楽しみに待っていてくれる方の期待に精一杯応えたい

──「わたしの願い事」以来、約1年ぶりにリリースするシングル「STARMANN」は、広末涼子さんが約17年ぶりに連続ドラマに主演している「スターマン・この星の恋」の主題歌です。YUKIさんがドラマの主題歌を手がけるのは、「パパとムスメの7日間」の主題歌「星屑サンセット」以来、6年ぶりだとか。

あれから6年も経っているなんて！と、とても驚きました。「星屑サンセット」をリリースした年（2007年）は、ちょうどソロデビュー5周年のアニバーサリーイヤーのタイミングだったので、とても思い出深いです。

──「STARMANN」は、ドラマの脚本を読んで書き下ろしたそうですね。

はい。主題歌のお話をいただいた時点で、このドラマには最初から「スターマン」という仮タイトルが付いていたんですね。「スターマン」といえば、私の中ではデヴィッド・ボウイしか思い浮かばなくて。しかも、ちょうど主題歌のお話をいただいた頃の私は、デヴィッド・ボウイがひさしぶりに新譜を発表したということもあって、彼の音楽をよく聴いていたんです。あと、ここ最近の私の曲は打ち込みのサウンドが続いていたこともあって、ミュージシャンたちとスタジオに一緒に入って、生バンドでレコーディングをしたいと思っていたところだったので、「スターマン」と「デヴィッド・ボウイ」と「生バンド」が私の中で一気につながったんです。なので、わりと早い段階から（主題歌の）イメージは私の中でできあがっていましたね。

──YUKIさんが主題歌を作る上で、心がけていることはなんですか？

昔の私は、例えば映画やドラマのテーマや物語の内容など、リクエストに応えて曲を作っていくことがとても苦手でした。でも、あるときからお題やリクエストに応えて作るということが楽しくなってきて、主人公の思いやストーリー、そこに描かれている風景に寄り添う音楽は、どういう音楽がいいんだろうと、あれこれ考えることが好きになったんです。ドラマや映画と主題歌の関係をもっと近付けたい、仲良しにしたいと思う気持ちが強くなりました。

──なぜ、そう思うようになったんでしょう？

昔の私は、自分が歌いたいから、自分がやりたいから、という思いが強すぎて、自分のことだけを考えていたけれど、今の私は、YUKIの歌を待っていてくれる人がこの世の中に1人でもいるのなら、私が楽しんで作った音楽を届けたいと思えるようになったからだと思います。YUKIに主題歌を作ってほしいと思ってくださった方、YUKIの歌を楽しみに待っていてくれる方、YUKIが歌っている姿を見たい、そう思ってくださる方たちの期待に、私は精一杯応えたいんだと思います。

歌詞は、音楽に恋をした女の子が主人公

──ドラマの内容と寄り添える主題歌にしたいというYUKIさんの思いがあったから、「STARMANN」はラブソングなんですね。

はい。広末涼子さん演じる主人公・佐和子が星男（福士蒼汰）に恋をする物語なので、ラブソングにしたいと思いました。そして、ラブソングにするのであれば、ロックンロールではなく、テンポが速くない曲、メロディがちゃんと聞こえてくるミディアムな曲にしよう、と。そういった私のイメージをリクエストして、曲を作っていただきました。

──歌詞のイメージも、すぐに浮かんできたんですか？

そうですね。歌詞も“スターマン”をキーワードにしたので、わりと早い段階から自分の中に明確なイメージができていました。“STARMANN”＝“音楽”というふうに置き換えて、音楽に恋をした女の子が主人公の歌詞にしたいと思って書き始めたら、どんどん面白くなってしまって。あっという間に書いてしまいました。星男に出会い、強力な恋をしてしまった佐和子が、いつまでも星男のそばにいたいと願う気持ちと、音楽に恋をしてしまった女の子にとって、STARMANNはいつでも私を踊らせてくれる存在だから、どこにも行かないで、と願う気持ちを重ね合わせました。

──ところで、タイトルの「STARMANN」は、なぜ“N”が1つ多いんですか？

歌詞の中では彼なのか彼女なのかも限定していないんですけど、「STARMANN」は音楽であって人間ではないから、MANではない、と。そして、星男も普通の人間ではなさそうなので、Nを1つ増やして「STARMANN」にしました。