“偶像”（アイドル）になりきれない人間味

──メンバー集めの段階で「顔がよくて歌がうまい人」が条件だったというお話でしたが、初見の印象はまさにそれでした。歌唱力がおしなべて高いグループだなと思いましたし、ビジュアルも強い人たちだなと。

黒坂　バランスがいいよね。

──そこにちゃんと自信を持っていそうなところもいいなと思います。

汐見　最初はマジ自信なかったですよ。楽屋でみんなで「かわいいからね？」って言い合って気持ちを保ってました（笑）。

──（笑）。その2点以外にも人を惹き付ける何かがあって支持が高まっているのだと思いますけど、皆さん自身はyosugalaの強みをどう自己分析していますか？

汐見　ライブにめちゃくちゃ一生懸命なところ。音源もいいんですけど、ライブで聴くともっと情緒的というか。フロアと一緒にライブを作っているという感覚がある。フロアから受け取るものがあってライブが完成するから、毎回違うライブをするし、体験型というのかな。そこがうちらのいいところなんじゃないかなと思います。

未白　対バンのときは、ほかのグループのライブから空気をガラリと変えることを意識していて。はっきりと差を付けたい。

君島　「ここからyosugalaの時間だよ」っていうね。ライブ以外のところで言うと、アイドルって本来“偶像”みたいな意味合いだから、ホントはそうあるべきなのかもしれないけど、私たちはあんまりそれができないというか、いい意味で人間味が出てる。人間らしさのようなところが評価されていると思います。

──それも初見で思いました。楽曲的にもっと世界観を作り込んでいるグループなのかなと予想していたら、思いのほか人間が出てる。

未白　それでこの歌詞を歌うから……。

汐見　そうそう、そうなんよ！

黒坂　いい意味でアイドルっぽくないから、どれだけMCがズタズタでもちゃんと切り替えができる。MCの次の曲がどんなエモい曲でも、ここ（未白と君島）が暴れるんですよ（笑）。MCで笑ったまま「次の曲です。『ひとりごと』」って入ったりするので……。

汐見　ヒヤヒヤするよなあ。

未白　ワンマンのお客さんは喜んでくれるけど、対バンのお客さんには「yosugalaのMCはつまらない」「長い」って言われるんですよ。

君島　だから最近は対バンではほとんどしゃべらない（笑）。

汐見　運営に「yosugalaはこう」というビジョンがないから自由度が高いというのはあるかもしれない。

君島　だからこその色が出ているのもあると思う。

黒坂　押さえ付けられてないからね。

──楽曲や衣装で世界観は用意するけれど、そこから先は4人に任せた、みたいな？

君島　そうですね。私たちのこと信頼してくれているのかも。

汐見　「あれはさすがにダメだったね」ってあとで怒られることはありますけど（笑）。

未白　私たちも運営さんも美的感覚が似てるから、あまりガチガチに決めなくてもやってみたらハマる、というのはあるかもしれない。放任されてもヤバくならないというか（笑）、自然とまとまるところはあります。

yosugalaが倒すべき敵は……？

──yosugalaがさらに駆け上がっていくうえで倒すべき存在、ぶっ倒しておきたい敵は誰ですか？

汐見　なんだろう？ 考えたことなかったな。

黒坂　強いて言うなら今の自分とかになっちゃうから……。

君島　かっけえ！ あははは。

未白　すごく大きな存在だと、BiSHがいなくなっちゃったから……。

──そこ聞きたかったんですよね。ライブを観終えた感想として「これ、BiSHロスの人たち丸ごとかっさらえるんじゃないかな」と思ったので。

汐見　実際に清掃員（BiSHファンの呼称）だった方がいっぱい来てくれてますね。

黒坂　固有名詞的な敵はいないよね。

汐見　あえて言うなら、1回yosugalaを観て「しょうもな」「たいしたことないじゃん」と思ったやつを、いつか別の場所で目にしたときに「うっ、これは……いい……」とわからせたい。

君島　「あれ、ちょっと好きかも……」みたいな。それ気持ちいいよなー。

未白　わかる！ 最近、前にSNSで私のことブロックしてた人が来てくれたんですよ（笑）。

汐見　あまりにも秀でたものになったら認めざるを得ないと思うんです。強いて言うならそれ。

君島　ちょっと出た杭は打たれちゃうけどボーン！と出てたら打たれなくなる（笑）。

未白　望みは高く……PassCodeさんよりも売れたいです。

君島　おおー。

汐見　冷や汗が止まんねえ。

未白　音楽的にはより大衆性が高いと思うんですよ。だからこそがんばって超えたい。

──確かに広範囲に刺さりそうな楽曲がyosugalaは多いですよね。楽曲に恵まれているなと思いますし、曲数にも恵まれていますよね。結成から2年足らずでフルアルバム2枚分のレパートリーがあって、すでに「yosugalaはこういう音楽です」というスタイルがある程度確立されている。2年でここまで完成しているグループは少ないと思います。

黒坂　そこは本当にありがたいです。

──皆さん自身、yosugalaの音楽は好きですか？

汐見　正直、最初は別に好きじゃなかったんです。そこはごめんなさい。でも今はマジで好き。最初はなぜこれが自分たちに与えられているのか理解できなかったんですよ。それがわかってきてから好きになったかも。

黒坂　歌い込めば歌い込むほど好きになるよね。

未白　曲を書いてくださっているAliAのERENさんもアイドルに楽曲提供するのが初めてで、私たちのことを知らないところから曲を書いてくださっていたから、最初は試し試しだったと思うんです。それがだんだん固まってきたからか、最近の曲は初めからしっくりくる。

汐見　わかる！

──制作陣も4人のキャラクターがつかめてきたことで、よりメンバーと楽曲のシンクロ度合いが高まっているのかもしれませんね。

汐見　実際ERENさんも言ってました。「最近わかってきたよ、君らのこと」って。

黒坂　成長型なんだよ。

未白　そうだね。チームみんなでyosugalaがどんなグループかを探ってる。

歩む道がいつか過去になったとき「よかったな」と思える日々を

──模索しながら完成した2枚のアルバムは、結果大成功ですよね。ほとんどの曲にシングル表題曲的なキャッチーさがあって。楽曲的な強さもyosugalaの魅力になっていると思います。

汐見　ありがたいです。

未白　怖いよね（笑）。恵まれすぎてる。

──新作「ヨモスガラ2」は特にしっくりきているというお話でしたが、それぞれ特別に思い入れの強い曲、好きな曲を挙げるとするとどの曲になりますか？

汐見　私、歌詞だったら「裸足のまま」がめっちゃ好きなんだよね。

黒坂　私は「My Dear」かなあ。

君島　私「ソラノナミダ」。

未白　えっ、ちょっと待って。ちょっと見ていい？（スマートフォンを取り出して）

汐見　被ってもいいんだよ（笑）。

未白　私、今まで自分たちの曲ってあまり聴けなかったんですよ。でもこのアルバムから、歌のクオリティとしても自信を持って聴けるようになったし、音楽的にも「聴きたいな」と思うようになってきた。

君島　確かに、昔の曲を聴くと「ああしたい、こうしたい」が多すぎて……。

──現時点で1stアルバムの頃の自分が恥ずかしい？

未白　恥ずかしいです！

君島　「今だったらこう歌うのに！」が多すぎる。

──ライブで何度も歌って身に付いているからこそ、レコーディング時のまっさらな自分との距離を感じる？

汐見　そうですね。でもライブで披露できるからいいよね。伸びしろが表現できるやん？

君島　そうだね。

汐見　私、キザ臭いんですよ。自分でもキザ臭くてカッコつけだなと思うんですけど、歌を歌うときは考えずに歌えるというか、歌ってるときは自分のそういうしがらみから解放されているなと思っていて。特に「裸足のまま」を歌うときは、等身大な歌詞で透き通った気持ちになれる（笑）。ピュアだよね。

未白　作詞してくれたTKT（AliA）さんがピュアなんだよ。

汐見　こういう曲を歌ってるときしか、私は人前でピュアな部分を出せないんだろうなって思うんですよ。

君島　まといは本当に強がりだよね。

黒坂　誰だよ（笑）。

未白　元カレ？（笑）

汐見　周りが褒めてくれるからさあ、弱いとこ出せなくなっちゃってんだよ。期待されているのもすごくわかるし、今さら引き返せないところにいるのはわかる。

──ライブのときはカリスマのオーラがありますもんね。それは汐見さんの中にあるキザ臭さに加えて、「yosugalaの汐見まとい」として作られてきた部分もある？

汐見　そうですね……。裏で泥臭くやってるところもあるけどそれは人前では見せたくないし、カリスマな自分も好きなので（笑）。

君島　私はかわいいまといも好きだよ？

汐見　「裸足のまま」を歌うときはもっと奥底にある素の自分が出ているというか、玉ねぎを剥いて剥いて一番奥にあるちまっとした甘い部分みたいな気持ちになれる。そこがなんかいいなと思いました。

未白　私は1曲目の「aspiration」かなあ。去年の10月のクアトロで初披露した曲で。

──クアトロのライブはyosugalaのYouTubeチャンネルに全編アップされてますね。

未白　「aspiration」の「最大級のアイラブユー 僕が僕に言ってやるんだ」というところが好きです。自分のことを愛せよ、自分のことは自分が一番好きでいてください、っていうね。

君島　私は「ソラノナミダ」を挙げましたけど、この曲の最後のほうに「いつか全部全部 これで良かったなんて思える日々が来るのかな？」という歌詞があって。私たちはまだまだこれからなグループではあるんですけど、歩んでいく道がいつか過去のものになったとき「よかったな」と思える日々を過ごさなくちゃなって歌うたびに思います。

黒坂　社長が書く歌詞がエモいんだよね。

汐見　あの社長すごいよね。普段「ヴァ～～～」とか言わないのに（笑）。私らに対して「う○こ」とか言ってくる社長が私ら4人のことを考えて書いたと思ったら、めっちゃいいよね。

君島　ホントにそう。考えたくないけど、yosugalaが最後のライブをやるときにこの曲を歌ったらヤバいだろうなって。

黒坂　私は「My Dear」の自分のパートで「もし迷いそうになったら そのたび思い出せばいいさ このメロディー」というところが特に好きです。自分が迷ったとき、背中を押してくれる曲になりそうだなと思うと……やっぱ社長すげえなって（笑）。

──そういうピンポイントで刺さるフレーズは、ライブで歌っている最中に思わず込み上げてしまうこともある？

君島　あるー。泣いちゃうし、全然。

黒坂　「ソラノナミダ」はまといの落ちサビが聴いてて気持ちいい。

汐見　あれねー。ライブでは泣きそうになりながらっていうか、ほぼ泣きで歌ってるね。