ナタリー PowerPush - Yun*chi

アニメ制作現場に潜入!憧れの加藤英美里と初対面

NHK Eテレのアニメ「ログ・ホライズン」でエンディングテーマとして放送されているYun*chiの「Your song*」。この曲が彼女の1stシングルとして11月13日にリリースされた。

これを受けて今回の特集では、Yun*chiが「ログ・ホライズン」のアフレコ現場に突撃取材。声優たちの仕事ぶりをレポートし、さらに暗殺者・アカツキ役を演じる加藤英美里と対談を行った。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 佐藤類

「ログ・ホライズン」アフレコ現場潜入

某月某日、都内某所のスタジオで行われているアニメ「ログ・ホライズン」のアフレコを見学することになったYun*chi。アニメ好きを公言し、実はこっそり声優にも興味があるというだけあって、初めてのアフレコ現場潜入にさぞ興奮しているのだろうと思ったのだが、その表情はかなり緊張して固まっていた。

声優たちを前に緊張の表情で挨拶をするYun*chi。「よ、よろしくお願いします!」

声優たちを前に緊張の表情で挨拶をするYun*chi。「よ、よろしくお願いします!」

「いやもうホントに尊敬する声優さんたちのお仕事を間近で見れるなんて大緊張ですよ! 興奮もしてはいるけど、『イエーイ! 見学に来ましたー!』みたいなテンションには到底なれないです。邪魔にならないように、静かに拝見させていただきます」

録音ブースにはすでに13人の声優陣が揃い、台本を片手にストーリーの流れや自らのセリフを確認している。丁寧にあいさつをしてブースの隅っこに座らせてもらったYun*chiは、まずテスト(リハーサル)を見せてもらうことに。

テスト中、声優が発するセリフを手元の台本で確認。「アレ、今のアドリブ!?」

テスト中、声優が発するセリフを手元の台本で確認。「アレ、今のアドリブ!?」

声優陣に混じってちょこんと座るYun*chi。「尊敬する声優さんと同じ空気が吸えるなんて!」

声優陣に混じってちょこんと座るYun*chi。「尊敬する声優さんと同じ空気が吸えるなんて!」

ブース内に設置してある複数のモニタにはコンテのような状態の絵が映し出され、それがストーリーに沿って流れていく。スタジオ内に設置されたイスに座って待機する声優陣は、自分の役が登場するシーンになると立ち上がり、マイクの前へ。そして画面に役名がパッと表示されたところでセリフを入れていく、というのがアフレコのおおまかな流れだ。テストとは言え本番さながらの演技で映像に命を吹き込んでいく声優の姿に、Yun*chiは大きく感動した様子。テストが終わり、ブースから出てきた彼女はため息を漏らしながらこんな感想をくれた。

「アニメの映像がまだ完成していない状態だし、複雑なセリフが多いし、すごく難しそうですよね。でも皆さん感情をしっかり声に乗せてセリフを入れているのが本当にすごすぎる! 台本にメモを取っている方が多かったのも印象的でした。私もレコーディングのときに歌詞カードに歌い方のポイントとかを自分なりにメモしたりすることがあるので、一緒だー!と思ってちょっとうれしくなりました」

大好きだというシロエのセリフに思わずうっとり。笑みがこぼれる。

大好きだというシロエのセリフに思わずうっとり。笑みがこぼれる。

声優の演技に息を呑み、熱視線を送るYun*chi。

声優の演技に息を呑み、熱視線を送るYun*chi。

テストが終了すると、そこで見えてきた疑問点や修正点をスタッフとともに確認し合い、本番に向けて演技を固めていく。その姿は真剣そのものだが、時には声優同士で雑談をしたり、スタッフを交えて笑い合ったりする瞬間も。実に和気あいあいとした雰囲気だ。

そしていよいよ本番へ。今度はサブと呼ばれる副音声室へ招かれたYun*chiは、ガラス越しにアフレコの一部始終をジッと眺めている。

本番はサブから見学。ガラス越しにも生の臨場感がビシビシ伝わってくる。

本番はサブから見学。ガラス越しにも生の臨場感がビシビシ伝わってくる。

素晴らしい演技に圧倒され、放心状態で立ち尽くすYun*chi。

素晴らしい演技に圧倒され、放心状態で立ち尽くすYun*chi。

「やっぱり本番はテスト以上に迫力がありますね。思わず引き込まれて夢中になっちゃいます。台本と声優さんの顔とモニタの映像と、全部を見たいから目が忙しく行ったり来たりしちゃって(笑)。サブで音声を聞いていると、歌のレコーディングとは音の拾い方が全然違うんだなってことにも気が付きました。低い音がけっこう目立つ感じだなと思いました。あとマイクと口の距離も違いますね。私はマイクにくっつくぐらい近づくんだけど、声優さんたちはけっこう距離を開けてセリフをおっしゃっていて。細かいところまで全部が興味深くてすごく楽しかったです」

記念にいただいた台本。裏表紙の記名欄にはしっかり“Yun*chi”と記入。「家宝にします!」

記念にいただいた台本。裏表紙の記名欄にはしっかり“Yun*chi”と記入。「家宝にします!」

すべての役の声が吹き込まれると、今度は声優全員が並んでマイクの前に立ち、ガヤを録音。その後はいくつかのパートでリテイクが行われてもいた。「素人耳だと完璧なんだけど、声優さんご自身には細かいところのこだわりがあるんですよね。自らやり直しを申し出る方もいて。ホントにすごい!」と最後まで感動しっぱなし。すべての工程が終わり、スタジオを後にする声優陣1人ひとりにYun*chiは尊敬のまなざしで「ありがとうございました!」と感謝の思いを告げていた。そして最後にこんな感想を。

「そんなおこがましいこと、ダメですよー」と恐縮しつつ、マイクの前に立って声優さんの気持ちを一瞬体感。

「そんなおこがましいこと、ダメですよー」と恐縮しつつ、マイクの前に立って声優さんの気持ちを一瞬体感。

「神聖な領域に立ち会わせてもらうことができて本当にうれしかったです。私はレコーディングのときに狭いブースに1人ぼっちなので、たくさんの声優さんたちがひとつのブースの中で作品に声を重ねていく光景がちょっとうらやましくもありました。なんかとんちんかんな感想ですけど、バンドをやってみたくなっちゃいましたね(笑)。アフレコを見せていただいたことで『ログ・ホライズン』と、そこに出てくるキャラクターのことがさらに好きになりました。素敵な作品にエンディングテーマで参加させていただけたことを本当に誇りに思いますね」

Contents Index
ニューシングル「Your song*」2013年11月13日発売 / 1200円 / 日本クラウン / CRCP-10300
「Your song*」
収録曲
  1. Your song*
  2. Waon* with IroKokoro Project
  3. Fuzzy*
  4. Your song*(instrumental)
  5. Waon* with IroKokoro Project(instrumental)
  6. Fuzzy*(instrumental)
Yun*chi(ゆんち)
Yun*chi

幼少期よりボーカリストになることに憧れ、日々の生活の中で音楽に触れて育つ。インディーズシーンでアーティストとして活動する一方で、モデルとしても活躍。そのキュートなルックスで注目を集める。音楽面でも独特の声と人懐っこいキャラクターが買われ、デビュー前からlivetuneをはじめさまざまなアーティストの作品に参加する。2012年11月にミニアルバム「Yun*chi」で日本クラウンよりメジャーデビューし、同作は「ミュージック・ジャケット大賞 2013」で大賞を受賞。2013年4月には2ndミニアルバム「Shake you*」を発表した。同年11月に発売された1stシングル「Your song*」はNHK Eテレのアニメ「ログ・ホライズン」のエンディングテーマに採用された。