音楽ナタリー Power Push - コラボミニアルバム「吉澤嘉代子とうつくしい人たち」発売記念特集
吉澤嘉代子×私立恵比寿中学(真山りか、安本彩花、小林歌穂)対談
キラキラうつくしい放課後トーク
吉澤嘉代子がさまざまなアーティストとコラボレーションしたコンセプトミニアルバム「吉澤嘉代子とうつくしい人たち」を8月3日に発表する。本作には吉澤がシンガーソングライターを目指すきっかけとなったサンボマスターをはじめ、私立恵比寿中学、岡崎体育、伊澤一葉(the HIATUS)、ザ・プーチンズ、小島英也(ORESAMA)、曽我部恵一と、彼女がこれまでの活動の中で出会った面々が参加。吉澤が“うつくしい”と捉えるアーティストたちが集結している。
音楽ナタリーでは計7組のゲストの中から、今回2度目のコラボとなったエビ中との対談をセッティングした。エビ中からは真山りか、安本彩花、小林歌穂の3名が登場。「私立恵比寿中学にやってきた不思議な転校生・吉澤嘉代子」というイメージで行ったフォトセッションでは、放課後のようなのんびりした時間が流れていた。また特集ページ後半には吉澤の単独インタビューも掲載している。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 塚原孝顕
ホンギャッ!ってなっちゃう
──4月に発売されたエビ中のアルバム「穴空」(アナーキー)には吉澤さんがオリジナル曲「面皰」(にきび)を提供していて、今回の「ねえ中学生 feat. 私立恵比寿中学」は2度目のコラボとなります。「面皰」はエビ中の春のツアーでも巨大なオブジェをバックに披露されました(参照:エビ中の絆深まる春ツアー終幕、千秋楽にはHERE&桜エビ~ずも登場)。
小林歌穂 「面皰」を歌うときは、より気合いが入ります。
吉澤嘉代子 へえー。
小林 なんか、ホンギャッ!ってなっちゃう。
──ホンギャ?
小林 楽しくなっちゃうんです(笑)。歌っていると不思議な空間にいる感じがして。なんて言えばいいんだろう。毛穴の中に入った感じというか……。
吉澤 あははは(笑)。
安本彩花 「面皰」はメンバーの間でも人気なんですけど、ファンの皆さんにも人気が高いんです。「これを聴くと青春時代を思い出す」って。
真山りか それよく言われる!
吉澤 うれしい。私はずっと作家として楽曲提供するのが夢だったんです。「面皰」は初めての楽曲提供だったので、私もすごく気合いが入ってました。私の友達にエビ中の大ファンの子がいるので、その子にまず相談したんです。「エビ中には今、何が求められているんだろう」って。私もこれまでのインタビューを読み漁って研究してたんですけど、やっぱりファンの声を聞くのが一番だなと。それを受けて、すごくカッコいい方向と、ラブリーな方向で2曲作ったんです。
──その後者が「面皰」に?
吉澤 はい。私はタイトルを先に思い付いて曲を作ることが多いんですけど、「面皰」ってタイトルで曲を作りたいと常々思っていたんです。それがエビ中の中学生というモチーフと結び付いたら、一気にイメージが膨らんで。電車の隅っこでiPhoneに吹き込んで……本当にすぐできました。
真山 すごーい!
小林 すごい……。
“中学生”独特のキラキラ感
──そして今度はエビ中が吉澤さんの作品に参加することになって。話を聞いたときは、なんとなく8人がわちゃわちゃと絡んでいるのを想像していたのですが、厚いコーラスをきっちり重ねるという役どころで。
真山 私たち8人それぞれのパート割りがあって、同じラインじゃなく、ちょっとずつ違うんです。初めてコーラス参加させていただいた曲でもあるので、すごく勉強になりました。
安本 個人的な話なんですけど、レコーディングのときにアレンジャーの石崎(光 / cafelon)さんに「吉澤さんの声と合うね」って言ってもらったのがうれしかったです。
吉澤 安本さんは高いところに行ってもマイルドな声なんですよ。エビ中の皆さんはキャラクターもそうなんですけど、それぞれ声の個性があって、レコーディングは楽しかったです。
──そもそもこの曲はどういうイメージから生まれて、エビ中にコーラスをお願いすることにしたんですか?
吉澤 私は中学生時代、ずっと学校に行かずに家にいたので、普通の中学生活に対する憧れがすごくあって。「面皰」を提供したあと、自分の中で中学生というものが大流行して、中学生についてよく考えてたんですよ。そこから、自分が体験していない記憶の中の中学生と、今の自分が交錯する物語が生まれて。コーラスは私ではない、妄想の中学生が歌っているイメージにしたいと思ったんですけど……まさかエビ中さんにオファーすることになるなんて。
──それって“永遠に中学生”という概念をコンセプトにしたエビ中の世界観にも通じるところかもしれないですね。
真山 そうですね。私はもう何年も中学生やってるんですけど(笑)、やっぱり“中学生”というものが持つ独特のキラキラ感があるんじゃないかなと思います。デモを聴いたときは私も、自分が体験したことじゃないはずなのに、なぜか懐かしいものを感じて。素敵な曲を作る方だなあと改めて思いました。
小林 でも、嘉代子さんの美しい歌声を私たちのダミ声がつぶしちゃうんじゃないかって不安でした(笑)。
芝居仕立てのステージ
──今作は全曲コラボレーションというコンセプトアルバムで、エビ中のほかにもサンボマスターや曽我部恵一さん、さらには岡崎体育さんやザ・プーチンズもいます。
吉澤 サンボマスターはちょうど私が中学生のときに出会ったんです。ほとんど学校に行ってなかったので、卒業式に出るのがつらくて。でも義務教育なので卒業式には出なくちゃいけなくて、予行演習にも行って……そんなときにたまたまテレビから流れるサンボマスターを聴いて、「この人たちは私のことを知らないんだけど、確実に私めがけて語りかけている」となぜか思ったんです。それで勇気を持って卒業式にも出ることができて、「高校に入ったら絶対にバンドをやろう」って決めました。
──それが音楽を始めるきっかけになったと。
吉澤 はい。私にとってのヒーローみたいな存在だったんです。皆さんにもそういうヒーロー、ヒロインみたいな存在はいますか?
真山 私はアニメが大好きなので、声優の田村ゆかりさんが私にとってのヒロインですね。でも私の場合はヒロインというよりも「この人を支えたい」というか……。
吉澤 支えたい! えー、すごい!
──参加アーティストの中で世間的にもっとも謎なのはザ・プーチンズかなと思いますが、吉澤さんからザ・プーチンズの魅力を解説してもらえますか?
吉澤 ライブがもう本当にすごくて、会場をとことん使った工夫の嵐というか。ライブ中にお客さんの椅子を後ろに向けさせてラジオコーナーを始めたりとか、演劇的なライブをされていて。私もワンマンのときは小芝居を入れたりして物語で進行するんですけど、ザ・プーチンズのステージはすごく参考になります。
──吉澤さんのライブは回を増すごとに演劇的要素が強くなっていますよね(参照:吉澤嘉代子が初のホール公演、演劇仕立てのステージで「東京絶景」を表現)。そこも実は“キングオブ学芸会”エビ中との共通項だったりして。
安本 あー、確かに!
真山 私たちも年末の大きいライブのときは“大学芸会”と言って、SF的な物語で進行するんです(参照:あの未確認中学生が帰ってきた!エビ中、2年ぶりのSSA大学芸会)。
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- 吉澤嘉代子 ミニアルバム「吉澤嘉代子とうつくしい人たち」 / 2016年8月3日発売 / 日本クラウン
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 2500円 / CRCP-40470
- 通常盤 [CD] / 2000円 / CRCP-40471
CD収録曲
- ものがたりは今日はじまるの feat. サンボマスター
- ねえ中学生 feat. 私立恵比寿中学
- ゆりかご feat. 岡崎体育
- アボカド feat. 伊澤一葉
- じゃじゃじゃ feat. ザ・プーチンズ
- 綺麗 remixed by 小島英也(ORESAMA)
- 東京絶景 feat. 曽我部恵一
初回限定盤DVD収録内容
- ものがたりは今日はじまるの feat. サンボマスター(Music Video)
- 手品 live at 東京国際フォーラム 2016.4.30
- movie live at 東京国際フォーラム 2016.4.30
吉澤嘉代子とうつくしい人たちツアー
- 2016年10月14日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2016年10月16日(日)東京都 東京キネマ倶楽部
- 2016年10月22日(土)兵庫県 クラブ月世界
吉澤嘉代子「吉澤嘉代子とうつくしい人たち」発売記念インストアイベント
- 2016年8月3日(水)東京都 HMV&BOOKS TOKYO
- START 19:00(※スペシャルゲスト:吉岡里帆)
- 2016年8月13日(土)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店
- START 16:00
- 2016年8月20日(土)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店
- START 18:00
- 2016年8月27日(土)東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
- START 13:30
- 2016年9月4日(日)東京都 ヴィレッジヴァンガード下北沢店
- START 20:30(※スペシャルゲスト:ザ・プーチンズ)
吉澤嘉代子(ヨシザワカヨコ)
1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街で育ち、16歳から作詞作曲を始める。2010年11月にヤマハ主催のコンテスト「"The 4th Music Revolution" JAPAN FINAL」に出場し、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2013年6月にインディーズ1stミニアルバム「魔女図鑑」でCDデビューを果たす。同年11月には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて初のワンマンライブ「吉澤嘉代子 ファーストワンマンショウ ~夢で逢えたってしょうがないでSHOW~」を開催。翌12月より「魔女、旅に出る。」と銘打ったライブハウスツアーで各地を回った。日本クラウン、ヤマハミュージックアーティスト、ヤマハミュージックパブリッシングの3社が合同で設立した新レーベル「e-stretch RECORDS」の第1弾アーティストとして、2014年5月にミニアルバム「変身少女」でメジャーデビューを果たした。2015年3月に1stフルアルバム「箒星図鑑」、2016年2月には2ndフルアルバム「東京絶景」をリリース。同年7月には、サンボマスター、私立恵比寿中学、岡崎体育らさまざまなアーティストとコラボレーションしたコンセプトミニアルバム「吉澤嘉代子とうつくしい人たち」を発表する。
私立恵比寿中学(シリツエビスチュウガク)
スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年夏に結成し、2010年2月には初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表した。2011年4月には事務所の先輩であるももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の中野サンプラザ公演にゲスト出演し、前山田健一プロデュース曲「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」などを披露。同年10月には東京・Shibuya O-EAST(現TSUTAYA O-EAST)で初のワンマンライブを行った。2012年5月にはDefSTAR RECORDSよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たし、2013年7月には初のオリジナルフルアルバム「中人(ちゅうにん)」をリリース。2014年4月に行われた東京・日本武道館公演「私立恵比寿中学合同出発式~今、君がここにいる~」を最後に瑞季、杏野なつ、鈴木裕乃の3名が“転校”(脱退)した。以降は真山りか、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、松野莉奈、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子の8人で活動し、2015年1月には2ndオリジナルアルバム「金八」をリリース。同年12月には埼玉・さいたまスーパーアリーナで2DAYSワンマンライブ「私立恵比寿中学 年忘れ大学芸会2015『エビ中のオールアトラクスター』」を開催した。2016年4月に3rdフルアルバム「穴空」(アナーキー)をリリース。