ゆくえしれずつれづれがニューシングル「Loud Asymmetry」をリリースした。
彼女たちがシングルを発表するのは、今年3月の「MISS SINS」から約5カ月ぶりのこと。5月に初の海外公演を実施したり、7月にスタートした所属レーベルのレギュラーラジオ番組にメンバーそれぞれが定期的に出演したりと新たな試みに挑戦し続けてきた彼女たち。今回のインタビューでは5月の海外公演でのエピソードや、メンバー自身が「振り切った作品」と語る今作「Loud Asymmetry」について話を聞いた。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / moco.(kilioffice)
人と人との温かさに触れた海外公演
──前回のインタビューは6カ月前ですが、この半年の間に海外公演を行ったのは大きなトピックスだったと思います(参照:ゆくえしれずつれづれ、海外活動本格化で新たな名義)。カナダでの初めての海外公演、どうでしたか?
まれ・A・小町 ハッキリとは覚えていないんですけど、お客さんが温かかったっていう印象があります。皆さん、楽しみ方を知っていらっしゃると言うか。
◎屋しだれ うん。国の違いというものを感じました。
子子子 初めての海外公演ということもあって、観てもらうだけでも十分かなって気持ちだったんですけど、いざステージに立ってみたら皆さん手を挙げてライブを楽しんでくれたんです。
英艶奴 トロント、バンクーバー、モントリオールという3つの都市でライブをしたんですけど、どこのライブもちゃんと盛り上がってくれて。海外でもこんなにつれづれのことを知ってくれてる人がいるんだってとてもうれしく思いました。
◎屋 あと日本から飛行機で12時間もかかるのに、群青さん(ゆくえしれずつれづれのファン)が来てくださって。群青さんたちが「つれづれのライブはこうやって盛り上げるんだ」って現地の人に教えてくれたみたいなんです。本当にありがたいことですし、人の温かさをすごく感じました。
──アジア圏で海外公演をするアイドルは多いですが、北米で海外公演をするグループは珍しいですよね。
英 香港とか台湾に行ってるアイドルさんが多い中で、珍しい場所でライブをさせてもらって光栄でした。
◎屋 800人くらい入るとても大きいステージに立たせていただいて。皆さんお酒を飲んで純粋に音楽を楽しんでいるって印象が強かったですね。知らない音でも流れると自然とリズムに乗ってライブを楽しんでくださるんです。それでライブが終わったあとには「Good Job!」とか「Nice!」とか声をかけてくれて。
子子子 あとたくさんCDを買っていただきました。
◎屋 海外公演は全部で4公演あったんですけど、4回目のライブのときには販売するCDが1枚もないような状態になってしまったんです。もっといっぱい持って行けばよかった。
──日頃から国内ツアーなどで行動を共にする機会は多いと思いますが、4人で海外を回るというのはまた新鮮な経験だったのではないですか?
◎屋 面白かったよね。1週間ホテルに一緒に泊まったんですけど、みんなけっこう自由で。誰かしらはだいたいいなかった。こまちゃんはよく散歩に行ってましたわ。
小町 だいたい単独行動をしてました。
──1人でどこに行ってたんですか?
小町 どこかに行くというより、人を見るのがすごく楽くて、ずっと街行く人を見てました。カナダの人たちはすべてが大きいと言うか、心もオープンだし見ていて全然飽きなかったですね。
◎屋 あとは子子子が変ないちごを買ってきたり。
子子子 ビタミン不足かなと思って、スーパーでいちごを買ったんですよ。それが見た目はいちごなんだけど日本のいちごと全然違うんです。甘くもないし、酸っぱくもない。食べても味がしないと言うか。あとぶどうも食べたよね。
小町 ぶどうもなぜかシャキシャキしてた。
◎屋 みんないろいろと自由で面白い経験をしました。
表現することに集中して
──海外でのライブの手応えはありましたか?
◎屋 自分たちはいつも通り精一杯やってるつもりですから、手応えがあったかどうかはわからないんですが、2本目の海外公演を終えたとき、日本からライブを観に来てくれていた群青さんが「今までで一番よかったよ」って言ってくれたんです。「ここまでやってきて、一番いいライブが海外公演なのか」と少し驚きました。
──何か特別意識をしたことはありましたか?
◎屋 ほぼ全員私たちのことを知らない人の前でライブをやったからこそ、いいライブになったのかなと思いました。日本では私たちのことを待ってくれている人たちの前でライブをすることが多いですから、なんと言うか穏やかな気持ちになってしまうんです。「いつも来てくれてありがとう」って思いながら、愛しい気持ちになってしまう。でも海外のお客さんはみんな私たちのことを知らないわけですから、ただただ表現することに集中してライブができたのかもしれません。
子子子 2本目に限ったことじゃないけど、歌っても言葉がわからないから伝えようという気持ちはすごく強く持ってた感じはあるよね。
今が大事な時期
──海外での経験を経て変わった部分はありますか?
英 カナダから帰ってきて自信が付いた気がします。海外の方にも受け入れてもらえるパフォーマンスができているのかなって。でも同時にプレッシャーも感じているんですよ。海外公演を経てどう変わっているのかを、日本の群青さんは楽しみにしながら観に来ていると思うので。
小町 小町は海外に行ったことで逆に落ち込んでました。自分のことがちっぽけだと感じたと言うか、無力感を感じて落ち込んだ期間が長かったです。
英 艶奴と真逆だ。
──「落ち込んだ期間が長かった」ということは、今はもうその状態からは脱却したわけですよね?
小町 今は落ち込んでいる時期というより考える時期に入ってます。この半年、海外公演はあったけどライブの本数はちょっと少なくて、考える時間がすごくある。今後のこととかライブのこと、つれづれのこと、群青さんのことをいろいろ考えています。
◎屋 もしかして、まだ立ち直ってない?
小町 立ち直る前に考える期間に入ったの。
◎屋 私も今が大事な時期だなーって、よく考えてる。
──今作「Loud Asymmetry」は、前作「MISS SINS」から5カ月ぶりのシングルになりますが、デビュー以降、常に2、3カ月おきに新作を出し続けてきたつれづれにとっては5カ月新作が出ないことのほうが珍しかったわけですよね。なのでようやくメンバーがじっくり考える時間ができたのかもしれません。
◎屋 新曲リリースまでの期間が空いたことによって、次の作品への期待感って絶対にあると思うんです。シングルはできあがりましたけど、これをいかにライブで表現するか、まだ考え込んでいます。
子子子 私はつれづれに入ってからすべての物事が早く感じるようになりました。半年空いてしまった実感はあまりなくて「もうシングルが出るんだ」って感覚に近いですね。
英 艶奴もあんまり考え込んだりはしていないですね。
◎屋 2対2でいいバランス(笑)。
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ジャンルがないのがつれづれ
- ゆくえしれずつれづれ「Loud Asymmetry」
- 2017年8月9日発売 / コドモメンタルINC.
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[CD]
1080円 / CMI-0026 - 収録曲
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- Loud Asymmetry
- Karmaloop
- Helpless
- ゆくえしれずつれづれ
- 「だつりょく系げきじょう系」をコンセプトに活動するアイドルユニット。2015年12月に1st配信シングル「凶葬詩壱鳴り feat. ぜんぶ君のせいだ。」をリリースし、◎屋しだれ、まれ・A・小町、想九里倫の3人で活動をスタートさせる。2016年1月、初ライブを前にして想九里が体調不良のためユニットからの脱退が決定。新メンバーとして潮賽乃吉が加入するが、潮賽も体調不良のためユニットを脱退した。2016年5月に1stミニアルバム「Antino未deology」をリリース。またオーディションの結果、英艶奴と子子子の2名が新メンバーとしてユニットに加わった。2017年2月には1stミニアルバム「Antino未deology」を現体制の4人で再録した音源「Antino未deology-改式-」を発表。5月にはユニットの海外名義である「Not Secured, Loose Ends」として、カナダで海外公演を行った。8月、3rdシングル「Loud Asymmetry」をリリースした。