「あつ森」の“ターミナル”で出迎えられて

──今作には「ご・く・ら・く terminal」という楽曲が収録されていますが、アルバムタイトルにした「Terminal」という言葉には、どんな思いが込められているのでしょうか。

「ご・く・ら・く terminal」の歌詞が生まれたきっかけは、ゲーム「あつまれ どうぶつの森」だったんです（笑）。

──あの大人気ゲーム「あつ森」をYUKIさんもやっているんですか!?

はい（笑）。このゲームをされている方はご存じだと思いますが、「あつまれ どうぶつの森」はアバターが無人島に移住して、自由に生活を構築していくゲームです。私は昨年3月にこのゲームを始めて、最初は1人でやっていたんですけど、初めて友人と通信してみて、空港のゲートで私を迎えてくれた友人のアバターに初めて会えたときに、ただのゲームの中のことなのに、泣きそうになるくらい感動してしまって。そのときに“Terminal”という言葉が出てきたんです。それから「ご・く・ら・く terminal」ができて、この“Terminal”というワードは新しいアルバムの大きなテーマになるんだろうなと思いましたし、迷うことなくそのテーマに向かっていくことができました。

──もともとターミナルには“終点”、“終着点”という意味がありますが。

エアターミナルやバスターミナルのように、ターミナルは人と人が出会う場所、人が集まる場所ですよね。だからターミナルはそこが終わりではなく始まりの場所。最終地点でもあり出発地点でもあると思うんです。

──先行リリースされたシングル「Baby, it's you」では、そのことが象徴的に歌われていますね。

私の歌詞や歌には、自分が見るもの、聞くもの、感じたものがすべて出てしまうので、私が毎日を楽しく生きて健やかで笑顔でいること、私が自分自身を大切にすることが大事だなって。「Baby, it's you」の中で私は「君の笑顔 出発地点にして」と歌っていますけど、私の歌を聴いてくれている人たちや大切な人たちの笑顔を見ると、私もうれしくなる。だからこそ私はいつもご機嫌でいたいし、強い心と体を持ったタフなgood girlでいたい。ターミナルとは私自身です。「Terminal」の曲や歌、言葉の向こうにいる私を、皆さんに感じてほしいです。

ツアーはきっとこれまで見たことがないようなライブになる

──今までのお話を聞いて、このアルバムの最後にそっと静かに置かれた「はらはらと」のYUKIさんの歌声や、歌詞にある「それぞれの場所で胸張り 咲き誇れ 歌いながら」という言葉が、より心に沁みる方も多いと思います。

「はらはらと」は、最初に曲を聴いたときに声変わりするかしないかくらいの少年少女たちが合唱している姿や、トライアングル、オルガン、大太鼓、小太鼓のような学校の音楽室にあるような楽器を使って演奏している姿が浮かんできました。“卒業”のイメージも浮かんできたので、卒業してそれぞれが新たな道を歩いていく中で、いろいろな重い荷物を持つかもしれないけれど、「わけはないさ、大丈夫さ」という思いを込めて歌いました。子供たちが歌っている姿をイメージして、歌詞は美しい日本語を意識して書いています。LASTorderくんが作ってきてくれたトラックをブラッシュアップしながら、ほぼ2人で作り上げていく作業もとても楽しかったです。

──「Terminal」には、ダンサンブルな「NEW！！！」やノスタルジックでYUKIさんの80’s魂が炸裂している「ベイビーベイビー」、歌詞にゲームワードがたくさん出てくる「ラスボス」など、5月22日からスタートする約2年ぶりの全国ホールツアー「YUKI concert tour "Terminal G" 2021」がより楽しみになる楽曲がそろいました。

ツアーでは最新アルバム「Terminal」の曲たちはもちろん、今までの曲たちも織り交ぜて、初めて私のライブを観に来てくれる方たちにも楽しんでもらえるような内容にしたいと思っています。きっとずっとファンでいてくださる皆さんにとってもこれまで見たことがないようなライブを考えているので、楽しみにしていてほしいです。