ナタリー PowerPush - 弓木英梨乃
「20世紀少年」妄想主題歌(?)「終わらない遊び」ついにリリース
ナタリー初登場となる20歳の現役女子大生シンガー“ギタリスト”ソングライター、弓木英梨乃。2008年にマイクロソフト主催のオーディション「第2回SCHOOL OF SCHOOL FINAL」でグランプリを射止め、翌年メジャーデビューを果たした彼女が12月1日、3rdシングル「終わらない遊び」をリリースする。
本作は、マンガ&映画の大ヒットでおなじみの「20世紀少年」にインスパイアされて誕生したメロディアスなナンバーだ。生活に彩りを添えるドラマチックで切ないサウンドと繊細な言葉は、世界をガラッとひっくり返すスイッチのような機能を持っている。
そして彼女は、12月7日に渋谷スターラウンジにて初のワンマンライブを行うことも発表。しかもチケット料金は1000円(ドリンク別)という驚きの価格。このインタビューを読んで彼女のことが気になった人は、会場でその歌声と凄腕ギターサウンドを堪能してもらいたい。
取材・文/ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
映画化されるのを妄想して勝手に主題歌を作ったんです
──新曲「終わらない遊び」はマンガ「20世紀少年」に影響を受けたそうですね?
そうなんですよ! マンガの「20世紀少年」を読んでハマってたので、映画化されると聞いたとき、映画のエンドロールに流れることを妄想して勝手に主題歌を作ったんです。この曲は大阪で路上ライブをやってた頃から大事にしてた曲で。当時は「この曲を『20世紀少年』の主題歌にしたいのでみなさん広めてください!」ってMCしてました(笑)。結局、(主題歌には)決まらなかったんですけど(笑)。なので今回シングルとしてリリースできることをうれしく思っています。
──歌詞の世界観も「20世紀少年」と、ぴったりな雰囲気ですね。
「少年から大人へ」っていうのがテーマです。何かが決着つかないまま、それが何なのかわからないんですけど、気がついたら大人になっていて……。しかも自分の理想とはほど遠いところに来てしまったという気持ちですね。そんな、心残りに近い感情を音楽で吐き出したかったんです。
──子供の頃って社会性に縛られないから、いろんなものが輝いて見えるんですよね。歌詞で表現された「草は青く、空は赤く、すべてを見ていた」ってフレーズが印象的でした。アーティストの方って、子供の頃のことをよく覚えていたりしますよね?
子供の頃、空が赤くなったら家に帰らなきゃいけなくて、遊びの時間の終わりの合図だったんですよね。それとリンクさせて「子供時代」が終わり「大人時代」になっていくっていう意味を込めて書いたパートなんです。子供の頃はいろんな世界が透き通るようにきれいで、希望に満ちあふれてたけど、大人になるにしたがって世の中のいろんなことを知って、透き通ってるだけじゃない曇った赤い空も見えてきたんだって思いを込めてます。
──この曲は「20世紀少年」作者の浦沢直樹さんには届いたんですか?
残念ながら届いてないと思います。ナタリーのこのインタビューを読んでくれたらうれしいですねえ。
「弓木英梨乃を見てギターを始めました!」って言われたい
──カップリング曲「あなただけ」は、ガラッと雰囲気が変わって明るく元気なイメージですね。
軽い雰囲気のカントリーを作ってみたかったんです。もともとTHE BEATLESが好きなのと、父の影響でブルーグラスとかブルースやカントリーが身近な環境にあって。歌詞もかわいらしい感じがいいなと思って「草食系男子に恋をした女の子!」というテーマで書きました。
──それはリアルですね(笑)。
そうなんです。私、草食系男子を好きになることが多くて(笑)。今、大学に通っているんですけど、学校には草食系男子がたくさんいますよ。
──やっぱり今の大学生には多いんですね。そしてシングルの3曲目にはギターインストのナンバー「New World」が収録されてますね。ボーカルとインスト曲では、メロディの作り方は違ったりするものですか?
歌モノもギターインストも、歌心あるフレーズから作って、その中にギターインストらしさを挟み込む作り方をしているので、両方とも歌心を大事にしてますね。なので「New World」はギターインストですけど、歌が好きな人にも伝わる曲にしたいなって心掛けました。
──そういえば最近、ギターを持っている女の子が増えたような気がしませんか?
そうですよね、実は私もそう思っていて! 夢なんですけど、女の子に「弓木英梨乃を見てギターを始めました!」って言ってもらえるアーティストになりたいって思っているんです。そのきっかけとして歌モノから入って、弓木英梨乃はギターも弾く人なんだって知ってもらって、ギターってカッコいいなって自然な流れで知ってほしいんですよ。まず歌を第一に、良い曲を書いて、ギターもがんばりたいなと思ってます。
──12月7日には初のワンマンライブが渋谷スターラウンジで開催されますが、どんな意気込みですか?
このワンマンにすべてを賭けて準備してます。今からバンドとリハしたり、体力がないので最近はカラオケに行って2時間ずっと歌ったりして特訓してますよ(笑)。たくさん新曲も生まれてるし、聴いてほしい曲がたくさんあるんです。
──バンドメンバーが新しくなったらしいですけど、新メンバーはどんな感じですか?
ワンマンに向けてメンバーが全員新しくなりました。ベースがVOLA & THE ORIENTAL MACHINEの有江嘉典さんで、ギターとドラムがTHE YOUTHの三井律郎さんと相澤大樹さんです。私自身バンド経験がなくてずっと1人でやってたので、バンドでやれるのはめちゃくちゃ楽しいです。バンドメンバーもすごい方ばかりでやっていて気持ちいいですね。楽しみにしていてほしいです。
弓木英梨乃
「終わらない遊び」リリースライブ
- 2010年12月7日(火)
東京都 渋谷スターラウンジ
OPEN 19:00/START 19:30
前売 1000円(ドリンク代別)
お問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999
弓木英梨乃(ゆみきえりの)
1990年大阪生まれ。2歳半からバイオリンを始め、中学1年生のときにTHE BEATLESと出会う。父親のギターを借りてTHE BEATLESの楽曲を完全コピーした後、中学3年生からMTRでオリジナル曲の制作をスタート。高校2年生のときにマイクロソフト主催のコンテスト「第2回SCHOOL OF SCHOOL FINAL」でグランプリを獲得し、2009年10月にシングル「LφST[ロスト]」でメジャーデビュー。この曲が映画「携帯彼氏」主題歌に抜擢され、その後2010年6月に配信限定シングル「BLUE」、12月に3rdシングル「終わらない遊び」を発表。ライブではギタリストとしての卓越した腕前も存分に披露している。