ナタリー PowerPush - 吉澤嘉代子

ひとりぼっちの魔女が紡ぐラブリーな歌

ラブリーポップスとして

吉澤嘉代子

──そして3曲目が「ラブラブ」。

このアルバムの中では一番新しい曲で、これは本当に自分の恋を歌った歌ですね。あんまりそういう曲って作ったことはないんですけど。ハートのシャボンもハートの水玉も現実にはないけど、素敵な人と出会って報われる感覚を妄想と現実が行き来しているというか。最初はもっと暗い曲だったのを、もっと明るくしたいと思って歌詞の内容を変えました。

──暗すぎる曲はやりたくない? 次の「きらい」は一見ネガティブな曲ですが。

これはずっとやりたくないと言い続けていた曲で、だから「きらい」というタイトルなんです(笑)。20歳ぐらいのときにパパッと作ったんですけど……私の曲って少し歪んでる部分とかひねた部分があって、それがあるからこそ自分がラブソング歌うことが許せるというか。ですけど「きらい」はけっこうストレートに作ってしまったので、これが自分なんじゃないかと思われるのが怖くて。

──それがなぜアルバムへの収録を許せるようになったんですか?

ラブリーポップスのアルバムとして考えたとき、この軽さがいいのかなと思って。素敵なアレンジにしていただいたのもあって、この6曲の中で一番自由に歌えたんです。こだわりがなかったのが逆によかったのかもしれないです。

──次の「涙のイヤリング」はまた一転して、非常に痛快なオールディーズ路線です。

コーラスの「涙は飾りじゃない」とか「この恋ネバギバーップ!」とか、歌い回しは考えてお願いしました。

──この曲の歌唱法はオールディーズ路線の極みですよね。しゃくりまくりで。

自由にやらせてもらいました(笑)。2番ではちょっと演歌風に歌ったりとか。この曲はホント言葉遊びですね。滑稽さを追求して。曲を作る上で、音楽人生のテーマとしても滑稽な部分はすごく大事にしています。

──その滑稽さの中にあるノベルティソング感も、どこか大瀧詠一の血を感じるんですよね。そして最後の「ひゅるリメンバー」はまた大瀧サウンドやフィル・スペクターを彷彿とさせるアレンジで、アルバムをさわやかに締めくくる1曲ですね。このタイトルは?

これは風邪を引いている人とキスをして、その風邪が移ったから次の日もその人のことを思ってしまうという……悪寒でひゅるリメンバー、みたいな。

──やっぱりどこか発想と組み立てがおかしいんですよね(笑)。そこが歴代のポップスマニア的な作品とは違う新鮮さにつながっているのかもしれない。

そうですか? この曲はひたすらぶりっ子をして歌いました。

ひょうきんで滑稽な歌を

──音楽人生の第一歩として、すごく丁寧でいいレールが敷かれたと思うんですけど、そのままこの道を歩むのではないかもしれない、一生やり続けたいわけではないと先ほどはおっしゃいましたよね。

はい。ほかにもやってみたいことはあるんですけど、まずは聴く耳を持ってもらうことが大事だと思うから、まずはラブリーなポップスをやるべきだと思っていたので。最初は自我が崩壊しそうなぐらい苦痛だったんですよ。ラブリーな曲、ラブソングを歌うことが。

──つまり最大限に媚びた状態がこれなんですか? そこまで媚びた感じはないですけど(笑)。

あはは(笑)。飛び道具的な言葉を使うことで自分の中でバランスが取れるようになってきて、それで歪んできたところはあると思います。

──それを変身願望を持った“変身少女”として歌っている。これはあくまで物語の世界であると。

そう。物語である、と思って歌うことによって、急に楽しくできるようになりました。

──でも周りの大人の人たちは、過去のポップスの意匠を天然で引き継ぐ名手が現れた以上、この路線を追求してほしいと思ってるかもしれないですよね。

周りの皆さんはこのインタビューを読んでガッカリするかもしれない(笑)。でも、ひょうきんで滑稽な歌詞が自分のメロディに合うんだなってわかりましたし、暗い気持ちをそのまま暗い曲で出したいとは今は思わないので。滑稽な歌を作り続けていきたいですね。

吉澤嘉代子「変身少女」アルバム全曲紹介

デビューミニアルバム「変身少女」2014年5月14日発売 / 1800円 / e-stretch RECORDS / CRCP-40373
収録曲
  1. 美少女
  2. チョベリグ
  3. ラブラブ
  4. きらい
  5. 涙のイヤリング
  6. ひゅるリメンバー
CD購入者イベント ミニライブ&サイン会
  • 2014年5月14日(水)東京都 タワーレコード池袋店 6F特設イベントスペース
    OPEN 18:30 / START 19:00
    ※発売日特別記念としてサイン会時に2ショットチェキを撮影しプレゼント。
  • 2014年5月16日(金)東京都 タワーレコード秋葉原店
    OPEN 18:30 / START 19:00
  • 2014年5月18日(日)東京都 タワーレコード渋谷店 1Fイベントスペース
    START 14:00
  • 2014年5月24日(土)大阪府 タワーレコードあべのHoop店(あべのHoop 1F オ-プンエアプラザ)
    OPEN 12:30 / START 13:00
  • 2014年5月24日(土)大阪府 ダイエー京橋店センターコート
    START 17:00
  • 2014年5月25日(日)兵庫県 タワーレコード神戸店
    OPEN 12:30 / START 13:00
  • 2014年5月25日(日)京都府 タワーレコード京都店
    OPEN 16:30 / START 17:00
  • 2014年5月31日(土)福岡県 タワーレコード福岡店 3Fイベントスペース
    OPEN 12:30 / START 13:00
  • 2014年5月31日(土)広島県 HMV広島本通店
    OPEN 17:00 / START 17:30
  • 2014年6月1日(日)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
    START 12:00
  • 2014年6月1日(日)東京都 dues新宿(diskunion全店対象購入者イベント)
    OPEN 18:45 / START 19:00
吉澤嘉代子デビューAL「変身少女」リリースパーティー ~嘉代子、メタモルフォーゼ!~
  • 2014年6月15日(日)東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE
    OPEN 17:15 / START 18:00
Ustream番組「吉澤嘉代子の変身少女TV」第2回
吉澤嘉代子(ヨシザワカヨコ)
吉澤嘉代子

1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街で育ち、16歳から作詞作曲を始める。2010年11月にヤマハ主催のコンテスト「"The 4th Music Revolution" JAPAN FINAL」に出場し、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2013年6月にインディーズ1stミニアルバム「魔女図鑑」でCDデビューを果たす。同年11月には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて初のワンマンライブ「吉澤嘉代子 ファーストワンマンショウ ~夢で逢えたってしょうがないでSHOW~」を開催。翌12月より「魔女、旅に出る。」と銘打ったライブハウスツアーで各地を回っている。日本クラウン、ヤマハミュージックアーティスト、ヤマハミュージックパブリッシングの3社が合同で設立した新レーベル「e-stretch RECORDS」の第1弾アーティストとして、2014年5月にミニアルバム「変身少女」でメジャーデビュー。