド四天王”くらいに入りたいです。もしあるならば。
──ライブの規模的にはどうですか?
小柳 それで言うと、Zeppツアーはやりたいです。でかいところ一発もいいんですけど、常に地方の会場を埋められるようになったらいいなと。各地にファンが一定数いるみたいな状況にしたいんですよね。
──コミックバンドならではの夢の舞台はありますか? 例えばですけど、「なんばグランド花月でやりたい」とか。
小柳 あー……でも俺マジでお笑いが好きなんで、それを望むのは逆に失礼かなっていう。
にっち 聖地だからね。
小柳 うん、畏れ多い。実際、お笑いの劇場でライブをするみたいなことを一瞬考えたこともあるんですよ。ただ、やっぱり好きすぎるんで……。
にっち 遊園地みたいなところでやれたら面白いんじゃない? さがみ湖ピクニックランドとか。今は「プレジャーフォレスト」って言うんだっけ。
小柳 それを言うなら、俺はよみうりランドでやってみたい。
千葉 僕は地元の大きいところでやりたいですね。幕張メッセとかZOZOマリンスタジアムとか。
──じゃあ、まずは「SUMMER SONIC」ですかね。
小柳 まあ、普通に日本武道館とかでワンマンがやれたらいいなとは思いますけど。
ともやん ちゃんと満員でやれる状況でね。
小柳 そうそう、入場者制限とかなしで。
ライブ情報
- 「夕闇に誘いし漆黒の天使達 ワンマンライブ 2021 -NIMAIME-」
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- 2021年6月13日(日) 東京都 USEN STUDIO COAST [1st]OPEN 13:00 / START 14:00 [2nd]OPEN 17:00 / START 18:00