ゆくえしれずつれづれ|重なり合う4つの咆哮

ジャンルがないのがつれづれ

──今作「Loud Asymmetry」の印象はいかがでしたか?

子子子 シャウトがすごく多くなったなっていうのが第一印象でした。

◎屋 表題曲の「Loud Asymmetry」は出だしがシャウトですから、すごく印象に残る曲です。それと2曲目の「Karmaloop」はどこもかしこもシャウト、みたいな振り切った曲ですね。

 艶奴はライブ映えする曲が好きだから「Loud Asymmetry」はデモをもらったときからすごく気に入ってます。

◎屋 実はデモ段階の曲を聴いたときはつれづれらしくない曲だなって思ったんです。どことなくキャッチ―な曲調だった気がして、大衆向けなのかなって。ただ歌ってくうちにどんどん印象が変わってきて、最終的にはつれづれらしい“重苦しい曲”だなって思うようになりました。

小町 私は「つれづれらしい」っていう感覚があまりないと言うか。ある意味形を定めないでやってきた気がするので今回は今回で「こういう形になるんだ」と思っただけですね。

子子子 確かにつれづれってジャンルでくくりにくい感じがあるよね。“これっぽい”っていう類似のものがあまりないというか。

 ジャンルがないのがつれづれ、みたいな。

◎屋 ただどの曲も“矛盾を歌ってる”っていう実感があるんです。なのでジャンルとしては“矛盾系”みたいなのがいいですね。

「春夏秋闘」で覚醒した

──新作は「シャウトが多かった」という印象が強かったようですが、レコーディングは大変でしたか?

 艶奴は普通にメロディを歌うよりシャウトのほうが得意なので、シャウトが多ければ多いほど感情が入る感じなんです。逆に普通に歌うとあまり感情がこもっていないように聞こえるくらいなので。

──最初からシャウトが得意だったわけじゃないですよね。いつ頃から得意になったんですか?

英艶奴

 確かに。いつからだろう。「ニーチェとの戯曲」(2016年8月発売のシングル「六落叫 / ニーチェとの戯曲」の収録曲)のときが初めてのレコーディングで、シャウトがうまくできてなくて……「the End of…」(2016年12月発売のアルバム「ポスト過多ストロフィー」の収録曲)のときにはもうできるようになってた。

◎屋 でも「the End of…」と「Loud Asymmetry」で、艶奴のシャウトは全然違うよ。「the End of…」はどれが艶奴のシャウトかわからないけど、今作はすごく艶奴らしいシャウトだなって思います。

 今思えば「春夏秋闘」(2017年3月発売のシングル「MISS SINS」の収録曲)のレコーディングのときに……。

子子子 覚醒した?

 うん。覚醒した気がする。

子子子 艶奴と私は同じ時期につれづれに入ったんだけど、私はまだ歌のほうが得意ですね。シャウトの部分はまだやり方を模索している感じ。自分の強みを出すにはどうしたらいいだろうって、毎回考えながらレコーディングしてますね。

小町 私も一緒。艶奴みたいに覚醒した人間でないので、今回のレコーディングもまだ確かめながらシャウトしてましたね。

◎屋 私はシャウトのほうが楽です(笑)。

子子子 バランスいいよね。

◎屋 だいたいの物事が2対2で分かれることが多いですね。

英語のシャウトと日本語のシャウト

──特に2曲目「Karmaloop」は、ほとんどのボーカルがシャウトですよね。

◎屋 私、「Karmaloop」では普通に歌うところが2カ所しかなかったんですよ。ちょっと根に持ってます。

子子子 まあまあ。得意不得意があるから、しだれはシャウトの部分でがんばってたわけだし。

小町 そもそもしだれは歌の部分が少ないんだよね。

◎屋 そう。もともと少ないのに今回は本当に少なかった。

 でも出だしのシャウトがすごくて「しだれならではのシャウトだ!」ってなる曲だよ。

◎屋 うれしい。この曲の落ちサビのところに入っている子子子の低い声、すごく好き。

 イケボだよね。

子子子 もともと声が低いので、すごく気持ちよく歌えたところです。

──シャウトが得意な艶奴さんはこの曲を歌ってみてどうでしたか?

 「Karmaloop」は、難しい英語をシャウトしなくちゃいけなくて。それがすごく難しかったです。

◎屋しだれ

◎屋 確かに、艶奴はたくさん英語を叫んでましたわ。

 英語の発音とかがわからないから苦戦しました。アクセントが難しいんだよね。

子子子 英語だと区切りがわからなくなるんだよね。どこで区切ったらいいかわからなくなって、息継ぎができない、みたいな。

小町 うん。シャウトだとわからなくなる。

子子子 ただ私は日本語のシャウトのほうが大変だと思ってたんですよ。

◎屋 そう。日本語のほうがねえ。

──ここもメンバー同士で感覚が違うんですね。

子子子 漢字をシャウトするほうが難しいと言うか、前例があまりないんですよ。「この言葉をどうやって言ったらいいんだろう」って悩むことがあります。

◎屋 それと「Karmaloop」は初めてダンスを付けようか悩んでいる曲なんです。

小町 今まで全部の曲にダンスを付けてきたんですけど、「Karmaloop」はライブ全体を考えたときにすごく大事な曲になる気がして。シャウトばかりではあるんですけど、ある意味聴かせる曲だと思うし。

◎屋 もしかしたらライブでやってみたらダンスを付けたほうがカッコいいとか、感情を込めやすくなるとか、そういう発見があるかもしれないんですけど、今のところダンスは付けない気がしています。まだ悩み中です。

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小町の声は“救い”

ゆくえしれずつれづれ「Loud Asymmetry」
2017年8月9日発売 / コドモメンタルINC.
ゆくえしれずつれづれ「Loud Asymmetry」

[CD]
1080円 / CMI-0026

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収録曲
  1. Loud Asymmetry
  2. Karmaloop
  3. Helpless
ゆくえしれずつれづれ
ゆくえしれずつれづれ
「だつりょく系げきじょう系」をコンセプトに活動するアイドルユニット。2015年12月に1st配信シングル「凶葬詩壱鳴り feat. ぜんぶ君のせいだ。」をリリースし、◎屋しだれ、まれ・A・小町、想九里倫の3人で活動をスタートさせる。2016年1月、初ライブを前にして想九里が体調不良のためユニットからの脱退が決定。新メンバーとして潮賽乃吉が加入するが、潮賽も体調不良のためユニットを脱退した。2016年5月に1stミニアルバム「Antino未deology」をリリース。またオーディションの結果、英艶奴と子子子の2名が新メンバーとしてユニットに加わった。2017年2月には1stミニアルバム「Antino未deology」を現体制の4人で再録した音源「Antino未deology-改式-」を発表。5月にはユニットの海外名義である「Not Secured, Loose Ends」として、カナダで海外公演を行った。8月、3rdシングル「Loud Asymmetry」をリリースした。