音楽ナタリー Power Push - ゆくえしれずつれづれ

グループ崩壊の先にあるもの

どういう曲を歌っても全部つれづれの曲になる

──アルバム発売後の12月11日からは、東名阪ツアー「ポスト禍誰ストロフィーTOUR」が開催されます。つれづれが単独でツアーを行うのは今回が初めてですよね?

◎屋 はい。しかもこれまでより少し大きめの会場を取っていただいたんです。絶対いいライブをしなきゃいけないですよね(笑)。

──アルバムの曲が入ってくると、ライブの構成もけっこう変わりますね。

◎屋しだれ

◎屋 曲に振り幅ができたのがうれしいんです。アルバムの収録曲を試聴してもらったときに「つれづれっぽくない新しい曲調だね」って言われることが多かったんですけど、私たちからしたら「ゆくえしれずつれづれの曲調はこれです」みたいなものって全然ないと思ってるんですよね。逆にどういう曲を歌っても全部つれづれの曲になる。それを見せつけられるのが今回のツアーだと考えています。

子子子 振り幅が大きすぎて、聴き手によってはもしかしたら苦手な曲があるかもしれないんですけど、ライブで聴いたらまた全然違うものになってると思うんです。今までも「ライブで聴いてみたらすごく好きになった曲がある」という感想をくださった方もいらっしゃいますから、私たちのアルバムをライブで確かめに来てほしいですね。

◎屋 ライブで印象が変わる曲は多いかもしれませんね。CDではけっこう声が加工されている部分もありますから。

──自分たちの声が加工されることについてはどう思っていますか?

◎屋 悔しさもあって、ある意味自分たちが殺された感じもしているんです。ただそうしたからこそ生まれた世界観があることもわかっているので、私の中でまだ折り合いが付けられていないのかもしれません。ライブでどう歌うかは私たち次第ですので、群青さんにはライブでの新曲を楽しみにしていてほしいと思っています。

小町 私たちに型なんてもともとなかったんですけど、今回のアルバムで曲の方向性がさらにあっちこっちに広がったから、今までのつれづれで見せてきた景色とはまた違った感じを表現できると思う。抽象的だけど、色が増えた感じがするというか。私たち4人の色も全然違いますけど、私たちの曲がさらに色とりどりになったのはうれしいですね。

新しいアルバムで全部出し切りたい

──グループ初のフルアルバムが完成して、これからどんどん活動の規模も大きくなると思いますが、1人ひとり自分の課題って何か感じていますか?

◎屋 私はまだまだ、すべて出し切れていないと感じることです。ワンマンだったら1時間とか時間を使って思う存分パフォーマンスができているんですけど、例えば対バンのときに20分しか持ち時間がない場合とか、死ぬほどやり切ったライブができていない気がして。毎回ちゃんと死ぬほど出し切らなきゃいけないのに、それができないときがあるのが今の課題ですね。

──すごく意識が高い課題ですね。

まれ・A・小町

◎屋 もちろんライブに向けてしっかり体力は付けなきゃいけないんですけど、そのうえで毎回立てなくなるくらいやり切りたいんです。体力を付けつつ、死にそうになりたい。

一同 (笑)。

小町 小町は気持ちの面ではなくて、ダンスや歌の技術的な部分のクオリティをもっと上げたいと思っています。もちろん気持ちは思い切りやるけど、そのうえでパフォーマンスを完成させたい。

◎屋 勢いだけでライブしないで、ってことよね。

小町 そう。

子子子 とても個人的な課題なんですけど、子子子はちょっとシャウトが伸ばせないんです。肺活量が足りないみたいで。レコーディングのたびにいつも力不足を感じるので、もっとうまくシャウトできるようになりたいです。

 艶奴も技術的なことを考えていました。いざライブで歌うとなるとまだレコーディングを超えられていないというか。歌っているときはスイッチが入ってるから気付かないんですけど、動画を撮ってもらったものを聴き返したりすると、自分の歌がまだまだだなって思うんです。そこはみんなに追い付かなきゃいけない。

◎屋 そうですね。練習で歌えてもライブで熱くなってしまうと歌えなかったりとか、息切れしてしまったりとか。

──そういう熱さが大事なときもあると思いますが。

◎屋 もちろん、勢いも大事ですよね。全部出し切って、もう声が出ないってくらいのライブをしたいです。

ゆくえしれずつれづれ
1stフルアルバム「ポスト過多ストロフィー」 / 2016年12月7日発売
[CD] 2000円 / コドモメンタルINC / CMI-0017
収録曲
  1. ポストカタストロフ
  2. Doppelgänger
  3. 契りひらり
  4. the End of…
  5. Psycho-Hi
  6. ニーチェとの戯曲
  7. インディースキン
  8. 六落叫
  9. Word flood Moment
  10. 逝キ死ニ概論

ゆくえしれずつれづれ
「東名阪ワンマンツアー~ポスト禍誰ストロフィーTOUR~」

2016年12月11日(日)
大阪府 心斎橋VARON
2016年12月17日(土)
東京都 SHIBUYA CYCLONE
2016年12月23日(金・祝)
愛知県 CLUB 3Star IMAIKE
ゆくえしれずつれづれ
ゆくえしれずつれづれ

「だつりょく系げきじょう系」をコンセプトに活動するアイドルユニット。2015年12月に1st配信シングル「凶葬詩壱鳴り feat. ぜんぶ君のせいだ。」をリリースし、◎屋しだれ、まれ・A・小町、想九里倫の3人で活動をスタートさせる。2016年1月、初ライブを前にして想九里が体調不良のためユニットからの脱退が決定。新メンバーとして潮賽乃吉が加入するが、潮賽も体調不良のためユニットを脱退した。2016年5月に1stミニアルバム「Antino未deology」をリリース。またオーディションの結果、英艶奴と子子子の2名が新メンバーとしてユニットに加わった。同年8月、4人体制で初となるシングル「六落叫 / ニーチェとの戯曲」を発表。さらに同年12月、初のフルアルバム「ポスト過多ストロフィー」をリリースした。