音楽ナタリー PowerPush - ゆいかおり
小倉唯&石原夏織が魅せた2015年の大胆“NEO”モード
聞き届けられたボソボソ声
──その“自ら考え、自ら提案する環境”は2人が作り上げたものなんですか? それともスタッフから意見を求められることが増えてきた?
小倉 そこも“微妙”で“曖昧”かも(笑)。
石原 「唯ちゃんと夏織ちゃんはどう思う?」って聞かれることは前々からあったんですけど、大学生になったばっかりの頃までは自分の意見が絶対に合っているって思えなかったから、考えていることを口にする自信がなくて……。
小倉 うん。私も以前は「高校生だし」って考えがちで自信がなくて。それに中学生や高校生の頃は周りの方の優しさとか愛情みたいなものにくるまれながら活動していて、それでも本当にいろいろな経験を積ませてもらっていたから「このままでいいのかもな」とも思ってました。
石原 でも当たり前なんですけど、ゆいかおりは自分たちのグループだから、一生懸命やっていかなきゃいけないし、一生懸命やるからにはやりたいこともあったから、その頃は2人とも、大きな声で意見は言えないんだけど、ボソボソボソボソ何かは言ってる、みたいな感じで(笑)。
──ははははは(笑)。そのボソボソ声が大声に変わったきっかけは?
石原 ボソボソをスタッフさんがちゃんと聞いていてくれたからですね。「そんなこと考えてたの?」「じゃあ、あのときも相談してくれればよかったのに」って言われることが増えてきて「なんだ、あんまり深刻に捉えずに発言しちゃえばよかったのか」って気付いて。で、隣を見てみたら唯ちゃんもそんな感じだったから「じゃあ一緒に言っちゃおう!」みたいな(笑)。
小倉 うん(笑)。それで積極的に会議とかに参加するようになったんですけど、夏織ちゃんや私の言ったことが実現していくのを見てるとやっぱり楽しくて。そこからスタッフさんと一緒にモノを作っていく体制になっていきました。
石原 だから理由が“微妙”で“曖昧”なんです(笑)。私たちから「こうしたい!」って大きな声で言い出したわけでも、誰かに「ちゃんと大きな声で言いなさい!」って言われたわけでもないですから。
“照れる”ゆいと、“恥ずかしながら照れない”かおり
──前回の取材のとき、石原さんはゆいかおり楽曲を歌うときはヒロインの視点には立たない。遠くから彼女がいる全景を捉えるようにしていると言っていました。
石原 はい。
──で、小倉さんは詞の世界を頭の中で映像化して、その映像の中でヒロインがいかに歌うかを考えると言っていた。でも「NEO SIGNALIFE」の詞にはどちらのアプローチも通じませんよね。
小倉 そうですね。今回は今の私たちの意思を歌うような曲だから、歌詞の世界を物語的には捉えていなくて。声にも、自分の中にある強い部分とか芯の部分みたいなものがはっきり出たなって思ってます。
──「思ってます」ということはあえて自己と向き合ったというよりは自然と内なるものが出てきた感じ?
小倉 そういう感じですね。これまでにないタイプの歌詞だったから、レコーディングを始めたばっかりの頃は、一瞬恥ずかしくなるというか、ちょっと気合いを入れなきゃ歌い出せなかったんですけど、言葉の強い曲ももともと好きだっていうのもあって、結局は「あっ、私けっこう歌えるな」っていう感じがしてました。あとレコーディング中は私にもスタッフさんにも「ちょっとカッコつけすぎてる、いつもとは違う感じになっちゃうかもしれない」っていう心配があったんですけど、歌い終えてみたら「あっ、ちゃんとゆいかおりの曲だ。大丈夫だね」ってなってましたし。
石原 へえ! 私は恥ずかしながら何も照れることなく歌っちゃってた(笑)。
──あはははは(笑)。
石原 私たちの意思を聞いてほしいっていう曲だから当たり前なんですけど、今抱えている悩みやぬぐい去れない思いみたいなものをきちんとぶつけて、その先にある未来に行こう、っていう歌詞の内容にすごく共感できて。「わかるわあ」って思いながら、何もひねくらず、素直なままに感情をぶつけてました(笑)。
ゆいかおり的カッコよさを模索する
──トラックについても聞かせてください。資料には「ダンスに定評のあるゆいかおりによるエレクトロチューン」とありますけど……。
石原 いやん!(笑)
小倉 あはははは(笑)。
──でも実際「MIRRORING DESIGNS」しかり、実はかわいらしいだけじゃない。強いビートのダンスチューンもたくさん持っているユニットですよね。
小倉 そういうこともあって、今回は最初から夏織ちゃんと私とスタッフさんの間で「踊る」っていうテーマが決まっていて。
石原 これも私たちにとっては新しい試みなんですけど、そういうテーマに似合う曲を自分たちで選んで、アレンジをどうするかっていう話し合いにも立ち会わせてもらいました。
──選曲は順調でした?
小倉 いただいたデモの中には本当にいろんな曲があったんですけど、全員一致。みんなで「あっ、いいね」って言いながら「NEO~」のデモを選んでました。
石原 「これだね」って感じでスムーズに決まって「もっとカッコよく踊れるようにちょっとテンポを変えてもらおう」みたいな話を進めた感じだよね。唯ちゃんも私も、単純に「踊れる」だけじゃなくて、けっこういろんな観点から曲を選んだはずなのに。
──「いろんな観点」?
小倉 シングル曲としてはひさびさのカッコいい系のダンスナンバーだからこそ、ファンの皆さんの考えるゆいかおり像のことも考えたりとか。
──ファンの考えるゆいかおり像って?
石原 なんていうんだろう? “ゆるい”?(笑)
小倉 そうだね。ラジオ(文化放送「ゆいかおりの実♪」)なんかで私たちが話している様子を知っている方は間違いなく“ゆるい”と思ってると思います(笑)。で、2人ともホントに“ゆるい”ので、カッコよさは目指すけど、いくらがんばってもすごくカッコいいセクシーな女性にはなれないですし……。
石原 やれることには限度がありますから(笑)。
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- ニューシングル「NEO SIGNALIFE」 / 2015年1月7日発売 / キングレコード
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1836円 / KICM-91564
- 通常盤 [CD] / 1188円 / KICM-1564
CD収録曲
- NEO SIGNALIFE
- オリオンからのメッセージ
- NEO SIGNALIFE(off vocal ver.)
- オリオンからのメッセージ(off vocal ver.)
初回限定盤DVD収録内容
- 「NEO SIGNALIFE」MUSIC VIDEO
- MAKING
ゆいかおり
小倉唯と石原夏織からなるユニット。2009年に結成され、2010年5月にはシングル「Our Steady Boy」でメジャーデビューを果たす。以降、それぞれ声優として活動しながらもコンスタントにリリースを重ね、2011年9月には1stアルバム「Puppy」、2013年10月には2ndアルバム「Bunny」を発表した。2014年7月にニューシングル「Intro Situation」をリリースし、11~12月には千葉・幕張メッセイベントホール公演など、キャリア最大キャパシティのライブツアー「HEARTY PARTY!!」を開催。そして2015年1月7日、ニューシングル「NEO SIGNALIFE」をリリースした。