ナタリー PowerPush - 吉澤嘉代子
ひとりぼっちの魔女が紡ぐラブリーな歌
負けず嫌いな自分の感情にクラクラして
──1人になってからはどういう活動を?
初めてオーディションを受けてみようと思って、ネットですぐに応募できたのがヤマハのコンテストだったんです。それでオーディエンス賞を獲得して、本大会があるから出てみようということになって。本大会に出るために「らりるれりん」(2013年6月発売のインディーズミニアルバム「魔女図鑑」に収録)という曲を作ったんですけど。
──そこでいきなりグランプリを獲得して。あまり「何がなんでもデビューしたい!」みたいなガツガツ感は感じられないですけど……。
そうですか? もうメラメラでしたよ。
──口調がメラメラな人のトーンじゃないんですよね(笑)。
初めて大会に出たときに、自分がこんなに負けず嫌いなのかって自覚しました。自分の感情にクラクラしてしまったぐらいで。音楽は勝ち負けじゃないとは思うけど、何がなんでも負けたくなくて。
──心を閉ざして十代を過ごしてきた吉澤さんにとって、音楽が一番の心のよりどころだったわけですよね。ほかには何か自分の中でよりどころになっていたものはありますか?
小説ですかね。子供の頃から「早くごはん食べなさい!」って怒られるぐらい本に没頭していて。読みかけの本があるうちは守られている気がするというか。現実の自分とまた別の世界が1つあって、そこに没頭することで現実から離れていられるみたいな。魔女修行もそうだと思うんですけど、いつもどこかに別の世界を持つことで自分のバランスを保っていたような気がします。
音楽の世界で満たす変身願望
──その点自分の音楽はどうですか? 自分そのものを表現する現実的なものでもあると思うんですけど。
曲を作り始めたときに、初めて世の中とつながれたような気がして、すごくラクになったんです。おしゃべりとかふるまいで自分を出すことができなかったので。でも歌はすごく時間をかけて作れるし、相手の反応を待たずに自分の気持ちを発表できるのが、すごく自分に合ってるなって。瞬間瞬間のレスポンスがすごく苦手なんです。音楽は自分を知ってもらうための手段でもあるんだけど、変身願望を満たす手段でもあって。
──変身願望。
子供の頃から変身願望が強くて。女の子にはけっこうあると思うんですけど、ただ単に無力な子供から特別な力を持った人になりたいという願望で、私はずっと魔女修行をしていたんです。音楽では歌の中で物語を作って主人公の設定を作って、自分がその主人公になりきるんですけど、それって子供の頃の魔女修行ともリンクしているなって。変身したかった気持ちがそこで消化されているというか。
──他人に対して自分が作った歌を発表するのって、引っ込み思案な性格の人にとってはある意味真逆の行為なんじゃないかと思うんですよ。それは変身して自分ではない者になるという前提があるからこそ成立するんでしょうか。
一方で目立ちたがり屋なんだと思います(笑)。子供の頃からみんなの前で歌ったり踊ったりしてたし。でも人前に出るのはやっぱり怖くて、ライブをやるのは最近まですごくつらかったです。ヘンな人と思われたくなくって、そこを隠して隠して……っていうふうにふるまうと余計にヘンな人になっちゃうし、ライブでもどうふるまったらいいかわからなくて。常に恥ずかしい状態なのがすごく苦痛だったんですけど、去年の11月に初めてワンマン(「吉澤嘉代子 ファーストワンマンショウ ~夢で逢えたってしょうがないでSHOW~」)をやったとき、物語の設定にしたらようやくライブを楽しめるようになって。
──物語設定はどのように?
前日の吉澤嘉代子の夢の中という設定で「このまま夢から醒めなかったらどうしよう」という物語で。最後みんなに「夢で会えたってしょうがないでしょ!」って何回も叫んでもらって「夢じゃなくなったー!」っていうムチャクチャな展開だったんですけど(笑)、みんな協力してくれて結果的に成功したんです。そのライブでは自分を出したんですよね、ものすごく。自分でセリフも書いて、展開も何度も組み立て直して……。思い切って自分が考えている意見を出しきって作り上げたときに、すごく充実感があって。それからはどこでライブをやるときも楽しくて、今も怖いのは怖いんですけど、自分を出すコツというか、スイッチの切り替えがいつの間にかうまくできるようになってきたのかなって。
魔女にとっての目的と幸せの形
──そもそもなぜ数ある空想の世界から魔女を選んだんですか?
ある日夢の中に魔女が出てきたんです。魔女にさらわれる夢ですごく怖かったんですけど、その夢が忘れられなくて。あのとき本当にさらわれてたら私は魔女修行ができたのかもしれない、特別な子供になれたかもしれないと思って、魔女のお婆さんが迎えにきてくれるかもしれないからと魔女修行を始めたんです。
──それって「魔女の宅急便」のような、女の子が憧れそうなかわいい魔女ではないですよね(笑)。魔女修行のノウハウについて何か参考資料はあったんですか?
梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」という小説を読んだときに、主人公が不登校だからすごく共鳴するところがあって。その中に出てくるお婆さんの魔法の定義が、空を飛んだり何かを出したりする魔法じゃなくて、ちゃんと寝て起きてごはんを食べるという生活の中で感覚を研ぎ澄ませることが魔法につながるというものだったんです。それがなぜかしっくりきて、これだったらいけるかもって。
──魔女としての最終目的はなんだったんですか?
んー、やっぱり旅に出ることだったんじゃないですかね。今いる場所を離れて。
──魔女にとっての幸せってなんなんでしょうね。
私は子供の頃から年齢を止めたいという願望が強くて、5歳になったときには「もう5年も生きちゃったんだ」って思って(笑)。13歳とか、体が成長する前に自分をホルマリン漬けにしたくて。……なんですかねこの話(笑)。でもそのときは本気でそう思っていて。大人になりたくない、歳を取りたくないって思っていたんです。今は曲を作って、その曲に今の自分を刻むことでこう……トントンになっているのかなと思います。
収録曲
- 美少女
- チョベリグ
- ラブラブ
- きらい
- 涙のイヤリング
- ひゅるリメンバー
CD購入者イベント ミニライブ&サイン会
- 2014年5月14日(水)東京都 タワーレコード池袋店 6F特設イベントスペース
OPEN 18:30 / START 19:00
※発売日特別記念としてサイン会時に2ショットチェキを撮影しプレゼント。 - 2014年5月16日(金)東京都 タワーレコード秋葉原店
OPEN 18:30 / START 19:00 - 2014年5月18日(日)東京都 タワーレコード渋谷店 1Fイベントスペース
START 14:00 - 2014年5月24日(土)大阪府 タワーレコードあべのHoop店(あべのHoop 1F オ-プンエアプラザ)
OPEN 12:30 / START 13:00 - 2014年5月24日(土)大阪府 ダイエー京橋店センターコート
START 17:00 - 2014年5月25日(日)兵庫県 タワーレコード神戸店
OPEN 12:30 / START 13:00 - 2014年5月25日(日)京都府 タワーレコード京都店
OPEN 16:30 / START 17:00 - 2014年5月31日(土)福岡県 タワーレコード福岡店 3Fイベントスペース
OPEN 12:30 / START 13:00 - 2014年5月31日(土)広島県 HMV広島本通店
OPEN 17:00 / START 17:30 - 2014年6月1日(日)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
START 12:00 - 2014年6月1日(日)東京都 dues新宿(diskunion全店対象購入者イベント)
OPEN 18:45 / START 19:00
吉澤嘉代子デビューAL「変身少女」リリースパーティー ~嘉代子、メタモルフォーゼ!~
- 2014年6月15日(日)東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 17:15 / START 18:00
Ustream番組「吉澤嘉代子の変身少女TV」第2回
- 配信日時:2014年5月14日(水)22:00~
- USTREAM: 吉澤嘉代子の変身少女TV: 「吉澤嘉代子の変身少女TV」
吉澤嘉代子(ヨシザワカヨコ)
1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街で育ち、16歳から作詞作曲を始める。2010年11月にヤマハ主催のコンテスト「"The 4th Music Revolution" JAPAN FINAL」に出場し、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2013年6月にインディーズ1stミニアルバム「魔女図鑑」でCDデビューを果たす。同年11月には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて初のワンマンライブ「吉澤嘉代子 ファーストワンマンショウ ~夢で逢えたってしょうがないでSHOW~」を開催。翌12月より「魔女、旅に出る。」と銘打ったライブハウスツアーで各地を回っている。日本クラウン、ヤマハミュージックアーティスト、ヤマハミュージックパブリッシングの3社が合同で設立した新レーベル「e-stretch RECORDS」の第1弾アーティストとして、2014年5月にミニアルバム「変身少女」でメジャーデビュー。