小倉唯＆石原夏織、友情について改めて考える

──先ほど石原さんが言っていた通り、アルバム用の新曲は実は過去のディスコグラフィと地続き。ノベルティ感の強い「倍速∞ラブストレート」から、ファンとの関係と決意を歌った「Ring Ring Rainbow!!」へとスムーズにつながったのちには、リードトラック「カナリア」が続きます。

小倉　この曲は照れました！

──ストリングスがドラマチックに鳴り響く中、2羽のカナリア＝歌う鳥、つまりはお2人の友情について優しく歌う曲ですもんね（笑）。

小倉　ここまで2人だけの世界を歌った曲はなかったので、ビックリしたし、ちょっと照れちゃって。レコーディングのときは学校の友達のこととか、ファンの方とそのファンの方の友達のことなんかもイメージしながら歌ってました。「キャリさんのことだけ思い浮かべて歌ったら、これ、ホントにこっ恥ずかしくなるぞ」って思ったので（笑）。

石原　あはははは（笑）。私も自分のことだけを思って歌ってないですね。唯ちゃんと私のことだけを思って歌ってしまうと、誰も感情移入できない、あまりにも個人的な歌になってしまいそうでしたから。

小倉　だよね。こうやってアルバムを3枚もリリースさせていただいている、今のゆいかおりになるまで「苦楽をともにした」って言うと大げさかもしれないんですけど、それでもいろいろあって今の関係があるのは事実ですから。そのときどきに感じたことを歌声に乗せようと思ったんですけど、2人のエピソードを具体的にイメージしちゃうと、キャリさんが言っていたみたいに、誰も歌の世界に入り込めなくなってしまう気はしました。

石原　自分たちだけのことに寄り添わなかった一番の理由は、さっき唯ちゃんが言った通り、こっ恥ずかしいからなんですけどね（笑）。

「石原さん、チョロいです」「これ、私じゃないです！」

──確かにすでに成人しているお2人が中学時代から育んできた友情や関係の深さを今また確認するのって、けっこう勇気が要りそうですね。

石原　話がズレちゃうかもしれないんですけど、私、ちょっと前に流行った「ニコイチ」って言葉がどうしても上手に使えなかったんですよ。

──2台の中古車からパーツ取りして1台の車を組み上げることや、2つのものを1つにするという意味から転じて「2人で1人だと思えるくらい強い友情で結ばれてるんだよ」っていう意味になった、あれ？

石原　そうですそうです。唯ちゃんとの関係って、もうそういう言葉で確認するまでのものでもないな、っていう気がしていたし、そういう唯ちゃんとの関係があるから友情ってあえて口にするものじゃないのかもしれない、と思っていたので。

小倉　言葉にして確認しなくてもキャリさんは隣にいてくれるのが当たり前の存在だし、「心の中が透けて見えてるんじゃないか？」っていうくらいお互いのことを知りすぎるくらいに知りすぎちゃってますから（笑）。

石原　だから「カナリア」の歌詞をもらったときは、その心の中が丸見えになっちゃう気もしました（笑）。

小倉　でも、だからこそ私たちが今改めて友情や関係について歌うことに意味があると思ってはいます。これまで築いてきた関係の深さと時間を感じさせる友情っていうのは今の私たちだから歌えることだと思ってます。

──あと、ゆいかおりのアルバムでは恒例になったお2人のソロ曲が今回も収録されています。が「Puppy」「Bunny」収録のソロ曲とは逆。これまではエレクトリックな曲を小倉さんが、ギターロックを石原さんが歌ってきていたんだけど……。

小倉　あっ、ホントだ！（笑）

石原　全然気付いてなかった！（笑）

──はははは（笑）。で、エレクトリックなダンスミュージック「Telephone Call」で石原さんが歌っているのは「『忙しい』とか『無理』だとか冷たくあしらうくせにね たまに甘えてくるとこが たまらなくステキ」。言わせていただけるなら、石原さん、チョロいです（笑）。

石原　この主人公は私じゃないですっ！（笑）

小倉　あはははは（笑）。