ナタリー PowerPush - Yun*chi
アニメ制作現場に潜入!憧れの加藤英美里と初対面
キャラクターを維持してキャラソンを歌う難しさ
──加藤さんは声優業に加え、歌のお仕事もされていますよね。そういった立場からシンガーという職業に対してはどんな感情を抱いていますか?
加藤 私も歌を歌わせてもらうことはありますけど、全然上手ではないんです。なのでYun*chiさんのように歌で感情をしっかり表現できる方は本当にすごいなって思いますね。尊敬です。セリフとして感情を乗せるのと、歌として感情を乗せるのって、感覚的にまったく違うものだと思うから。
──役柄を演じながら歌うキャラクターソングだと、またさらに違った感覚が求められそうですよね。
加藤 そうですね。キャラクターソングの場合は、キャラの個性を出して歌うという部分で声優職に近いんです。音程を気にするというよりは、キャラとして、ノリで楽しくっていう気持ちを前面に出すというか。それならまだなんとかできるんですけど、ストレートに歌として感情を乗せるのはやっぱりなかなか難しくって。
Yun*chi でも、キャラクターを維持して歌うのも難しいことですよね。実は私、デビュー前に声優さんのキャラクターソングの仮歌を歌わせてもらったことがあるんですよ。そのときに、キャラクターをイメージして歌ってるつもりだったんだけど、いつの間にか自分の声になってしまっているっていう経験をしたんです。だから、どうしてキャラクターのままでずっと歌うことができるんだろうなって不思議に思ってたんですよね。
加藤 ああ、確かにキャラ声を維持する難しさはありますね。そこはキャラクターをどれだけイメージして歌えるかっていうことのような気がします。キャラクターソングを歌う方の多くは、レコーディングのときに譜面とか歌詞と一緒にキャラクターの絵を置いてますからね。そうやって意識していると、自然とその声のまま歌えるんじゃないかな。
Yun*chi そっか。カラオケでキャラソン歌うときも一生懸命キャラになりきってるつもりなんですけど、どうしても途中で戻っちゃうんですよね。今度からはもっとがんばってキャラをイメージするようにしてみます(笑)。
口に出していたら、いつか絶対実現すると思いますよ
──非常に個性的な声を持っているYun*chiさんは声優にチャレンジしてみてもいいんじゃないかなと思うんです。プロの方から見て、どうですか?
Yun*chi なんてこと言うんですか! そんなおこがましいですから。
加藤 あははは(笑)。でもね、感情を乗せるという部分では声優も歌も同じだと思うので、全然やってみたらできちゃうんじゃないかなって思いますよ。マスコットキャラクターとかやってほしいです。ピッタリ合いそうな気がするんですよね。
Yun*chi いやいや、キュゥべえという国民的マスコットキャラクターをされている方にそんなことおっしゃっていただくなんて……。
加藤 そんな、そんな。声にすごく特徴があるので、個性の強いキャラクターも軽々とこなせるのではないかと。
Yun*chi むむむ。もし仮にそんなありがたい機会をいただけるならば、全力でがんばりたい所存でございます。
加藤 うん。「やってみたい」って口に出していたら、いつか絶対実現すると思いますよ。実際、私も取材とかで今後やりたい役を聞かれたときに「マスコットキャラクターをやってみたいです」とか「男の子の役をやってみたいです」って答えていたら実現した経験があるので。どんどん言っていきましょうよ!
Yun*chi 声優さんのことを本当に尊敬しているので、そういうことはあまり軽々しく言っちゃいけない気がするんですよね。
加藤 え、でもやってみたい役のイメージってあったりするんじゃないですか? ぜひ聞いてみたいです!
Yun*chi ……先ほどおっしゃっていただいたようなマスコットキャラクターとか、ちっちゃい男の子の役とかはやってみたいな、とか思ったりはね、したりはしてます。
加藤 えーいいじゃないですか。機会があったら一緒にアフレコとかやってみたいですね。
Yun*chi うううう。そんなこと緊張して絶対できないですー。でも万が一そうなったらがんばります(笑)。
誰かに好きと言ってもらえることなんて想像してなかった
──では最後に、お互いにメッセージを伝えあっていただければと。まずYun*chiさん。
Yun*chi え、あの、えーと、大好きです!!
加藤 あははは(笑)。その一言、すごくうれしいです。私はデビュー当時、人から尊敬してもらえたりとか、誰かに好きと言ってもらえることなんてまったく想像してなかったんですよ。なので、今そういう立場にいられるのはすごくうれしいことですね。ありがとうございます。
──では加藤さんからYun*chiさんへメッセージを。
加藤 私、Yun*chiさんのライブに行ってみたいです。そこで素敵な曲をたくさん聴いてみたいなって。
Yun*chi ええー! ホントですか? もうぜひぜひ。最近、自分のイベントも始めたので、それにもぜひ遊びにきてください。
加藤 じゃ遊びにいかせてもらいますね(笑)。それまでは「Your song*」を聴きながら毎日仕事に行きたいと思います!
Yun*chi 今日アフレコを生で見せていただいたことで表現者として学ぶことがたくさんありました。人生で最高の1日になりました。本当にありがとうございます!
加藤 いやいや、私のほうこそいろんなお話ができて楽しかったです(笑)。これからもよろしくお願いします。
収録曲
- Your song*
- Waon* with IroKokoro Project
- Fuzzy*
- Your song*(instrumental)
- Waon* with IroKokoro Project(instrumental)
- Fuzzy*(instrumental)
Yun*chi(ゆんち)
幼少期よりボーカリストになることに憧れ、日々の生活の中で音楽に触れて育つ。インディーズシーンでアーティストとして活動する一方で、モデルとしても活躍。そのキュートなルックスで注目を集める。音楽面でも独特の声と人懐っこいキャラクターが買われ、デビュー前からlivetuneをはじめさまざまなアーティストの作品に参加する。2012年11月にミニアルバム「Yun*chi」で日本クラウンよりメジャーデビューし、同作は「ミュージック・ジャケット大賞 2013」で大賞を受賞。2013年4月には2ndミニアルバム「Shake you*」を発表した。同年11月に発売された1stシングル「Your song*」はNHK Eテレのアニメ「ログ・ホライズン」のエンディングテーマに採用された。
加藤英美里(かとうえみり)
2004年放送のアニメ「今日からマ王!」で、メイド3人組のうち1人であるドリア役で声優デビュー。2007年に放送された「らき☆すた」に柊かがみ役で出演し、平野綾、福原香織、遠藤綾とともに歌った同アニメのオープニングテーマ「もってけ!セーラーふく」が大ヒットを記録した。その後も声優として「化物語」の八九寺真宵役、「魔法少女まどか☆マギカ」のキュゥべえ役などを務め話題に。2008年に歌手デビューを果たし、アルバム「vivid」をリリース。BSフジのバラエティ番組「アドリブアニメ研究所」でともにMCを務めていた声優の福原香織とユニット「かと*ふく」を結成し、2012年にシングル2枚とアルバムを発表した。