音楽ナタリー Power Push - 吉澤嘉代子

恋にまつわる“秘密”を描いた短編集

星新一のショートショートSFがルーツ

──「必殺サイボーグ」のみ作曲が吉澤さんではなく、張替智広(キンモクセイ)さんと小貫早智子さんによる楽曲制作ユニット・HALIFANIEさんですね。サウンドも異色で、ちょっと1990年代の渋谷系を思わせるムードがあって。

吉澤嘉代子

サイボーグを題材に曲を書くというアイデアは前からあったんです。でも自分で書いた曲ではなかなか生まれてこないなと思っているときに曲を聴かせてもらって、この曲なら考えていたサイボーグの歌詞が書けるかもしれないって。最初は「殺し屋サイボーグ」というタイトルだったんですけど、殺し屋はよくないんじゃない?って言われて、必ず殺すという……。

──あははは(笑)。サイボーグや殺し屋に対して昔からこだわりや興味があったんですか?

子供の頃から星新一さんの「ボッコちゃん」が大好きで、その影響です。

──なるほど。これまでの作品にもショートショートSF的なタッチの歌詞、架空の設定はよく出てきましたけど、星新一さんの影響というのはすごくわかります。そのへんがルーツの1つになっているんですね。

はい。でもこの曲は1つだけ後悔していることがあって……CYBORG KAORIさんに参加してもらえたらよかったなって(笑)。

“ラブソング集”のもとになった「真珠」

──そしてラストはちょっとセンチメンタルな「真珠」で締めくくられるわけですが、冒頭におっしゃっていたいたような“色モノ”としての評価もありつつも、ファンの反応や周りの評判を探ると、こういうストレートに胸を打つ楽曲の評価もすごく高いように思います。

吉澤嘉代子

ひょうきんでポップなものを求められてはいるんですけど、それがなかなか難しくて。こういう曲はもともと持っていたものなのか、わりとすぐに書けるんです。ここまでコテコテのラブソングはあまり書いたことなかったですけど。

──ちなみに「6曲中5曲が今年に書いた曲」とおっしゃっていましたが、この曲は?

あ、この曲が少し前に書いていた曲です。今回のミニアルバムを作るとき最初に入れると決めていた曲で、なのでこれが最初に描いていたラブソング集のイメージですね。

──この6曲が並ぶミニアルバムのタイトルが、なぜ「秘密公園」になったんでしょう。

毎回アルバムのタイトルは4文字の漢字にしていたんですけど、もう4枚も出したから次はやめようかなとも思ってたんです。だけどたまたま思い付いちゃったので……(笑)。今回は私「綺麗」という曲がすごく気に入っているので、「綺麗」に寄せたタイトルにしたくて。「綺麗」はパラレルワールドが舞台で、ある公園の一角が時間軸の歪んだ異世界になっているんです。そのイメージから付けました。

吉澤嘉代子の“なう”

──吉澤さんのTwitter(吉澤嘉代子(@yoshizawakayoko) | Twitter)での発言を見ていると、これは何を言っているんだと思うことがあとあと「この曲をレコーディングしていたのか」とつながることがままあって。前に「夢日記をつけるんだけどいつも解読不能」っておっしゃってましたけど、アカサタシワラクタさんの話を聞いてなるほど!と思いました。

あー、そうですね。

──夢のメモはいつも細かく残してるんですか?

吉澤嘉代子

いや、でも「イケイケホンガー来日、みんなに戦慄走る!」とか全然わからないことになってるんですよ(笑)。起きてサッとケータイにメモするんですけど、アカサタシワラクタさんのことは絶対に忘れちゃいけないと思って。絶対すぐに忘れそうな名前だから、記しておいてよかったです。

──ちなみに「妖怪降臨でよいテイクが録れた!」とおっしゃっていたのはどの曲なんですか?

あ、これは「綺麗」ですね。最後のサビの「一生綺麗だって」のところは、本当に気味の悪い歌い方をしたいと思っていたので。でもYouTubeで試聴音源を出したときに、フルじゃなかったからなのか「切ない曲だ」「失恋したのかな」という感想を皆さんくださって。でも全然切なくない、エゴの塊みたいな曲なのに。

──あとこれはたぶん作品と全然関係ない発言ですけど、「もうすぐ閉店するクレープ屋さんにインタビューしたいけど勇気が出ない」というのは?

いやー、ホントにインタビューしたかったですよ! 創業38年のクレープ屋さんで、もう閉店しちゃったんですけど、最後の日なんて行列ができててすごかったんですよ。店内はクーラーが効いてなくてすごく暑いんですけど、もうエモい空間になっていて(笑)。前に並んでた人がお店のおばちゃんに「なんで辞めちゃうんですか?」って聞いたら「もう歳だからねえ」って……。

──そうやって人から何かを聞き出したい、掘り起こしたいという欲求はあるんですか?

そういうわけじゃないんですけど、ライターの方がそのお店に行ったら絶対おばちゃんにインタビューしたくなったと思いますよ! ホントに残念だったなあ。

吉澤嘉代子
ミニアルバム「秘密公園」 / 2015年10月7日発売 / 1800円 / e-stretch RECORDS / CRCP-40432
ミニアルバム「秘密公園」
収録曲
  1. 綺麗
  2. ユキカ
  3. 運命の人
  4. キスはあせらず
  5. 必殺サイボーグ
  6. 真珠
吉澤嘉代子 秘密ツアー ~8都市をめぐる秘密公演~
2015年11月27日(金)大阪府 BIGCAT
2015年11月28日(土)福岡県 INSA
2015年12月4日(金)石川県 Kanazawa AZ
2015年12月6日(日)岡山県 IMAGE
2015年12月11日(金)北海道 cube garden
2015年12月13日(日)宮城県 darwin
2015年12月17日(木)東京都 LIQUIDROOM
2015年12月20日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
ミニアルバム「秘密公園」発売記念イベント ミニライブ&サイン会
2015年10月7日(水)
東京都 タワーレコード渋谷店 1F店内イベントスペース
START 19:30
2015年10月10日(土)
埼玉県 浦和パルコ正面入口前
START 14:00
2015年10月11日(日)
埼玉県 紀伊國屋書店 さいたま新都心店(コクーンシティ コクーン1 コクーンプラザ)
START 13:00
2015年10月11日(日)
東京都 タワーレコード池袋店 6Fイベントスペース
START 18:00
2015年10月12日(月・祝)
北海道 玉光堂パセオ店(パセオイーストB1)
1回目START 14:50(予定)/ 2回目START 17:20(予定)
※近接するアピア「太陽の広場」にて1回目14:00、2回目16:30よりフリーライブが行われます。
2015年10月17日(土)
愛知県 HMV栄 イベントスペース
START 18:00
2015年10月18日(日)
京都府 SOLE CAFE
START 14:00 
※タワーレコード京都店での購入者特典(先着50名)ライブとなります。
2015年10月24日(土)
埼玉県 イオンレイクタウンmori「木の広場」
START 14:00
2015年10月25日(日)
宮城県 タワーレコード仙台パルコ店8Fイベントスペース
START 14:00
2015年11月1日(日)
東京都 ヴィレッジヴァンガード下北沢店 店内イベントスペース
OPEN 20:30 / START 21:00
2015年11月7日(土)
熊本県 蔦屋書店熊本三年坂イベントスペース
START 16:00
2015年11月8日(日)
福岡県 キャナルシティ博多B1サンプラザステージ
START 15:00
吉澤嘉代子(ヨシザワカヨコ)

吉澤嘉代子

1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街で育ち、16歳から作詞作曲を始める。2010年11月にヤマハ主催のコンテスト「"The 4th Music Revolution" JAPAN FINAL」に出場し、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2013年6月にインディーズ1stミニアルバム「魔女図鑑」でCDデビューを果たす。同年11月には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて初のワンマンライブ「吉澤嘉代子 ファーストワンマンショウ ~夢で逢えたってしょうがないでSHOW~」を開催。翌12月より「魔女、旅に出る。」と銘打ったライブハウスツアーで各地を回った。日本クラウン、ヤマハミュージックアーティスト、ヤマハミュージックパブリッシングの3社が合同で設立した新レーベル「e-stretch RECORDS」の第1弾アーティストとして、2014年5月にミニアルバム「変身少女」でメジャーデビューを果たした。2015年3月に1stフルアルバム「箒星図鑑」、10月にメジャー3枚目のミニアルバム「秘密公園」をリリース。11月からはワンマンツアー「吉澤嘉代子 秘密ツアー ~8都市をめぐる秘密公演~」を行う。