音楽ナタリー Power Push - 吉澤嘉代子
日常の絶景 東京の絶景
吉澤嘉代子が2枚目のフルアルバム「東京絶景」を完成させた。これまで妄想全開のフィクショナルな楽曲で強い個性を発揮してきた彼女が今作で描いたのは、妄想の世界を飛び出した日常の風景。ここには新曲のみならずデビュー前の楽曲もいくつか収められている。表題曲「東京絶景」は彼女が音楽活動を始めて間もない頃から温めていた、19歳の吉澤嘉代子が見つめた日常の風景だ。
今回の特集のために吉澤は数日間カメラを持ち歩き、アルバムの全12曲をイメージした写真を撮影。吉澤がかつて「東京絶景」を路上ライブで歌っていたという東京・下北沢をはじめ各地を散策しながら、彼女の目に映る「日常の絶景」をカメラに収めてもらった。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 塚原孝顕・吉澤嘉代子
吉澤嘉代子「東京絶景」セルフライナーノーツ
2ndフルアルバム「東京絶景」について
妄想少女のドタバタ劇からひとまわり、今作では日々の暮らしを舞台に「日常の絶景」を切りとりました。 いつもの景色が、その人の瞳を透すからドラマチックに変わるとき。うつくしいだけではない絶景がふと姿をあらわします。
- 2ndフルアルバム「東京絶景」 / 2016年2月17日発売 / e-stretch RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3500円 / CRCP-40446
- 通常盤 [CD] / 3000円 / CRCP-40447
3. 胃
これまで書いた中で、いちばん短い曲名とおもいます。最後のフェイクが「い」で終わったのは偶然です。 歌は少しずつ変わってゆくものですが、胃の歌唱はいまいちばんあたらしい、いちばんしっくりくるわたしの声です。
藤田嗣治の猫! 借りてきた猫。
5. ひょうひょう
「恥ずかしい」に続いて、人生のテーマソングかもしれません。泣いちゃう。どうしてもひょうひょうとできない日は逃げてもいいんじゃないかな。 逃げたさきの妄想で、別のとびらをあけたわたしは思います。
19歳からずっとふたりで曲芸してきたきもち。
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